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熱源 の商品レビュー

4.1

347件のお客様レビュー

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    118

  2. 4つ

    137

  3. 3つ

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2023/12/24

樺太の地を題材にした歴史小説。故郷や文化を追われているアイヌたちの、千島樺太交換条約〜太平洋戦争終了ごろまで。

Posted byブクログ

2023/12/08

まず、個人的にはゴールデンカムイと『同志少女よ 敵を討て』を読んでいないと時代背景つかめなかったなと。 この2作がとても大好きで時代背景を学び直しながら読んだ経験から今作に興味を持ったと言っても過言ではないです 第一章と第二章は、例のごとく二人の生い立ちと世界史を学び直すつも...

まず、個人的にはゴールデンカムイと『同志少女よ 敵を討て』を読んでいないと時代背景つかめなかったなと。 この2作がとても大好きで時代背景を学び直しながら読んだ経験から今作に興味を持ったと言っても過言ではないです 第一章と第二章は、例のごとく二人の生い立ちと世界史を学び直すつもりで調べながら読む これぞ醍醐味 おそらく史実かと思いますが 対雁の学校でサイゴー・ポロ・ニシパ(西郷隆盛)を崇拝する教師に出会ったこと、 “ヤヨマネクフの“ㇷ“の音が、日本語の音韻で育った人に聞こえないらしい”、だから対雁の学校では無理やり「八夜招(やよまねく)」と当てられていたこと、 アイヌの言葉と和人の言葉が異なること、同じ和人でも東北のお国の言葉と薩摩言葉が全く異なること、北海道の対雁で東北の言葉と薩摩の言葉とアイヌの言葉が入り乱れた場面等々 に面白みを感じました。 文字が滑る、というか目を滑らせて読むのがもったいない、一文字一文字、大切に読み進めたくなってしまいいつもより読むのに時間がかかった 1行たりともさらっと読み進めたくないと思いながら読みました ポーランドのこと改めて学びました。本当に勉強になりました。 「そこには支配されるべき民などいませんでした。ただヒトが、そこにいました」というブロニスワフの演説の言葉にみる サハリンとポーランドの対比。興味深くて面白いけどどこかしんどい気持ち。 第三章 録(しる)されたもの では、序章にあったトンコリや歌や言葉を残していくシーンに言わずもがな感動した 金カムのアシㇼパが残したいとやっていたのは決してギャグシーンではないんだよ… 第四章〜 ブロニシが新橋で長谷川辰之助(二葉亭四迷)に出会い早稲田で桜吹雪に ”視界は薄桃色の霧に塞がれた” ”なぜが胸が締め付けられるような郷愁を感じ”と。 桜のことや正座のこと(”両膝を揃えて曲げ、脛で床に接する姿勢で座っている”)とブロニシ目線で日本の文化を描写しています。 そう考えるとここまでも、歴史的事実をハッキリと現代に伝わる名称で書いてなかった。 日露戦争、ポーツマス条約やニコライ二世皇太子時代の大津事件など。 あくまでも当事者の目線で世界情勢を描写しています。 また、二葉亭四迷の人柄の描写はとても興味深い。 大隈重信とブロニスワフの会合は痺れたなぁ 大隈卿の「デアルンデアル」の口癖は笑いました 金田一京助の登場でいよいよ感が増しました。 金田一京助の口から石川啄木の話が出てきたところで吹いた。啄木…こいつ…と。 山辺が南極行きを決意した理由が切ないというか終盤にきてここでもこれかと辛い そして最終章を読むと同時に序章を読み返す 序章読んだときから思っていたが、「終わりの翌日」って本当に涙が出そうになるサブタイトルだと思いませんか… 全体を通して登場人物目線で書いていることには触れたが、改めて序章でロシア兵のクルニコワ伍長目線で露日戦争と書いていることに気が付いた。 じっくり読んでいるつもりでも、日本人の自分には今までの教育やら社会生活でのバイアスがかかっているなと実感した 最終章に登場する源田というオロッコ(ウィルタ)の日本兵の存在、言動については ここまで読み進めて最後の最後になんだか複雑な思いがむくむく湧きました 考えさせられる レコードのくだりはどの程度フィクションなんでしょうか。 本当に胸にくる。。。

Posted byブクログ

2023/11/11

明治維新後から太平洋戦争終結までの、樺太アイヌの話し。途中から史実を元にしていると気付く。 差別とはこういう事で、一言で言い表せる様なものでは無く、わかったような気に成るのも良くない。 現代でもジェンダー差別とかは同じ様な心の苦しさがあるのだろうとおもう。 自分に出来る事は、...

