氷獄 の商品レビュー
バチスタシリーズの隙間を埋めるような短編集。知らなくても読めないわけではないがやはりシリーズを読んでいた方がピンとくるだろう。久しぶりで懐かしくもなったがシリーズの登場人物が飽和状態になっていたので正直思い出すのに少々時間がかかった。今回は白鳥さんがわりとまともだった気がするのは...
バチスタシリーズの隙間を埋めるような短編集。知らなくても読めないわけではないがやはりシリーズを読んでいた方がピンとくるだろう。久しぶりで懐かしくもなったがシリーズの登場人物が飽和状態になっていたので正直思い出すのに少々時間がかかった。今回は白鳥さんがわりとまともだった気がするのは気のせいだろうか。シリーズはかなり風呂敷を広げすぎた感があったので今後続編が出るのだろうか?と最後に思った。
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田口医師の周辺で起こるこのシリーズもいよいよ店じまいと言うことだろうか、過去作をなぞって物語は進行していく。シリーズの当初はAiの普及を力説し、このシリーズが影響したのか最近では不審死はAi診断されるようになってきたようだ。さらに医療問題の矛盾がテーマになり、本格的医療小説へ移行...
田口医師の周辺で起こるこのシリーズもいよいよ店じまいと言うことだろうか、過去作をなぞって物語は進行していく。シリーズの当初はAiの普及を力説し、このシリーズが影響したのか最近では不審死はAi診断されるようになってきたようだ。さらに医療問題の矛盾がテーマになり、本格的医療小説へ移行、SF的近未来小説もあった、ラストの本作は終末医療の問題点と司法対医療の問題に言及してこのシリーズは打ち止めとなったようだ。
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海堂ワールドの短編集。それぞれ楽しめるけど、書き下ろしの表題作が目玉。とうの昔に片付いたと思っていた第1作の亡霊が蘇り、今後はどうなるの、というところ。バチスタシリーズ完結でケリがついたと思っていたら、まだまだ先がありそうですね。
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チーム・バチスタシリーズのサブストーリーともいえる短編&中編集。基本的にはシリーズ作品を読んでいないと、面白さ半減ですね。特に表題作「氷獄」では「チーム・バチスタの栄光」の犯人を思いっきりばらしてしまっているので、これは先に読んでおくこと必須です。 お気に入りは「黎明」。今や誰に...
チーム・バチスタシリーズのサブストーリーともいえる短編&中編集。基本的にはシリーズ作品を読んでいないと、面白さ半減ですね。特に表題作「氷獄」では「チーム・バチスタの栄光」の犯人を思いっきりばらしてしまっているので、これは先に読んでおくこと必須です。 お気に入りは「黎明」。今や誰にとっても身近であるかもしれないがんという病。もしその末期症状になったときに患者自身と家族がどのように過ごすのが正しいのか。心静かに受け止めて過ごすのか、それとも希望にすがって最後まであがくのか。どちらが正しいとも言えないし、そもそも正しい答えなんてない気もするのですが。考えを押し付けられて強制されるのは怖い、と思っていたら、真相はさらに怖かった……。 そして「氷獄」は質量ともに読み応えたっぷり。あの事件の後にこんなことが起こっていたとは。医療だけでなく司法の怖さもまざまざと思い知らされる作品です。
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「桜宮サーガ」のスピンオフ作品の 短編が3本と「チーム・バチスタ」の その後を描いた中編1本の構成で、 「双生」、「星宿」、「黎明」の 短編3本は以前の作品を思いだしながら あぁ~こういうやり取りもあったんだ! とかあの後はこういうことになってたんだ! と少しずつ「桜宮サーガ」の世界観を 取り戻しつつ「氷獄」を読み始めると もう、お腹がいっぱいになるくらいに オールキャスト勢揃いの内容に 裁判の行方以上に次誰が出てくるんだっ! とワクワクしながら読み進めてしまいました。 医療vs.司法の闘いも興味深い内容でした。 「北の案件」にも日高正義が絡んでいたなんて 思いもよらず、極北シリーズを 読み返さなければと思ってしまった。 相変わらずの田口センセに ロジカルモンスター白鳥にふれ、 「桜宮サーガ」の再始動を心から 嬉しく思いました。ただ、これだけは 言っておきたい日高正義よりも 私の方が白い服を着た殉教者からの 連絡を心待ちにしていると・・・
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桜宮サーガのスピンオフ集。 「双生」 「星宿」 「黎明」 「氷獄」 の4編収録。 前半3編は短編でこれまでの物語の周辺を補完するような作品でした。 特に表題作は2019年からバチスタ裁判中心に回顧する物語で、背景にこれまでの作品や登場人物が絡んでいて、懐かしいやらうれしいやらです。 しかも、2019年時点である登場人物が東日本大震災後に行方不明になっているという状況から、その後の桜宮サーガが語られるのではないかと期待したいです。
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桜宮サーガの本編完結から7年。昨年刊行された『玉村警部補の巡礼』は、一応スピンオフと言ってよいのだろうか。そして今年、極めて本編に近い作品が刊行されるとは。これはシリーズの本格的再始動を意味するのか? 1994年「双生」。田口が預かった2人の研修医。2人はあそこから来ていた。意欲に溢れ真っ直ぐな2人と、一見組織に染まっている田口。伏線を今頃追加したような1編だが、田口という医師は本人が思っているより聡明なのではないか。 2007年「星宿」。小児病棟のある患児の願いは、現状では叶いそうにない。そこで…。オレンジ新棟にそんなものが隠されていたとは知らなかったぞ。実現のために暗躍する面々。珍しく、普通に心温まるエピソード。 2012年「黎明」。ホスピス棟の師長が投げかける言葉は正論だが、それでも藁に縋りたくもなる。誤解を招きそうな内容も含むが、やはり田口は決して凡庸ではない。嵐の前の静けさというところか。この後の展開は、ファンには言うまでもない。 半分を占める表題作、2019年「氷獄」。バチスタ事件のその後を描いており、犯人の担当弁護士が語り部だ。元作品は犯人逮捕で終わっているが、犯人は特に印象に残らなかった。実は、検察側と弁護側、双方にとってやっかいな人物なのだった。 その男は、頭は切れるし、拘置所内から事態を動かす。医療というよりは司法の闇に切り込んでいる。個人的に気になっていたあの件まで出てきて、十分長編にできそうな豪華な内容なのに、約150pに無理矢理収めた感があるかな。それにしても、忘れられないあの年に、そんなことになっていたとは…。 もったいない気はするけれど、これですべてにけりがついたことになるのか。海堂尊さんが、今後も桜宮サーガを書くのかはわからないが、本編完結から7年を経ても、読者の需要は高いと言えるだろう。
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