なめらかな世界と、その敵 の商品レビュー
伴名練『なめらかな世界と、その敵』読了。年刊ベストSFで読む度に「読ませるなあ」と思ってた作家の初短編集。読むほどにエモい。どれも秀逸だけれど「美亜羽へ贈る拳銃」が白眉。SFにはまだまだ新しい趣向、想像力、可能性があるものだと読後のわくわく感が心地よい。
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寡作ながらも発表される短編SFはどれもこれもが年間ベスト級というとんでもない作家・伴名練の待望の短編集。 収録作品は革新的な技術が発明された未来の世界が舞台であったり、架空のSF文学史であったり、歴史改編ものであったり、書簡体小説であったりとバラエティに富んでいる。しかした...
寡作ながらも発表される短編SFはどれもこれもが年間ベスト級というとんでもない作家・伴名練の待望の短編集。 収録作品は革新的な技術が発明された未来の世界が舞台であったり、架空のSF文学史であったり、歴史改編ものであったり、書簡体小説であったりとバラエティに富んでいる。しかしただ書き分けられる技術があるというだけでなく、その技術を用いてキャラクターの巨大な感情をぶつけてくるので、たまらなくやられてしまう。 個人的には、なかでも書き下ろしの「ひかりより速く、ゆるやかに」をオススメしたい。未曾有の災害に直面した現代日本が舞台となるのだが、災害に対するマスコミやネットユーザーなどの反応があまりにもリアルに描写されている。この2019年現在の社会を正確に掬いとっているので、ぜひ早いうちに手にとってほしい。 ちなみに本書の刊行に合わせてSFマガジン10月号と早川書房のnoteに掲載された「あとがきにかえて」も必読の内容となっているので是非チェックしてください。読書意欲が刺激されること請け合いです。
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ハヤカワの百合アンソロジー『アステリズムに花束を』で知って、期待していた伴名練。角川ホラー文庫も良かったので、本書の刊行も楽しみにしていた。 アンソロジー収録作とホラー文庫を読む限り、キャラクター小説寄りの作風なのかと思っていたが、本書は所謂『キャラが立った』タイプの短編が主体で...
ハヤカワの百合アンソロジー『アステリズムに花束を』で知って、期待していた伴名練。角川ホラー文庫も良かったので、本書の刊行も楽しみにしていた。 アンソロジー収録作とホラー文庫を読む限り、キャラクター小説寄りの作風なのかと思っていたが、本書は所謂『キャラが立った』タイプの短編が主体ではなかったように思う。 どうも寡作な作家のようなので、出来ればコンスタントに作品を発表して欲しいのだが、どうなるだろうか……。
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どの短編も正直文句なしの面白さだが、もはや自分が旧世代の老人であることをいやがうえにも自覚せざるをえない。ドラマティックだし、エモいし、メタレベルで0年代の自己批評的深みもある傑作ぞろいだが思うが、それでもやはり「三体」のスケール感とSF大風呂敷のほうがおもしろかった。これはもう...
どの短編も正直文句なしの面白さだが、もはや自分が旧世代の老人であることをいやがうえにも自覚せざるをえない。ドラマティックだし、エモいし、メタレベルで0年代の自己批評的深みもある傑作ぞろいだが思うが、それでもやはり「三体」のスケール感とSF大風呂敷のほうがおもしろかった。これはもう、おれの個人的な(年齢の)問題でしかないがw
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[出典] https://twitter.com/i/web/status/1161812379039965185
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書き下ろし『ひかりより速く、ゆるやかに』は、新海誠監督『君の名は。』『天気の子』へのSFからの返答のように思えた。セカイ系がもはや当たり前になりすぎた世界で、それを作り出す大人は責任を取るのか取らないのか、という問題が引っかかり続けていた僕にはこの短編の態度が正しいと思う。
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表題作を含む短編6つからなり、特定のサブジャンルに偏ることなく幅広くSFを楽しめる良作。 展開を支えるギミックに強引さを感じる箇所がないとは言えないが、SFであるために多少それは許されるだろうし、何より各短編の基になっているアイデアとそれを描く文体や小説構造が素晴らしい。特に表題...
表題作を含む短編6つからなり、特定のサブジャンルに偏ることなく幅広くSFを楽しめる良作。 展開を支えるギミックに強引さを感じる箇所がないとは言えないが、SFであるために多少それは許されるだろうし、何より各短編の基になっているアイデアとそれを描く文体や小説構造が素晴らしい。特に表題作は文体が凝っていて、世界観が明らかになった後に改めて読み直しても面白い。トラックを走るシーンの美しさは必見。 フィクション/ノンフィクション、SF/偽史の境界について考えさせる「ゼロ年代の臨界点」や、AIと共産主義の相性の良さに触れた「シンギュラリティ・ソヴィエト」など、はっとさせられるテーマもあって、SFライト層でも十分楽しめた。 SF好きには勿論、メタフィクションが好きな人にもおすすめ。
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作者は最近の日本SF界では元々それなりに名が通った方であるらしく、出版前から話題になっていて気になった。 実際に読んでみるとどの短編もクオリティが高く、何より丁寧に物語を作る人だな、という印象。 全部よかったが、個人的には「美亜羽へ贈る拳銃」「ホーリーアイアンメイデン」「光より...
作者は最近の日本SF界では元々それなりに名が通った方であるらしく、出版前から話題になっていて気になった。 実際に読んでみるとどの短編もクオリティが高く、何より丁寧に物語を作る人だな、という印象。 全部よかったが、個人的には「美亜羽へ贈る拳銃」「ホーリーアイアンメイデン」「光より速く、ゆるやかに」が特に良かった。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
「なめらかな世界と、その敵」★★★★★ 「ゼロ年代の臨界点」★★★★★ 「美亜羽へ贈る拳銃」★★★★★ 「ホーリーアイアンメイデン」★★★★ 「シンギュラリティ・ソヴィエト」★★★★ 「ひかりより速く、ゆるやかに」★★★★★
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