明治維新後から太平洋戦争終結までの、樺太アイヌの話し。途中から史実を元にしていると気付く。 差別とはこういう事で、一言で言い表せる様なものでは無く、わかったような気に成るのも良くない。 現代でもジェンダー差別とかは同じ様な心の苦しさがあるのだろうとおもう。 自分に出来る事は、理解しようとする事と代弁する事だろう。 良本でした。

Posted byブクログ

2023/10/31

近代化とか文明化とか、大きな時の流れとしては、豊かになり幸せになっていこうとする意志なのだから、決して否定されるものではないのだろうが、失われ変えられ踏み躙られていく側から見ると、何が豊かで何が幸せなのだろうと、苦しみ迷い傷つきながら進んでいくことになる。 一通りではない、心がか...

近代化とか文明化とか、大きな時の流れとしては、豊かになり幸せになっていこうとする意志なのだから、決して否定されるものではないのだろうが、失われ変えられ踏み躙られていく側から見ると、何が豊かで何が幸せなのだろうと、苦しみ迷い傷つきながら進んでいくことになる。 一通りではない、心がかき乱される、とても骨太な物語だった。

Posted byブクログ

2023/09/07

ロシア人になれと強要される ポーランド人と 日本人を押し付けられる アイヌ人が樺太で出会う。 歴史フィクションと謳っているが 日露から太平洋戦争までを また実在した著名人を交えるなど 史実と感じる局面も多かった。

Posted byブクログ

2023/08/26

ぐいぐい読まされた!ぜひ前情報無しで読み始めてほしいので以下感想は読んでから読んでください。 「そこには支配されるべき民などいませんでした。ただ人が、そこにいました。」しびれるー!!本当にそうなのだよ。。。改めて、日々の自分の中のクソ価値観を変えていこうと思った。わか...

ぐいぐい読まされた!ぜひ前情報無しで読み始めてほしいので以下感想は読んでから読んでください。 「そこには支配されるべき民などいませんでした。ただ人が、そこにいました。」しびれるー!!本当にそうなのだよ。。。改めて、日々の自分の中のクソ価値観を変えていこうと思った。わかりやすい知性や現代社会への適応レベルで人間に貴賤をつけるようなクソ価値観、自分も持ってしまっている。ただ人間はそこに在るだけである。もうひとつ、とにかく生き続けていればよいということ。自分にも必ずできることがあるということ。 全編を通して「熱源」というタイトルが繰り返し響いてくる。極寒の地の描写がリズミカルで的確、侵略による伝染病の様子、革命と戦争という暴力も鮮烈に詳細に描かれ、だれることなく最後まで読み切らせる。トンコリ録音のくだりが唐突な気がしつつも研究の一環だからな、、、と軽く読み流していたらきっちり回収されるどころかミラクルと救いになり得てドラマチック〜!エンタメ性と倫理感を両立してトータルで人間讃歌となっていて、好み。読み終わった後こちらに力が沸いた作品。なんとか自立して毎日を暮らしつつ、現代日本きっついわぁ、と思いながら、自分はこうして何もなく生きて死ぬのかな〜と思ってへんにゃりすることもある私はとても勇気づけられた。

Posted byブクログ

2023/08/06

史実をもとにしたフィクションと言いながらかなり史実に忠実に描かれており、樺太の日露間での移り変わりや、アイヌや他先住民がその中でどのように翻弄されたのか、そこにロシア帝国下のポーランド人民族学者が、深い関わりを持っていたり、実はそこにあのレーニンの弟も関与があったりと、かなり壮大...

史実をもとにしたフィクションと言いながらかなり史実に忠実に描かれており、樺太の日露間での移り変わりや、アイヌや他先住民がその中でどのように翻弄されたのか、そこにロシア帝国下のポーランド人民族学者が、深い関わりを持っていたり、実はそこにあのレーニンの弟も関与があったりと、かなり壮大なストーリー。川越さんの孫文に深く関与した日本人描いた見果てぬ王道とセットで明治以降の世界の中の日本の立ち位置に思いが広がる名著です。

Posted byブクログ

2023/05/31

私の父が大学時代に実地演習の集合場所が樺太の町だったという話を聞いていて、樺太に興味を持っていました。 厳しい環境の下大変な生活だろうと想像できます。 ロシアとの関係、アイヌと日本人との関係など興味を持って読みました。 南極探検隊に2人一緒にいくとは、感動しました。

Posted byブクログ

2023/05/25

 大河小説だが支流ばかりが、えがかれる。 最後には本流の大河を期待したが、そうはならなかった。 主役がサハリン島だからなのだろうか。  妻子を捨ててポーランドに行くのは小説とはいえひどいと思った。

Posted byブクログ

2023/05/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「もともとこの島は誰のものだったのだろう」 文明とはなんだろう…滅ぼしてよいものがあるのだろうか。 長い歴史の中で、栄える、進化するというのは必要だったと思うが、全てが正しいことではないし、何が起こったのか、知るべきだし、学ぶべき…なのに、戦争が起こる、戦争を起こすのは何故だろう。

Posted byブクログ