夏物語 の商品レビュー
続編を貼り合わせた作品 芥川賞を獲得した『乳と卵』とその続編を貼り合わせた作品。『乳と卵』は大阪弁が多く、地の文と姪の日記から成り立つ。一方の続編部分は、インタビューを物語に落とし込んだ文章のよう。頭が人、体が獅子のエジプトのスフィンクス的な作りだ。 夏目漱石の三部作『三四郎』...
続編を貼り合わせた作品 芥川賞を獲得した『乳と卵』とその続編を貼り合わせた作品。『乳と卵』は大阪弁が多く、地の文と姪の日記から成り立つ。一方の続編部分は、インタビューを物語に落とし込んだ文章のよう。頭が人、体が獅子のエジプトのスフィンクス的な作りだ。 夏目漱石の三部作『三四郎』『それから』『門』は、それぞれ別々の話だが、それぞれの主人公が歩む人生を一つのレールで描いているように読める。 村上春樹の『街とその不確かな壁』は、『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』の続編だ。『壁』の中で『世界の終わり』を完全に書き直している。 『夏物語』は、『乳と卵』を加筆するだけにとどめず、続編の文体で全面的に書き直してもよい気がした。今回は夏子の視点が最も重要であり、緑子が日記で語る部分の必然性はないようにも思える。 まさか十数年後に『夏物語』とその続編を貼り合わせた作品を出さないよな。。。 ただ、登場人物のキャラクターは良くて、特に善百合子、恩田、仙川さんは印象的だった。任務を終えて宇宙の向こうに飛んでいくボイジャーが、種だけ残して栃木に帰る逢沢に重なり、実に気の毒だった。一人の男性読者としては、恩田や逢沢、成瀬でない普通に共感できる男が描かれていると、作品全体への共感が増すような気がした。
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AIDについて、知らないことばかりだったので興味深く読んだ。 様々な立場の登場人物が出てきて、皆自分の考えをしっかり持ち、それを人に淀み無く伝えられているのがすごいなと思った。 あとやはり関西弁は文字で読むだけでも説得力がある。自然と声が聞こえてくるようで、さらさら読めた。 生...
AIDについて、知らないことばかりだったので興味深く読んだ。 様々な立場の登場人物が出てきて、皆自分の考えをしっかり持ち、それを人に淀み無く伝えられているのがすごいなと思った。 あとやはり関西弁は文字で読むだけでも説得力がある。自然と声が聞こえてくるようで、さらさら読めた。 生まれてくる命について深く考えたことがなかったが、私に新たな視点を与えてくれる作品だった。
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途中で何度か挫折しそうになってでも読み進めると、乗ってきて…を繰り返す本。 色んな時代の色んな女性の色んな生き方、考え方が詰まってるなぁと思った。
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「その赤ん坊は、わたしが初めて会うひとだった 。思い出の中にも想像の中にもどこにもいない 誰にも似ていない それはわたしが初めて会うひとだった。赤ん坊は全身に声を響かせ大きな声で泣いていた。 『どこにいたの?ここに来たの』と声にならない声で呼びかけながら わたしはわたしの胸の上で...
