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神様の暇つぶし の商品レビュー

3.8

81件のお客様レビュー

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2023/10/05

父親を亡くした大学生の藤子。そんな夏の夜に父親の悪友だったカメラマンの全さんが腕から血を流しながら訪ねてくる。怖いという気持ちより傷を心配する藤子。 父より年上の男性に惹かれていくのは何故だったのか?一方全は写真集の被写体として魅力的に見えた藤子を意のままにしていくのは写真集の...

父親を亡くした大学生の藤子。そんな夏の夜に父親の悪友だったカメラマンの全さんが腕から血を流しながら訪ねてくる。怖いという気持ちより傷を心配する藤子。 父より年上の男性に惹かれていくのは何故だったのか?一方全は写真集の被写体として魅力的に見えた藤子を意のままにしていくのは写真集の為だけだったのか? はじめからこのお話はジメジメとしていて色のないフィルムを見てるような感じ。唯一桃だけがピンク色に輝いて見えました。 ラストに編集者が藤子に語った話で藤子は救われましたね。でも全さん既婚者だったとは。そこは予想外でした。

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2023/09/29

明るく軽い感じのタイトルに足元を掬われた! 他人よりも大きい体格の女子大生 柏木藤子フジコの一夏の濃く重く熱く厚い体験は、彼女に決定的な刻印を残して過ぎ去って行った♪ 中1時に母が出て行き、父は突然の事故で亡くなったばかりの藤子は茫然自失な日々を送っている。 そんな中、ある夜突...

明るく軽い感じのタイトルに足元を掬われた! 他人よりも大きい体格の女子大生 柏木藤子フジコの一夏の濃く重く熱く厚い体験は、彼女に決定的な刻印を残して過ぎ去って行った♪ 中1時に母が出て行き、父は突然の事故で亡くなったばかりの藤子は茫然自失な日々を送っている。 そんな中、ある夜突然に出血の腕を抱えて現れたのは昔近所の旧い写真館の不良息子だった廣瀬全ゼン。 亡き父より10歳ほど年長の、父と昔から馴染みだった彼は今は著名な女性ポートレート写真家らしい。 如何にも無頼な香りを振り撒きながらも何故か藤子に気遣いを示してくれる親父のような全さんに藤子は何故かぐいぐい惹かれていく。 この著者ならではの文章力表現力が巧み過ぎて読者もグイグイ引き込まれる! こんな愛のカタチもあるのかも知れませんが、藤子が何故にどんどん親ほど年齢差のある全さんにのめり込んでしまうのか私には解りません笑 全さん世代のわたくしには嬉しいストーリーではありましたが。 なかなか奥深い作品でした。

Posted byブクログ

2023/09/19

理性が吹っ飛ぶような恋愛をしたことがないので、やや距離を感じましたが。でも、友達など人との距離感が、このくらいが良い、というのは解る気がします。

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2023/09/16

 女流作家の中で、やはり千早茜さんが一番好きだなぁと改めて感じた。『しろがねの葉』を読んだとき、そのエネルギーや色、香り、鼓動などの生々しさにのみ込まれ、暫くその世界から抜け出せなかったほどだった。こんなに凄いものを書ける方だったんだなぁと今まで読んでいた作品とのスケールの差にも...

 女流作家の中で、やはり千早茜さんが一番好きだなぁと改めて感じた。『しろがねの葉』を読んだとき、そのエネルギーや色、香り、鼓動などの生々しさにのみ込まれ、暫くその世界から抜け出せなかったほどだった。こんなに凄いものを書ける方だったんだなぁと今まで読んでいた作品とのスケールの差にもびっくりした。  描写がとにかく息づいているように生々しく迫ってくる。今回は、初めて本当の恋をした女性の心のうちと、男性の色気においてそうだった。ここに登場する写真家の全さんは、実に色めいている。高齢で身体はしわがれてきているのに…  個人的に、品のある色気がある人が男女共に好きだ。色気がない人にはあまり惹かれない。そして、そんな色気がある人は滅多に見かけない。例えばどんな人が上品な色気があるか考えてみた。なかなか出てこなかったが、結局、子供の頃から好きな三浦友和さん、あとは絞り出して小泉孝太郎さん、阿部サダヲさん、若い方なら杉野遥亮さんが浮かんだ。自分が女だからか、女性の方で色気のある方は多数いるけれど、品があるという点であまり浮かばなかった。一般の方なら時々出会うけれど、やはり、有名な方だと、性的なものも売りの一つの要素として強調されて、本来あるかもしれない上品さを欠くことなっているのかもしれない。  実は、不覚にも、前に読んだことがある本とは途中まで気づかず、読んでしまっていた。しかもこの本と、その前に読んでいた本も…。無駄に時間を費やしたなぁと後悔しつつ、先が気になり読み続けた。 でも、最後まで読み終えた時、この本は再び出会えて良かったと思えた。 「どんな人の関係も同じです。どんなに深く愛し合っていても、お互い自分の物語の中にいる。それが完全に重なることがきっとないんです。」  私が時々思いを馳せる、あの人との物語も、あの人から見たら全く別の物語になるんだろう。その答え合わせをしたい気持ちがなくは無い。もし答えあわせができたら、本当の意味でその一つの物語を終わらせることができるんだろうか?と思ったりすることもある。  幸か不幸か、当時の事は記憶にフタがされているかのようによく思い出せない。ただ何かに深く執着していた感覚が体のどこかに残っている。これが、この本に書かれている「濾されて残った記憶」というものに近いのだろうか? こんなに素敵な作家さんがいて、その文章を読むことができて、なかなか私も幸せだなぁと柄にもないことをちょっとだけ感じた。 全さんの「正直すぎて、まいるわ」という台詞良かったなぁ。

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2023/07/30

人生長い中のひと夏の暇つぶしが、忘れられなくて、自分だけがまだその夏の中にいる。それは藤子にとっても全さんにとっても幸せだったり辛かったかもしれないけど、人を愛することを学び、二人をうるおして輝かせたと思う。藤子はこの先仕事や恋愛等、人々と出会い経験し、(良い)暇つぶしだったと思...

