神様の暇つぶし の商品レビュー
思い出とは薄れるものではなく、濾されてしまうもの。 やがて、純度の高い記憶だけが網の上できらきらとした結晶になって残る。 洗いぬかれたそれは日を追うごとに輝きを増し、尖った欠片は胸に突き刺さる。 忘れられない、身を焦がすほどの恋をすることは苦しみを伴うけれども、その経験をでき...
思い出とは薄れるものではなく、濾されてしまうもの。 やがて、純度の高い記憶だけが網の上できらきらとした結晶になって残る。 洗いぬかれたそれは日を追うごとに輝きを増し、尖った欠片は胸に突き刺さる。 忘れられない、身を焦がすほどの恋をすることは苦しみを伴うけれども、その経験をできることはある意味幸せなのかもしれない。 久しぶりの重たい千早さんの作品でした。 ダメな男は分かってても逃げられない吸引力があるんですよね。 Who was the god? Time filters our memory.
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この著書さんの本はどれも湿度がじっとりと感じられる作品が多いように思う 急に現れた年の離れた男性に徐々に惹かれて行き、しまいにはコントロールがきかなくなってしまう 生涯にこれほどの影響を及ぼす人と出会えることはそうはないだろうな
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よかった。 湿度まで感じ取れるような濃密な文章。 こちらが剥き出しの感情に飲まれてしまうようだった。 だからか、読んでいて私自身を肯定してくれたようにも思えた。 読み進めるにつれてどんどん胸に染み渡る物語だった。 ☆4.0
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藤子の全さんに対する気持ちがだんだん重くなっていくのがよかった。たったひと夏の出来事だけど濃厚すぎて、一生考えて生きていくことになるよね。 連絡先をもっていない、いついなくなるかわからない不安定な感じが沼っていく原因なんだろうなぁ。全さんに惹かれる藤子の気持ちがわかった。 ...
藤子の全さんに対する気持ちがだんだん重くなっていくのがよかった。たったひと夏の出来事だけど濃厚すぎて、一生考えて生きていくことになるよね。 連絡先をもっていない、いついなくなるかわからない不安定な感じが沼っていく原因なんだろうなぁ。全さんに惹かれる藤子の気持ちがわかった。 シャッター音を鉄格子が閉まっていくような音と表していたり、カメラを黒い金属の塊と表現していて、カメラで撮られることの嫌悪感がすごく感じられた。
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一生に一度、こんなに深く愛せる人に出会えたことが羨ましい。 その時のどうしようもなく醜い自分を、どんな風に愛してくれていたのか遺していくなんて。 こんなことをされたら一生忘れられない。忘れられないようにさせられてる。全さんの執着が怖い。でも、それが藤子にとって、何にも代え難い幸福...
一生に一度、こんなに深く愛せる人に出会えたことが羨ましい。 その時のどうしようもなく醜い自分を、どんな風に愛してくれていたのか遺していくなんて。 こんなことをされたら一生忘れられない。忘れられないようにさせられてる。全さんの執着が怖い。でも、それが藤子にとって、何にも代え難い幸福であるとも思うから。 初めての千早茜さん。最初から流れもオチも分かっていても引き摺り込まれるように一気読みしました。最高でした。
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父親より年上の男性との恋。 たったひとつの季節を過ごした人。 その人はもうこの世にはいない。 その夏の蒸し暑さ、濃厚な空気を感じる。 いろんな思いを抱えた藤子が痛々しい。 死に向かう男と、生命力溢れる女。 対照的な2人がとても際立つ。 遺作となった写真集の中の藤子は、いったいどん...
父親より年上の男性との恋。 たったひとつの季節を過ごした人。 その人はもうこの世にはいない。 その夏の蒸し暑さ、濃厚な空気を感じる。 いろんな思いを抱えた藤子が痛々しい。 死に向かう男と、生命力溢れる女。 対照的な2人がとても際立つ。 遺作となった写真集の中の藤子は、いったいどんな藤子なんだろう。
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新境地、神様って誰のこと?お勧めの恋愛小説の一つとして読んでみたが、想定外の展開を楽しむことができた。
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外見にコンプレックスがあり、自分を卑下してきた藤子。 ある夜、父の訃報を知らずに訪ねてきた写真家の全さんとの出会いによって、今まで知らなかった自分の一面を知ることとなる。 "誰かと関わると、もう出会う前の自分には戻れなくなってしまう"と本文にあった通り、人生...
外見にコンプレックスがあり、自分を卑下してきた藤子。 ある夜、父の訃報を知らずに訪ねてきた写真家の全さんとの出会いによって、今まで知らなかった自分の一面を知ることとなる。 "誰かと関わると、もう出会う前の自分には戻れなくなってしまう"と本文にあった通り、人生は無かったことにはできないから、選択の連続が果たしてベストとはいかなくともベターな選択ができたのか、たまに立ち止まって振り返りたくなる。
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高身長で周りに女扱いされない自分がコンプレックスの20歳の女子大生藤子と、昔近所に住んでいた写真家の全さんとのひと夏の思い出の話です。 冒頭で全さんは既に亡くなっており、それから既に10年以上経っていることが語られます。 最初は自分の父親より年上の男の人を最初から異性として意...
高身長で周りに女扱いされない自分がコンプレックスの20歳の女子大生藤子と、昔近所に住んでいた写真家の全さんとのひと夏の思い出の話です。 冒頭で全さんは既に亡くなっており、それから既に10年以上経っていることが語られます。 最初は自分の父親より年上の男の人を最初から異性として意識している主人公に違和感を覚えましたが、歳に関係なく妙な色気があって女性を惹きつける男性というのはいるので20歳の女の子じゃ余計抗えないよなと思ったり。 藤子は全さんに嘘をつかれていた、捨てられたとショックを受けていますがどう考えても他の女性達とは違う扱いだったので絶対愛されてるよ大丈夫だよ‼︎と思いながら読んでいました(笑) ここが泣ける!ってところがあったわけではないんですけど、写真集の自分の体についての藤子の語りを聞いていたら涙が出てきて…… 藤子は自分の外見にコンプレックスを持っているけれど、全さんからみたら死にかけている自分とは違ってご飯をもりもり食べて裏表がなくて純粋な藤子は生命力の塊のようで眩しいくらい美しく映ったんだろうなと思います。
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2024.2.21 P.2 時間は記憶を濾過していく。 思い出とは薄れるものではなく、濾されてしまうもの。細い金属の糸でみっちりと編まれた網に通され、濁りが抜けおちていく。時間はそれを何度も何度もくり返し、日々の些事はぽたりぽたりと滴り、どこかへ流れ去ってしまう。 やがて、純度...
2024.2.21 P.2 時間は記憶を濾過していく。 思い出とは薄れるものではなく、濾されてしまうもの。細い金属の糸でみっちりと編まれた網に通され、濁りが抜けおちていく。時間はそれを何度も何度もくり返し、日々の些事はぽたりぽたりと滴り、どこかへ流れ去ってしまう。 やがて、純度の高い記憶だけが網の上できらきらとした結晶になって残る。洗いぬかれたそれは日を追うごとに輝きを増し、尖った欠片は胸に突き刺さる。 P.217 あのひとに悪意はなかった。いつだって、誰に対してだって、なかっただろう。無慈悲な神様そのもののように彼はただ欲求に従って行動し、後に遺された結果がどうなろうと構わなかった。それが無残なものであれ、美しいものであれ、心惹かれる瞬間だけに執着した。 私たちの時間はあのひとの作品になった。
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