「その赤ん坊は、わたしが初めて会うひとだった 。思い出の中にも想像の中にもどこにもいない 誰にも似ていない それはわたしが初めて会うひとだった。赤ん坊は全身に声を響かせ大きな声で泣いていた。 『どこにいたの?ここに来たの』と声にならない声で呼びかけながら わたしはわたしの胸の上で泣き続けている赤ん坊を見つめていた。」 this is 川上未映子だ オーディブルで聴き始めたけど第一章がどうにも聴き進めにくくしばらく置いてしまったけど、第二章の面白ささすが 反出生主義や生殖医療についての本だと聞きかじって読んだけどむしろ「女の身体を生きること」「産むこと」「生まれさせること」に対する負の面をこれだけ多様に様々なキャラクターの様々な境遇に基づいた様々な語り口で浴びせられ続ける夏子がそれでも「会ってみたい」という不確かで曖昧な欲動だけで子を成そうと試みるというパワフルで論理を超えた生への肯定に胸が熱くなる (小説家という肩書きが偶然大きな意味を持ったという背景はあるにせよ)世界に馴染めず生きてきた孤独な女性がなんだかんだで好きになった異性からむしろ好意を寄せられるようになる展開は『すべて真夜中の〜』で完全に既視のそれで、やっぱり川上未映子はしっかりモテて生きてきたんだろうなとその都合のよさを勝手に好ましく思いつつ、夏子は/本作品はすべて〜と違って「自分とは何か」のような閉じきった問いに終始せずむしろ強烈で無根拠な「会いたい」で外に繋がろうともがいていてそのアップデートにもぐっとくる 自分も生殖医療のお世話になって妊娠したけれど、それが「男の性欲を必要としない妊娠」だったことに本書で初めて気づいてハッとした 「男は女であるということがどれだけ痛いか絶対にわからないので構造的に全員敵」と断じて夏子のパートナーや性好意を前提としない妊娠および出産を希望する意思を全肯定する女性作家の言葉が強く印象に残る 彼女ほど目に見えて男性性に敵意を向ける気はないけれど、もしも世界がほんとうにそうなれば、どれだけ未来は明るくなるだろう 産むかどうかを女だけが決められて、産むことや育てることに必ずしも男を必要としない世界
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一言では言えない話し 主人公はアセクシャルなのかな そして関西弁のリズムがとても印象的 巻子の話し方がとても好きずっと聞いていたい 緑子が喋りまくるバイト先のイタチの話も大笑いした 関西弁っていいなぁ この本は各国で翻訳されてるけど関西弁をどう訳すのだろう この独特のリズムと愛嬌...
一言では言えない話し 主人公はアセクシャルなのかな そして関西弁のリズムがとても印象的 巻子の話し方がとても好きずっと聞いていたい 緑子が喋りまくるバイト先のイタチの話も大笑いした 関西弁っていいなぁ この本は各国で翻訳されてるけど関西弁をどう訳すのだろう この独特のリズムと愛嬌と泥臭さと物哀しさをスッと理解できる、日本人で良かったと思う
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前半は『乳と卵』なのか。2編が編み合わされ、ある1人の女性の、1つの選択とそこに至るまでの過程の物語。 以下、なんかメモってたページ箇所。 P250. たまにえらい刺してくるセリフがある。朗読劇を聴きにいくタイプのファンは「文学信奉者としての義務」を果たしているだけである。そ...
前半は『乳と卵』なのか。2編が編み合わされ、ある1人の女性の、1つの選択とそこに至るまでの過程の物語。 以下、なんかメモってたページ箇所。 P250. たまにえらい刺してくるセリフがある。朗読劇を聴きにいくタイプのファンは「文学信奉者としての義務」を果たしているだけである。その場合の「権利」とは「なにもかもうまくいかないのは、あくまで自分がものをわかっている側の人間だからなんだって安心できる権利」のこと。 P254. 「関西弁は語りのために進化した、というか語りの最高形態を目指すために言葉の体質が畸型化していって、その結果語られる内容もさらに畸型化していく…」interestingすぎる関西弁考察。 P267. カート・コバーン”I’m so happy ‘cause today I found my friends they’re in my head”それで幸せ P333. 仙川さんの子育て論、確かにわかる。最初からそんなのわかってたことなのに、何故今さら言うんだ。よくやるよな、そう思う。そう思うけども…何故こう口にすることに対して「どう思われるかな」とか考えちゃうんだろう。「みんなわかってるし、わかってたけど、それを選ぶ」というラインにすら立っていないことへの後ろめたさなのか?ある種の欠陥のように無意識下で思っているのかな。 P435. 本書の核。善さん「子どもを生む人はさ、みんな自分のことしか考えないの。…それで、たいていの親は、自分の子どもにだけは苦しい思いをさせないように、どんな不幸からも逃れられるように願うわけでしょう。でも自分の子どもがぜったいに苦しまずに済む唯一の方法っていうのは、その子を存在させないことなんじゃないの」親の願いは、パフォーマンスとしての「願い」ということになるのか、エゴでしかないということなのだろうかな。わかるけど、そう言い切ってしまうことにすごく怖さと悲しみを私はおぼえる、両親にたぶんこのことはいえないと思った。反出生主義に関する他の本も読みたい。
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1ヶ月?近くかけてほぼ毎晩風呂のなかで湯船に漬かりながら読んでた。 自分がなぜ女として産まれてきたのか、なぜ自分の胸が膨らむのか、なぜ自分には無駄にでかい乳や尻があって、腹の横にはルビンの壺みたいなカーブがあって、そうつまりなぜ異性から性的な目で見られる身体を持ち合わせたのか、...
