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熱源 の商品レビュー

4.1

347件のお客様レビュー

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2021/12/08

大自然の中で適応しながら生きていくアイヌ民族を飲み込もうとしたのは文明。強い民族、優れた民族が残るべきだという世界の常識は貧しいのかもしれない。 アイヌは自分の民族が滅ぼされそうな危機的状況の中で、自身の生きる意味、自分は何者なのかということを深く問う。そしてアイヌである自分自...

大自然の中で適応しながら生きていくアイヌ民族を飲み込もうとしたのは文明。強い民族、優れた民族が残るべきだという世界の常識は貧しいのかもしれない。 アイヌは自分の民族が滅ぼされそうな危機的状況の中で、自身の生きる意味、自分は何者なのかということを深く問う。そしてアイヌである自分自身に、子孫に、揺るぎない確信と誇りを持って生きていく。まっすぐに、純粋に生きる人々の姿が美しいと思った。 読了後、心の奥底に届いてくる温かさに驚いた。この小説は私にとってこの先も大切な一書になることと思う。北海道の地で、ポーランドから流刑されたピウスツキに生きる熱をわけたアイヌの人々。その時の感動を現代の私たちにもお裾分けしてくれるような小説だ。

Posted byブクログ

2021/12/04

アイヌについてはいつか詳しく知りたいと思っていました。 サハリンとか北方領土についてもしかり。 巻末に「史実をもとにしたフィクション」とあり、あらためて戦争はダメだ、と。 人が人を支配することなど、絶対あってはならない。 民族、領土、さまざま複雑に絡み合うなかに身をおかれ生きて...

アイヌについてはいつか詳しく知りたいと思っていました。 サハリンとか北方領土についてもしかり。 巻末に「史実をもとにしたフィクション」とあり、あらためて戦争はダメだ、と。 人が人を支配することなど、絶対あってはならない。 民族、領土、さまざま複雑に絡み合うなかに身をおかれ生きていく人たちの物語。雪、氷、極寒のなかでこその、じんわりだけどさめることのない「熱」を感じました。 サハリンには行ってみたい。もう少し調べて勉強してみよう。

Posted byブクログ

2021/12/01

樺太/北海道を舞台に、明治から太平洋戦争にわたる様々な人種/国籍の人々の物語です。アイヌ、帝政ロシア占領下のポーランド人、和人、ロシア人の他にもオロッコやニクブンと言った樺太先住民族も少し顔を出します。中心テーマはアイヌが文明社会に併合されていく姿と、ポーランド独立運動です。 少...

樺太/北海道を舞台に、明治から太平洋戦争にわたる様々な人種/国籍の人々の物語です。アイヌ、帝政ロシア占領下のポーランド人、和人、ロシア人の他にもオロッコやニクブンと言った樺太先住民族も少し顔を出します。中心テーマはアイヌが文明社会に併合されていく姿と、ポーランド独立運動です。 少数民族と弱小国家。同化と差別、暴力/非暴力。そうした話題を、極端に扇情的に描くのではなく、どこか静かに淡々と綴って行きます。勿論、差別の話も有ればそれと同様に善意の話も語られます。「熱源」というタイトルから想像させられる、畳みかける様な物語では無く、じっくりと考えさせられる壮大な物語です。ただ、少々大きすぎてちょっとぼやけた印象も有ります。 ここからは、感想では無く私の考え。 少数民族の同化は難しい問題です。私は同化(あるいは進化)は否定しません。 明治維新の日本は欧米各国との力の痛感し、それに互すべく文明開化の号令の元に欧米との同化を図り、やがて各国と肩を並べるようになります。その過程で多くの文化遺産が破壊され、固有の生活習慣も捨て去ります。でも、今となってその方針全体を批判する人は少数でしょう(もちろん文化の保護については批判されて当然ですが)。 一方アイヌの人達は日本国の同化策により、同じように多くの固有の文化を失い生活も激変して行きますが、その一方で適切な医療や、より便利で快適な生活が得られるという利益もあったと思うのです。 結局、同化そのものが問題では無く、「自発」か「強制」かの問題だと思うのです。 強制することなく、「良い事」「悪い事」を理解してもらった上で、自文化のどこを残しどこを捨て去るのか、自らそういう選択を出来るようにすることが大切なのだと思います。

