夏物語 の商品レビュー
村上春樹が寄せた帯を見て手に取り、著者の覚悟を一身に受け止め、自分もまた覚悟を決めて読み進めた。 全部が響いた訳ではない。 でも、確実に、響き、顔を上げたら世界が違うように見えました。 万人におすすめはしない。 読んでいる最中は⭐3かもと思っていたはずなのに、読み終えて手が勝...
村上春樹が寄せた帯を見て手に取り、著者の覚悟を一身に受け止め、自分もまた覚悟を決めて読み進めた。 全部が響いた訳ではない。 でも、確実に、響き、顔を上げたら世界が違うように見えました。 万人におすすめはしない。 読んでいる最中は⭐3かもと思っていたはずなのに、読み終えて手が勝手に⭐5を押していました。
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それぞれの登場人物が秘密にしていることを、上手に言語化している。 そんな事、世間にさらさないで欲しいなぁと嫌な気持ちになるテーマもあった。 けれど、川上未映子さんじゃないと書けない、倫理的ジレンマとか哲学的な思考とかに魅了されてしまう。 逢沢潤のお父さんの言葉は、いいですね...
それぞれの登場人物が秘密にしていることを、上手に言語化している。 そんな事、世間にさらさないで欲しいなぁと嫌な気持ちになるテーマもあった。 けれど、川上未映子さんじゃないと書けない、倫理的ジレンマとか哲学的な思考とかに魅了されてしまう。 逢沢潤のお父さんの言葉は、いいですね。 それまで出てきた深いテーマに 「全てちっぽけなことだ。宇宙規模で考えてみろ、どうでもいいことだ」 と一蹴してしまう。 人間、生まれて死ぬまで、どうでもいいことを一生懸命やっている。
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著者、川上未映子さん、ウィキペディアによると、次のような方です。 ---引用開始 川上 未映子(かわかみ みえこ、1976年8月29日 - )は、日本の小説家、詩人、元歌手。 ---引用終了 で、本作の内容は、次のとおり。 ---引用開始 パートナーなしの妊娠、出産...
著者、川上未映子さん、ウィキペディアによると、次のような方です。 ---引用開始 川上 未映子(かわかみ みえこ、1976年8月29日 - )は、日本の小説家、詩人、元歌手。 ---引用終了 で、本作の内容は、次のとおり。 ---引用開始 パートナーなしの妊娠、出産を目指す夏子のまえに現れた、精子提供で生まれ「父の顔」を知らない逢沢潤―― 生命の意味をめぐる真摯な問いを、切ない詩情と泣き笑いに満ちた極上の筆致で描く、21世紀の世界文学! 世界十数ヵ国で翻訳決定! ---引用終了 60代の私には関心度が低いのですが、重いテーマを扱った作品ですね。
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人はなぜ生まれるのか、どのようにして生まれるのかについて考えさせられる一冊。 なぜ季節はいつも夏なのか?
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2ヶ月ぶりくらいの読了。 折角、持ち込んだ要素を全て無に返して話を展開させるのは面白みに欠けるが、エンタメ小説ではそもそも無いので、それが逆に良いんだろう。心は特には動かされなかったが、序盤の退屈さ(黄色い家に雰囲気が似すぎていた為)は吹き飛び、後半は1日で読んだ。 「豊胸手術」...