1ヶ月?近くかけてほぼ毎晩風呂のなかで湯船に漬かりながら読んでた。 自分がなぜ女として産まれてきたのか、なぜ自分の胸が膨らむのか、なぜ自分には無駄にでかい乳や尻があって、腹の横にはルビンの壺みたいなカーブがあって、そうつまりなぜ異性から性的な目で見られる身体を持ち合わせたのか、それなのになぜ子どもを欲しいと思ったことがないのか、そうなると私が女として産まれてきた意味は?この身体を持った意味は?この身体が、私が持ち合わせている女という個体は、いとしい人に見られることなく触られることなく、そしていとしい人とのいとしい子どもを産むことなく死ぬんじゃないんだろうか、ていうかそもそもなぜ私は産まれたのか、ママやパパはどういう思いだったのか、単純に世間体とかを考えてエゴで産んだんじゃないのか、そういった小さい頃から絶対誰も考えたことないだろう小さな問いが、全部全部丁寧に言語化されていた。 そして、10年くらいだいじでだいじで仕方なかった、好きだった人にしか抱いたことがない、穏やかな温かな気持ちを思い出した。あと、恋愛においてどうしようもなくうれしい時に、どうしようもなく悲しくなることも。 こういう小説を読むと、自分は文章を書かなくていいんじゃないかと思ってしまう。でもやっぱり書きたいし、自分だけの何かを誰かに見出してほしくなってしまう。 この読後のどうしようもなく切なくて温かくて幸せででも涙が止まらなくて、小さい頃から親に否定されて生きてきたあたしがあたしを肯定できる時間がすごいすごい幸せだな。
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AIDで子供を産みたい夏子。AIDで産まれてきた逢沢と善百合子。 善百合子の言葉が印象的だった。 人が産まれてくるということはみんな素晴らしいことだと信じいてる。生まれてくる以前に戻るドアはない。悪気はない。子供を生む人は自分のことしか考えない。生まれてくる子のことを考えない。...
AIDで子供を産みたい夏子。AIDで産まれてきた逢沢と善百合子。 善百合子の言葉が印象的だった。 人が産まれてくるということはみんな素晴らしいことだと信じいてる。生まれてくる以前に戻るドアはない。悪気はない。子供を生む人は自分のことしか考えない。生まれてくる子のことを考えない。子供のことを考えて産んだ親はいない。親は自分の子どもにだけは苦しい思いをさせないように願う。でも、自分の子どもがぜったいに苦しまずにすむ唯一の方法はその子を存在させないこと。自分が登場させて子どもも自分と同じかそれ以上に幸せになるだろうと賭けているようにみえる。本当はみんな幸せの方が多いと思っている。だから賭けるこもなでにる。その賭けに負けるとは思ってもいない。自分のため。その賭けをするにあたって、親は自分のものを何も賭けてなんかいない。 考えたことのない視点だった。でもまさにそうだ。子どもを産むことは親のエゴ。子どもに会いたいというエゴ。それを心にきちんと留めて子育てをしていこう。子どもは子ども自身の人生を歩んでいくのだから。
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題材AIDというとてもデリケートで考え方がさまざま‥ 人それぞれでとらえるって感じでしようか‥ 私自身は読んでかなり私って普通かな でもまた普通もわからなくなる 文章はフラットで明るいところがいいと感じた!
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手元に来てから読み終わるまで数年かかった。1週間の休暇の最終日に最後の50ページを読み切った。あの頃はまだコロナで、あの頃の自分が読んでもおそらく意味がわからなかったと思う。
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