独ソ戦 の商品レビュー
独ソ戦について、通常戦争とは異なる世界観戦争、絶滅戦争故に途方もない被害が出た、として通説とは異なる戦争の様態を説く。
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ベストセラーになっただけのととはある。ドイツはヒットラーのみの戦争、ソ連はスターリンの共産主義戦争という枠組みが、間違っていることが示された。複合戦争としての枠組みでの絶滅戦争はこの戦争に限らない。日本は中国に絶滅戦争を仕掛けたが、大東亜共栄圏という建前を出し、アメリカも日本に原...
ベストセラーになっただけのととはある。ドイツはヒットラーのみの戦争、ソ連はスターリンの共産主義戦争という枠組みが、間違っていることが示された。複合戦争としての枠組みでの絶滅戦争はこの戦争に限らない。日本は中国に絶滅戦争を仕掛けたが、大東亜共栄圏という建前を出し、アメリカも日本に原子爆弾を投下するという絶滅戦争を起こしたにも関わらず、戦争早期終了の言い訳をしている。
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独ソ戦通史。ソ連だけで2700万人が死亡という数字に驚愕した。普通の戦争(?)でなく世界観戦争(絶滅戦争)であり収奪戦争であるとの論に納得。 人間の愚かさ怖さに今更ながら震える。戦争はしちゃならん! (核兵器禁止条約発効が決まったという報道があった日に)
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独ソ戦(1941~1945)は、日本の戦争とは全然違う。 最近テレビで「日本も、ドイツのように永遠に反省しつづけるべき」と聞くことがありました。 むろん戦争はしないほうが良いし、 戦争をしたことを反省するのも良いことだと思います。 しかし、実際のことを知らずに、やみくもに「...
独ソ戦(1941~1945)は、日本の戦争とは全然違う。 最近テレビで「日本も、ドイツのように永遠に反省しつづけるべき」と聞くことがありました。 むろん戦争はしないほうが良いし、 戦争をしたことを反省するのも良いことだと思います。 しかし、実際のことを知らずに、やみくもに「ドイツのように反省しろ」と言われても納得できません。 ちょうど良いタイミングでこの本が話題になっていたので、購入しました。 日本の戦争とは、全然違いました。 「ドイツのように反省しろ」と言っている人は「ドイツの戦争を知らない」と思いました。 読んで得るところが多かったです。 日本人が知っている戦争ではありません。と、僕が考えている日本人にとっての戦争は、戦って相手を屈服させるもの。目的は、有利な講和条約をむすぶことにあります。 ドイツの戦争は(極端に言うと)相手国の国民を皆殺しにするもの。皆殺しにして、住民がいなくなったところに、自国民が移住するためのもの。 日本では、これを戦争とは言いません。 なので、僕は今までホロコーストは戦争とは別のものと認識していました。 本書を読むと、ホロコーストも含めてドイツにとっては第二次世界大戦だったのだ。とわかりました。 現代でもナチス党員だったものが捕まれば死刑になるようです。当然だと思いました。 ドイツが、当時の戦争遂行者を否定し、国として永遠に反省し続けなければ、 ドイツ国民全体が「この世に存在する資格無し。」と言われかねないからです。 比喩的な意味ではなく「人間失格」とは独ソ戦を遂行した者のことだと思いました。 のどかな老人は「ヒトラーの時代のほうが、仕事もあったし、生活は楽で楽しかった。」と言うそうですが、それは、他の民族が今まで生活してきた蓄えを奪い、ドイツ民族に分け与えたからだったのでした。 本書は、思い込みや、国の立場を擁護する意味で語られてきた独ソ戦を、近年進んだ研究成果を紹介しながら、丁寧に事実を紹介し、独ソ戦がどんな戦争だったのかを読み解きます。 特に興味深かった点をいくつか挙げます。 1. ヒトラーとドイツ軍の関係、ドイツ国民の戦争に対する態度 2. ドイツがソ連を下せなかった、具体的な理由 3. ソ連の勝因(少し前にフィンランドとの戦争を勉強し、やたら戦死者が多い印象でしたので、人海戦術なのか、と考えていました。しかし、人海戦術だけではドイツには勝てないはず) 4. 戦争とホロコーストの関係。 以上の点は、本書で具体的に解説されています。 また、従来の便宜的な説明と、近年の研究が進んで理解が深まった点も解説されています。 良書というのは、こういう本だ、と思いました。
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不可侵条約を結んでいたはずのドイツとソビエトによる戦争、その起承転結が綴られた一冊です。 何故、条約を破ってまでドイツがソ連侵攻を決断し、最後の最後まで戦うことになったのか。 第二次世界大戦は早期講和が可能である戦争でしたが、ドイツも日本も時期を見誤りました。 戦況悪化に伴った対...