Posted byブクログ

2021/11/28

<命を燃やせ>  何処かで聞いたことがある… セリフですが、心に浮かびました。  故郷から愛や力を貰い、故郷を想い、それをまた故郷のために熱に変える。そうして生まれた熱がまた他の誰かを動かす熱となって伝わっていく。極北で繰り広げられる熱い物語。  備忘録です。

Posted byブクログ

2021/11/21

戦争や民族間の争いなど 個人の力では逆らえない大きな流れの中で 自分が何者であるか、何を大切に考えるか とにかく熱源というタイトルも ぴったりはまっていてすごく面白かった。 結構辛い内容でもあるけど、 読み終わったあとの後味のよさというか、 本当に自分も生きていくエネルギー(熱源...

戦争や民族間の争いなど 個人の力では逆らえない大きな流れの中で 自分が何者であるか、何を大切に考えるか とにかく熱源というタイトルも ぴったりはまっていてすごく面白かった。 結構辛い内容でもあるけど、 読み終わったあとの後味のよさというか、 本当に自分も生きていくエネルギー(熱源)を もらえた感じです。

Posted byブクログ

2021/11/09

ゴールデンカムイと併せて読もう。ロシアでも日本でもないアイヌ。滅びゆく文化、民族の悲哀を感じた。終始寒い場所を舞台にしておきながら、タイトルが熱源。熱い話だった。

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2021/10/29

途中までは引き込まれて読んでいたけれど何だか最後間延びしてしまった感じ。 登場人物が多すぎて、人物に焦点を合わせて描いてほしかった。しかも皆実在の人物なのに残念。 ヨマネイクフなんか、いつの間にか再婚して死んじゃっているし… でも、知らなかったポーランドやアイヌや樺太の歴史を知れ...

途中までは引き込まれて読んでいたけれど何だか最後間延びしてしまった感じ。 登場人物が多すぎて、人物に焦点を合わせて描いてほしかった。しかも皆実在の人物なのに残念。 ヨマネイクフなんか、いつの間にか再婚して死んじゃっているし… でも、知らなかったポーランドやアイヌや樺太の歴史を知れて興味深かったし勉強になった。 日本人にされそうになったアイヌと、ロシア人にされそうになったポーランド人。それでも最後には守り継ぎたいもののために命をかけるってすごいこと。 民族ってなに?ってすごく考えてしまった。

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2021/10/24

アイヌとポーランド人学者の壮大な物語。文明とは何か、近代化とは、教育とは…。自分の価値観の押し付けをしない、他者を尊重する、人種や文化に貴賤はない。大切なことを登場人物の視点から考えることができた。フィクションと断りつつも史実に基づいて書かれており、主要人物2人とも生き方が紆余曲...

アイヌとポーランド人学者の壮大な物語。文明とは何か、近代化とは、教育とは…。自分の価値観の押し付けをしない、他者を尊重する、人種や文化に貴賤はない。大切なことを登場人物の視点から考えることができた。フィクションと断りつつも史実に基づいて書かれており、主要人物2人とも生き方が紆余曲折いろいろありすぎてなんとなくまとまりのない印象を受けてしまったのが残念。

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2021/10/05

サハリンを舞台にしたアイヌやロシア、日本人を巡った物語。一応フィクションではあるが、史実にかなり基づいていて、読み応えがある。

Posted byブクログ

2021/09/29

日本とロシアの争いに巻きこまれていく、樺太に住むアイヌの話。 文明の波がアイヌの住む地にも押し寄せてくるが、 留まりを知らない波に、自分たちの誇りまで奪われていく、 アイヌの苦悩を描く。

Posted byブクログ