なめらかな世界と、その敵 の商品レビュー
「なめらかな世界と、その敵」多重世界もののなかでも、奇想。おもしろかった。 「ゼロ年代の臨界点」ゼロ年代というと2000年代かなと思うのだけど100年前というのがまずおもしろい。その時代にSFを書いた作家たちの葛藤の物語で、わたし実はこれがいちばん好きだったかも。 「美亜羽へ贈る...
「なめらかな世界と、その敵」多重世界もののなかでも、奇想。おもしろかった。 「ゼロ年代の臨界点」ゼロ年代というと2000年代かなと思うのだけど100年前というのがまずおもしろい。その時代にSFを書いた作家たちの葛藤の物語で、わたし実はこれがいちばん好きだったかも。 「美亜羽へ贈る拳銃」脳の改造と愛情の交錯というか、究極のすれ違いドラマなのかもこれは。 「ホーリーアイアンメイデン」こわいよ。すばらしいのかもしれないけどこわい世界。書簡のみで描いているのもすばらしい。 「シンギュラリティ・ソヴィエト」「ひかりより速く、ゆるやかに」ごめん、みなさんの評価の高いこの2作が、読みづらくて頭に入ってこなかった。自分の読む環境が悪いのかもね。いつかもう少し落ちついたら(コロナでリモートワークの人いるし)読みかえしてみるか……。「ひかりより速く~」のほうに広瀬正への言及がちらり。たしか時間の流れの違う世界に飛びこんだとき、すべてが凍りついて見えるって話を最初に読んだのは広瀬正だったような気がするけど思いだせない。『タイムマシンの作り方』がそれだったのかな。
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冒頭の表題作を読んでやめようかと思ったけど、なんとか最後まで読み切ったら、残りの作品は表題作よりはよかった。 ただ、これがSFか?という疑問は拭えない。確かに想像力は素晴らしいと思うが、作者の思い通りに何でもありにしてしまってはついていけない。 あと、設定に合わせるために無理にプロットをこじつけて最後に説明的になりすぎているため興ざめしてしまう部分もある。 「シンギュラリティ・ソヴィエト」が、結末を除いて設定としてはよかった。
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センス・オブ・ワンダーを感じる良作。多彩な題材、SFならではの物語性、登場人物のドラマ。 直前に読んだ本がテッド・チャン「息吹」でなければ ★5だったかもしれない。
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最後の新幹線の話が今の日本に重なって面白かった。不安で文明が衰退すること、現実世界で証明されつつある。
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積んでいたのにやっと手を付けたら、あっという間に読んでしまった。なんで積んでたんだ早く読めよ、とおもいましたよね。ひかりよりはやく~で、うっかり泣いたし。
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日本の短編SFもレベルが上がったなあ! 飛浩隆以外にも、こんなの書ける人いたんだ! 表題作も、美亜羽へ贈る拳銃も ラストが良くて・・・・ ひかりより速く、ゆるやかに も 読み直したら ラスト良かったかも。 文体も 読みやすくて 状況・情景がわかりやすくて、秀逸だと思う。 パラレルワールドの描写も 意味わからなかったけど わかったように読み進めたし。ちなみに 表題作の主人公は はづき、ひかりより・・の主人公は ハヤキ 名前のセンスはいまいちかも。
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表紙がラノベ調であるように、本書のノリは割と軽やかで、普段SFを読まない人にも入りやすそうだ。一方で、本作のリファレンスとなっている数多のSF作品を知る人にとっては、それが出汁のようにじわじわと美味しさを感じさせてまた面白い。どれくらい面白かったかというと、読み終わりたくないので...
表紙がラノベ調であるように、本書のノリは割と軽やかで、普段SFを読まない人にも入りやすそうだ。一方で、本作のリファレンスとなっている数多のSF作品を知る人にとっては、それが出汁のようにじわじわと美味しさを感じさせてまた面白い。どれくらい面白かったかというと、読み終わりたくないので途中でわざと停止したくらいだ。 個人的に気に入ったのは、リアルタイムPSYCHO-PASS状態と東西冷戦をお題にとった「シンギュラリティ・ソヴィエト」。 表題作は、(波動関数という単語は出てこないのですが、)私的ジャンル分けをするなら波動関数SFで、美しい描写とともに百合が美味しい。 「美亜羽へ贈る拳銃」には、伊藤計劃の『ハーモニー』『The Indifference Engine』、梶尾真治の『美亜へ贈る真珠』、イーガンの『しあわせの理由』など が”聖書”として出てきます。実際”聖書”にしているSFファンに対しての若干メタい言及もあり、これら新旧の名作SFが与える本歌取りの奥深さに大満足です。
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スマートニュースの代表との関係はよくわからないが、そのタイトルで読もうかなと思った本。 SFだけど、その設定が一度頭に入ってくると、その描写力から、逆にリアリティーが圧倒的に押し寄せてくる感覚になった。 恋愛小説のような感傷に浸れるかもしれない。
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SFは大法螺話であるところがおもしろいと思っているので、これは良かった。「伊藤計劃トリビュート」に収録されていた一篇をはじめ、先行作がすぐに思い浮かぶものもあるけれど、アレンジの仕方というか、話の広げ方が今風な感じ。さまざまなSFを消化吸収した人が、自分の風呂敷を広げているって言...
SFは大法螺話であるところがおもしろいと思っているので、これは良かった。「伊藤計劃トリビュート」に収録されていた一篇をはじめ、先行作がすぐに思い浮かぶものもあるけれど、アレンジの仕方というか、話の広げ方が今風な感じ。さまざまなSFを消化吸収した人が、自分の風呂敷を広げているって言ったらいいのかな。新しくもあり、どこか王道的懐かしさもあり、楽しく読んだ。 ライトノベル的な展開や雰囲気に抵抗がないではないけれど(表紙もなあ…)、まあこれはオールドファンの繰り言でしょう。
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