不可侵条約を結んでいたはずのドイツとソビエトによる戦争、その起承転結が綴られた一冊です。 何故、条約を破ってまでドイツがソ連侵攻を決断し、最後の最後まで戦うことになったのか。 第二次世界大戦は早期講和が可能である戦争でしたが、ドイツも日本も時期を見誤りました。 戦況悪化に伴った対話を頑なに拒む内部の存在、ドイツにおけるNSDAPと日本における軍部は大変似ています。 戦争と対話は外交政策上では表裏一体ですが、齎す結果は全く違います。 独ソ戦は飢餓や虐殺が日常の地獄と化したのです。 外交を軽んじた場合の高額なレッスンを枢軸国は受けましたので、同じ轍を踏むことのないようにしたいものです。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
1年前に発刊された時に、あの複雑な独ソ戦をコンパクトかつ的確に描写したと話題になった本。Kindleでサンプルを落としていたのだが、なかなか読む勇気がなくて実際に購入することが出来なかった。 実際に読んでみると、この世の地獄と呼んでいい暴力の連鎖であった独ソ戦(個人的には東部戦線とか、大祖国戦争と呼んだ方がピンとくる)をなるべく冷静に取り上げている良書だった。戦争というある意味で合理性の塊のような存在であるべき事象が、ヒトラーとスターリンという2人のトップにより変質していく様が明らかになる。ただし、人間性に対して冷めた見方を教えてくれるのは、この惨劇が二人の単純な個性に帰せられるのではなく、それぞれの国民や軍という組織の自律的な運動によるものでもあったということだ。世界はエンターテイメントが描くように、ただ1人の悪者が全てをコントロールしているわけではないのだ。
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独ソ戦の実態を初めて知った。ヒトラーの悪業、ということにされていたが、実態は世界観戦争であり、ドイツ軍や国民も共犯者であったのだ。
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終戦の日の翌日に読んだのは偶然。 通常戦争、収奪戦争、絶滅戦争の対比が 主体で現代史を理解するのに不可欠な 視点を与えてくれる。 さらに、スターリンやヒトラーの行動に 多くのページが割かれているが 有能な軍人を数多く粛清した結果、軍の弱体を招き ドイツからの侵略を惹起(スタ...
終戦の日の翌日に読んだのは偶然。 通常戦争、収奪戦争、絶滅戦争の対比が 主体で現代史を理解するのに不可欠な 視点を与えてくれる。 さらに、スターリンやヒトラーの行動に 多くのページが割かれているが 有能な軍人を数多く粛清した結果、軍の弱体を招き ドイツからの侵略を惹起(スターリン)、 敵との妥協を許さない強硬姿勢で選択肢を狭め、 トップでありながら個別方針に口を出す マイクロマネジメント(ヒトラー)、 現代のリーダーが歴史に学ぶ点が多いと感じた。
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本書では珍しく第二次世界大戦におけるドイツとソビエト連邦の戦いをテーマとしたノンフィクションである。 恥ずかしながら、第二次世界大戦といえば、日中戦争からの太平洋戦争のイメージが強く、ヨーロッパではナチスドイツによるユダヤ人虐待ばかりが目を引いていた。 本書では、当時のヨーロッパ...
本書では珍しく第二次世界大戦におけるドイツとソビエト連邦の戦いをテーマとしたノンフィクションである。 恥ずかしながら、第二次世界大戦といえば、日中戦争からの太平洋戦争のイメージが強く、ヨーロッパではナチスドイツによるユダヤ人虐待ばかりが目を引いていた。 本書では、当時のヨーロッパ各国の思惑、特にヒトラーとスターリンの戦争観から実際の独ソ戦がどのように展開していったのかを史実に基づいて時系列に整理されている。 本書によりヒトラーが単にユダヤ人だけを差別していたわけではないこと、真の目的がソビエト連邦を植民地化することであったことは驚きであった。 歴史書を読むと毎回感じることであるが、授業の時間枠という制約はあるにせよ、歴史の授業でこのような内容を伝えるれば、もっと学生たちに歴史に興味を持たせることができるとともに、歴史を学習することの重要性を理解させることができると思うのだが。
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第二次世界大戦の欧州における主戦場で、その犠牲と悲惨において比類のない独ソ戦争の通史。問題意識が非常に明確で、要するに、西欧では克服されているが、日本の巷間では根強い「ドイツ国防軍神話」を徹底的に解体することにある(よって日本での過去の独ソ戦・ドイツ軍関係文献はほぼ参照していな...
第二次世界大戦の欧州における主戦場で、その犠牲と悲惨において比類のない独ソ戦争の通史。問題意識が非常に明確で、要するに、西欧では克服されているが、日本の巷間では根強い「ドイツ国防軍神話」を徹底的に解体することにある(よって日本での過去の独ソ戦・ドイツ軍関係文献はほぼ参照していない)。「ヒトラーに掻き回された」「ナチスの戦争犯罪には積極的に関与していない」式の戦後の「弁明」を否定し、国防軍の杜撰な作戦指導や数々の戦争犯罪を明示している。他方、ソ連軍の用兵思想(独自の「作戦術」)の先駆性を高く評価し、スターリンの数々の誤謬にも関わらず戦線を再建し勝利に至った主因とみなしている。あたかも「死せる孔明」ならぬ「死せるトハチェフスキー」がドイツ軍を敗走させたと印象付けられたが、その評価の妥当性は門外漢には判断がつかない。岩波側は戦時下の経済や生活、戦線の兵士や住民の体験を含む社会史的叙述も期待したようだが、結果的には「戦史」の枠組みでの叙述で、ある程度軍事の知識がないと理解しにくい。
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