人生長い中のひと夏の暇つぶしが、忘れられなくて、自分だけがまだその夏の中にいる。それは藤子にとっても全さんにとっても幸せだったり辛かったかもしれないけど、人を愛することを学び、二人をうるおして輝かせたと思う。藤子はこの先仕事や恋愛等、人々と出会い経験し、(良い)暇つぶしだったと思えるときが来るだろう。 人間みんな、神様のいたずらに良くも悪くも振り回される一瞬ぐらいはあるのかもね。

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2023/07/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

大学生の藤子と父親より年上のカメラマン全さんとの恋愛物語。と、一言で書いてしまえば、それまでなのだけど、ただの恋愛な訳でもない。 全さんは藤子の父親より年上だし、描写ではそこまで格好良い感じには描かれていないと思うのだけど、何故か読んでいる私にも魅力的に感じてしまった。 あと、この作品の特徴的なのが食べる場面の多いこと。恋することはもちろん、生きていくエネルギーになる食事。藤子や全さんが美味しそうに食べたり飲んだりする描写が気持ちよい。 藤子にとって全さんは恋愛対象でもあっただろうけど、亡くなった父親の一面を感じていたこともあるんじゃないかなぁと思ったり。やっぱり人は誰かと生きていきたいんだよね。藤子がこれから先も前を向いて進んでいけそうなラストにホッとしました。 好きな台詞もたくさんあった。 全さんの『死期が近づいたら世界が違って見えるっていうのは、死にたくないくらい大切なものがある』って素敵な言葉だなって思った。きっと日常にも素敵なことが溢れているはずなのに、気づかないだけなんじゃないかなーって思える。

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2023/03/17

父親を亡くし、空っぽになっていた大学生の藤子の目の前に、父親の幼なじみで、父親より10歳も年上の全さんが現れた。 全さんは、近所の写真館の不良息子で、今は、有名な写真家だった。 いつしか、藤子は、全さんにとてつもなく惹かれていき、全さんの愛をひたすら求めるようになった。 父親...

父親を亡くし、空っぽになっていた大学生の藤子の目の前に、父親の幼なじみで、父親より10歳も年上の全さんが現れた。 全さんは、近所の写真館の不良息子で、今は、有名な写真家だった。 いつしか、藤子は、全さんにとてつもなく惹かれていき、全さんの愛をひたすら求めるようになった。 父親より、10歳も年上の男に惹かれる藤子。 全さんがいなくなった後も、全さんのことが忘れられない。 忘れるために、醜いところを思い出そうとする。 思い出は、薄れるどころか、漉されて、濁りが抜け落ち、純度の高い記憶だけが、キラキラとした結晶となり、日を追うごとに輝きを増していく。

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2023/02/19

「男ともだち」を読んで千早茜さんにハマり読んだ。冒頭の「思い出は濾される」から惹かれ、表現が本当に秀逸だなと思った。途中から涙が止まらなくて辛かった。千早茜さんの描く男の人はどうしてこうも魅力的なのだろうか。

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2023/02/14

いつまでも余韻が残る。 二十歳の女子大生、柏木藤子と父より年上の写真家、廣瀬全との、ひと夏の日々を描いた恋愛小説。 藤子から発散される若さゆえの傲慢さ、無防備だけれど、全に向かう純粋な気持ちがストレートに伝わって来る。 一方の全は飄々としていて掴みどころがない。 勝手気まま...

いつまでも余韻が残る。 二十歳の女子大生、柏木藤子と父より年上の写真家、廣瀬全との、ひと夏の日々を描いた恋愛小説。 藤子から発散される若さゆえの傲慢さ、無防備だけれど、全に向かう純粋な気持ちがストレートに伝わって来る。 一方の全は飄々としていて掴みどころがない。 勝手気ままに見えるが、内に秘めた熱い情熱や生への執着が感じられる。 淡々と読み進めるに連れどんどん引き込まれて行き、いつのまにか、このどうしようもない男に惹かれている自分がいた。 神様の暇つぶしなんかじゃなく出会うべくして出会った二人に嫉妬さえ覚える。 秀作。

Posted byブクログ

2023/04/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

すごく辛い恋愛なんだろうなと読んでいると切なくなった。まだ若くて初めての恋愛で、大人になってる私にはないような感覚で恋愛しているんだろうなと思った。絶対こんな恋愛したくないと思う反面、羨ましくもあった。 ・誰かと関わると、もう出会う前の自分には戻れなくなってしまう。それが幸福なことなのか不幸なことなのかはわからない。もう知らなかった日々には戻れないのだから、誰にも決められない。自分自身ですら。 ・みんな自分の恋愛だけがきれいなんだよ。不倫してようが、歳の差があろうが、略奪しようが、自分たちの恋愛だけが正しくて、あとは汚くて気持ちが悪い。

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