2ヶ月ぶりくらいの読了。 折角、持ち込んだ要素を全て無に返して話を展開させるのは面白みに欠けるが、エンタメ小説ではそもそも無いので、それが逆に良いんだろう。心は特には動かされなかったが、序盤の退屈さ(黄色い家に雰囲気が似すぎていた為)は吹き飛び、後半は1日で読んだ。 「豊胸手術」と「精子提供」は、社会的な意味でトピックが似ているようで、作品で言及されているように、神の干渉が入る時点で全く違うのはそうで...なんかクシャクシャとかき混ぜられて、で?それは何としか感じない。よく分からない。でも面白い作品ではあった。 ところで、川上さん、ポスターなどがとてもお若いので若い方かと思っていたら50歳ということに衝撃をうけた(?)、作品中でも描写や思考のあまりのリアルさに本人の自叙を元にしているなど感じて、登場人物との年齢の逆算を何度かしてしまった。 あと、舞台が自分の拠点に近い為良い気持ちに(自由が丘や緑ヶ丘)
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自分が持たない感情や思考があり 引き込まれていく時もあれば 興味の持てないとこもあり 読了にやや時間がかかった。 とはいえ 読み終えて 子どもを産むことが自分本位ではないかと問われて びっくりと同時に本当にモノの考え方は色々だな と考えた。 星3にしたが3.9
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
普段はミステリが多いのであまり手に取ることの無いジャンルの本だったけれど、テーマが気になって読了。 結果、読んでよかった。 産むということ、産まれるということ、その責任について考える物語。 私自身は結婚当初子どもを設けることにそこまで積極的ではなかった。確実に健康な子が産まれる保証もないし、幸せにしてあげる自信がなかったから。それでもやっぱり産もうかなと思ったのは、夫となら金銭的にも精神的にもがんばれるのかなと思ったからであって、例え生涯独身だったとしても、又は何らかの理由で別れたとしても、自分1人でも子どもが欲しいとはこの先絶対思わなかったと思う。なぜなら覚悟がいることだから。 なので、作中で1人でも子どもを設けたいと考える夏子はわたしなんかよりずっとずっと強く子どもが欲しいと思ってるんじゃないかと、こういう人の方が育てる資格があるんじゃないかと、結婚したしそろそろ子どもも作ろうかなみたいなふわっと世間の流れにのるような夫婦よりよっぽど物事を考えているんじゃないかと内省しながら読み進めた。 しかしながら夏子とて相手が誰でもいいわけではない。 最終的に彼女が悩みながらもやはり1人で産むことにしたのは結局精子提供者が「彼」だったからではないのか。 そしてその結果産まれた子どもが幸せに育ったのか、自分の出生をどう感じるのか、そこまでは物語に描かれない。だけれども幸せであれと思わずにはいられないのである。
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乳と卵の続編は、夏自身のお語で、まさしく夏物語だった。生まれること、生きること、生むことを深く考える一冊。
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泣いた。 哲学だね、これは。ふわふわしてて掴めそうで掴めないほんとは掴めるものではないのかもしれない、けどそこに確かにあるはずで、という感じで途中意識が飛ぶ(眠)。 けど、ブワッと泣けた。 文に点々ついてる箇所がよく出てきて、そのほとんど強調する意図がよく分からなかった。 p....
泣いた。 哲学だね、これは。ふわふわしてて掴めそうで掴めないほんとは掴めるものではないのかもしれない、けどそこに確かにあるはずで、という感じで途中意識が飛ぶ(眠)。 けど、ブワッと泣けた。 文に点々ついてる箇所がよく出てきて、そのほとんど強調する意図がよく分からなかった。 p.49 んで生まれてきたら最後、生きて、ごはんを食べつづけて、お金をかせぎつづけて、生きていかなあかんのは、しんどいことです。お母さんを見ていたら、毎日を働きまくっても毎日しんどく、なんで、と思ってしまう。 p.88 でもそのあと、わたしは気づいたことがあって、お母さんが生まれてきたんは、おかあさんの責任じゃないってこと。 p.436 自分が登場させた子どもも自分とおなじかそれ以上には恵まれて、幸せを感じて、そして生まれてきてよかったって思える人間になるだろうってことに、賭けているようにみえる。人生には良いことも苦しいこともあるって言いながら、本当はみんな、幸せの方が多いと思ってるの。だから賭けることができるの。(略)そしてもっとひどいのは、その賭けをするにあたって、自分たちは自分たちのものを、本当には何も賭けてなんかいないってことだよ。 p524 「でも、わたしがそう思ったのは」わたしは言った。「それを話してくれたのが、善さんだったからだと思います」
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23/4/3読了 「すべて真夜中の恋人たち」に続き2冊目の川上未映子さん。 一作目の登場人物の三束(みつつか)さんに始まり、今回の逢沢さんも、川上さんの作品に登場する男性はなんだか雰囲気が似てる。口数は多くなさそうで、でもあったかくて、おおらか。 少し影のある主人公を包み込める...
23/4/3読了 「すべて真夜中の恋人たち」に続き2冊目の川上未映子さん。 一作目の登場人物の三束(みつつか)さんに始まり、今回の逢沢さんも、川上さんの作品に登場する男性はなんだか雰囲気が似てる。口数は多くなさそうで、でもあったかくて、おおらか。 少し影のある主人公を包み込めるような男性でよかった。 夏子の姪である緑子の幼少期の日記も印象的だった。子供が生まれることをネガティブに考えたことがあまりなかったが、生まれてこなければ辛いことを経験しない。誰も望んで生まれてきていないと言う緑子の幼少期の日記にはっとさせられた。 文章の比喩表現が何とも言えない言葉選びで、実際に想像するのが楽しかった。
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