神様の暇つぶし の商品レビュー
夏の重たく湿った空気感を書かせたら右に出る者はいないんじゃないか!という位、肌に纏わりつく夏が文章の中にあった。 そして、こんなにも切なく苦しく生々しい恋を書けるなんて…! とにかく、感情がえぐられてすごかった!
Posted by
とても生々しい描写で空気が重く、終始セピア色のような恋愛小説。二十歳の女子大生が初老のカメラマンと恋に落ちる。芸術に純粋で少年のような男。こんな男に恋をした女性は100%不幸だろうなと思う。女は芸の肥やしではないけれど、女性を愛するのではなく、芸の為に女が必要。こういう屑な男ほど...
とても生々しい描写で空気が重く、終始セピア色のような恋愛小説。二十歳の女子大生が初老のカメラマンと恋に落ちる。芸術に純粋で少年のような男。こんな男に恋をした女性は100%不幸だろうなと思う。女は芸の肥やしではないけれど、女性を愛するのではなく、芸の為に女が必要。こういう屑な男ほど、ほっとけない女っているんだよな。ただ、劣等感を持った女子大生の藤子が、初めての恋愛に溺れている間、現実を忘れ現実を捨て、ただただ男と一緒にいる事だけが生きがいとなってる場面はすごく生命力にあふれていた。激しく痛々しい、うだるようなひと夏の暑さの描写も相まって気だるい恋愛のお話でした。
Posted by
なかなかインパクトの強い、読み応えのある一冊。 あんな展開になるとは、読み始めの頃からは想像できなかった。万人受けの内容じゃないかもしれないけど、刺さったなぁ。
Posted by
汗だくで赤黒くて、ちょっとこわかった。読んでない時間にもその空気を思い出してしまうような、、、もっかい読んだらまた違うのかなとも思う。 こんなにむせるような匂いがする小説は初めて。この3日間はふつうに生活してても敏感で、孤独だった気がする。誰かに会いたい
Posted by
この季節に読んでちょうどよかった。 若くて劣等感でいっぱいで上手く生きられないけれど生命力に溢れている主人公と、才能があって大勢の女に注目されながらも思い通りにならないことから逃げている余命短い男の物語。 現代パートがなかったら悲しいだけの一方通行だったかもしれないけど、写真集を...
この季節に読んでちょうどよかった。 若くて劣等感でいっぱいで上手く生きられないけれど生命力に溢れている主人公と、才能があって大勢の女に注目されながらも思い通りにならないことから逃げている余命短い男の物語。 現代パートがなかったら悲しいだけの一方通行だったかもしれないけど、写真集を開いてくれたことで違う方向に進んでいってよかったと思った。 それと、初めて読んだ作家なのに、情景や食べ物の描写がみずみずしく思い起こされる不思議な感覚があった。 他の作品も読んでみたい。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
父を亡くし、容姿に自身がなく人間関係の人との付き合い方も不器用なフジコ。父より年上で見た目も素行も良くないけど、暑い夏のひととき、自分を受け入れて生まれ変わらせてくれそうな男にのめり込む。写真家として、自分を撮った全さん。大学の友達ですら亡くなってい。おいていく周りの人間たち。自分がモデルとなった写真集。遺作として公開されることで、また彼女はふりまわされ、失くしてみて初めてその大きさに気付いていく痛みと怒り。表紙の2個のりんご。小川未明の『牛女』のようなどこまでも愚かなとも思える程、情の深い彼女の本質に、周りは許されていくんだろうな。ラストは頑固な主人公が自分の物語として受け入れていくんだだろうな。と思わせた。それもまた「神様の暇つぶし」になるんだろう。しかし、本当に暑い夏をつねに感じる作品だった。
Posted by
わあああああああ(叫 これはねーこれはねー好みが極端に割れるやつだよ。で、好きいいいい!って人は(俺のことだ)もう極限までハマっちゃうのよ。 で、しばらく抜け出せなくなるの。 全さんみたいなヤヴァイ男って稀にいるんだよね。遭遇したらそれはもう運が尽きた(あるいは幸運)と思って...
わあああああああ(叫 これはねーこれはねー好みが極端に割れるやつだよ。で、好きいいいい!って人は(俺のことだ)もう極限までハマっちゃうのよ。 で、しばらく抜け出せなくなるの。 全さんみたいなヤヴァイ男って稀にいるんだよね。遭遇したらそれはもう運が尽きた(あるいは幸運)と思って諦めるしかない。 終わらせることすらしない男って、ほんとうに罪だよね。だからこそ抗えなく惹かれるのだが。 願わくば生涯こんなものに出会いたくない。 でも出会ってしまったら骨も残らない覚悟で自分を差し出すしかないんだろうな。 誰にも薦められない。でも、わたしは藤子のことも全のこともみんな大好きよ。忘れない。
Posted by
* 父を亡くし1人になった藤子を、父宛に 見知らぬ男が訪ねて来る。 遠い記憶を辿ると、その男は父が憧れて 慕っていた全さんだった。 孤独になり籠る藤子へ、全さんのまるで 気まぐれの様に差し出された手。 無理矢理出た外界からの刺激に、少しずつ 命を取り戻し、鈍感で臆病な藤子に 新...
* 父を亡くし1人になった藤子を、父宛に 見知らぬ男が訪ねて来る。 遠い記憶を辿ると、その男は父が憧れて 慕っていた全さんだった。 孤独になり籠る藤子へ、全さんのまるで 気まぐれの様に差し出された手。 無理矢理出た外界からの刺激に、少しずつ 命を取り戻し、鈍感で臆病な藤子に 新たな願望が芽生える。 幼い藤子には分からなかったが、それは 苦悩も含んでいた。 知る前、知った後、人は別の人間になる。 写真の神様に愛された真っ黒な瞳。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
初老の有名カメラマン(全さん)と女子大生(藤子)とのひと夏の出会い。そう言うとどこにでもありそうな情事と思うだろう。本著は無理なく自然な二人の出会いが演出され、全さんのペースに巻き込まれていく藤子を上手に描いている。全さんや藤子の周囲の登場人物の設定もなかなかのもの。 全さんの生への執着がFUJIKOとして遺され、藤子の記憶として全さんの生が生きているのだろう。
Posted by
ひと夏の恋が濃かった! クズな全さんだけど、惹かれるのはなんとなくわかる。 暇つぶしと呼ぶのは切なすぎる。
Posted by