教育格差 の商品レビュー
もともと早稲田大学で教授をしていた方で、 親の経済や学歴、出身地域によって生じる格差のメカニズム。 経済的、文化的、社会的要素と身分社会再生産、 改善のための冷静な現状把握。 統計から分析された資料も分かりやすい。 あんまりこういうエッセイ読まないし、結局は自分の能力と努力で選択...
もともと早稲田大学で教授をしていた方で、 親の経済や学歴、出身地域によって生じる格差のメカニズム。 経済的、文化的、社会的要素と身分社会再生産、 改善のための冷静な現状把握。 統計から分析された資料も分かりやすい。 あんまりこういうエッセイ読まないし、結局は自分の能力と努力で選択肢がどう分かれるのか面白かった!
Posted by
「勉強できる子、できない子」、「勉強得意な子、苦手な子」 この差は、勉強にやる気が起きないからとか授業が分からないからとかっていう「子ども本人」のマインドによるものだと思っていた。 しかし、これらの格差は決して、子どものせいではないむしろ子どもは悪くない、その子を取り巻く環境(家...
「勉強できる子、できない子」、「勉強得意な子、苦手な子」 この差は、勉強にやる気が起きないからとか授業が分からないからとかっていう「子ども本人」のマインドによるものだと思っていた。 しかし、これらの格差は決して、子どものせいではないむしろ子どもは悪くない、その子を取り巻く環境(家庭や地域、学校、クラス、友達など)や格差を再生産する日本社会(教育制度)によるものであるのだと思った。 子どもにとって親や生まれた地域は選べないし、社会の決まりやルールからは逃れられない。 全部不可抗力で、子どもは何も悪くない。なのに「生まれ」という初期条件によってその後の人生が20歳前後で決まってしまう社会がここにはある。 環境によって無限の可能性に満ち溢れた多くの子どもたちの未来が狭められ、可能性が潰されることは、同時にこれからの日本をよりよくしていくための可能性の芽を潰しているのと同じではないか。 子どもにとってはそれがあたかも「避けられない現実」として当たり前のように現れるが、それが繰り返されることをなくしていかなければならない。 環境がどうであれ、本人次第で自分の未来を切り拓いていけるような社会にしていくべきだろうし、それが実現する教育制度を整えなければならない。 恵まれない環境にいる子どもたちを探し、救うことのできるチャンスが与えられた今の仕事に対しての使命感と誇りを感じる。
Posted by
SES(Socio-Economic Status)と能力の相関は実際あると思う。自分の場合、やっぱり苦労した気がする。 でも、両親の教育への理解と粘り強さと運でここまで来れたと思うので非常に感謝しないといけないですね。 https://www.mext.go.jp/conte...
SES(Socio-Economic Status)と能力の相関は実際あると思う。自分の場合、やっぱり苦労した気がする。 でも、両親の教育への理解と粘り強さと運でここまで来れたと思うので非常に感謝しないといけないですね。 https://www.mext.go.jp/content/1423048_5.pdf
Posted by
最近流行しているらしい。 教員として勤める中で、生徒や保護者に対する視線に自分の偏見や勉強不足によるものがかなり多分に含まれていたのだということを再確認させてもらえた。特に興味深かったのは以下の点。 「本人の努力次第」と考えられがちな「学力」や「学歴」は、実際には「親の学歴・家...
最近流行しているらしい。 教員として勤める中で、生徒や保護者に対する視線に自分の偏見や勉強不足によるものがかなり多分に含まれていたのだということを再確認させてもらえた。特に興味深かったのは以下の点。 「本人の努力次第」と考えられがちな「学力」や「学歴」は、実際には「親の学歴・家庭の経済的余裕」に左右されている。 「受験生を多様な視点から判断する」AO入試はむしろ親が高学歴だったり経済的に余裕があったりする家庭(の生徒)にとって有利である。 日本では家庭ごとの経済格差が人種や見た目で分かりづらいため、生徒本人や保護者の学校や授業に対する意識・態度が経済的余裕に由来していることが見えづらい。 日本では教育学部で格差について学ぶ機会がほとんどないため、教員も生徒の低学力を「本人の努力不足」などと判断してしまいがちである。 しかし『文明としての教育』にもあったが、「教育と福祉は違う」のである。どこまで個別最適化をすべきか? 果たしてできるのか?という点についても、考えを深めていきたい。
Posted by
『過去や現状を把握せず、内省もしないのに「主体的に深い学び?」「批判的思考?」それって悪い冗談だよね』 本書のタイトルこそ「教育格差」だが、もう一つのテーマは「根拠の弱い教育政策」だろう。誰もが知っている分野だからこそ、喧々諤々の議論が巻き起こる。そうして、国民が振り回される。...
『過去や現状を把握せず、内省もしないのに「主体的に深い学び?」「批判的思考?」それって悪い冗談だよね』 本書のタイトルこそ「教育格差」だが、もう一つのテーマは「根拠の弱い教育政策」だろう。誰もが知っている分野だからこそ、喧々諤々の議論が巻き起こる。そうして、国民が振り回される。そのわりを一番食うのは低所得者層である。 この連鎖を繰り返さないために、本書が訴える教育格差を可能な限り是正する教育制度を作る必要がある。そのためにはエビデンスに基づいた政策の実施と、得られた経験を可視化する仕組みづくりが早急に求められる。
Posted by
この本を読んだ今は、新型コロナウィルス感染予防の長い休校期間にも両親教育熱心か両親メディア消費量多いかの家庭事情の違いによりさらに子どもたちの教育格差が拡大する期間に思えてならないです。
Posted by
戦後から現在までの教育の動向を圧倒的な科学的データを基に分析し、日本社会は親の学歴や地域格差によってその子どもたちの選択肢・可能性が制限される緩やかな身分社会であると言い切り、その現実的改善策を探る。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
「教育は誰もが何らかの実体験を持っているので自説を持ちやすい(p256)」 「結局のところ、「教育改革」のやりっ放しなのである(中略)日本は改革前後でまっとうなデータを蓄積していない(p293)」 ・・・の現況ゆえ、筆者は本書を執筆した。 幼児教育ーーー目に見えにくい格差の始まり 小学校ーーー不十分な格差縮小機能 中学校ーーー「選抜」前夜の教育格差 高校間ーーー間接的に「生まれ」で隔離する制度 各章ごとに「まとめ」があったが、データを強調するあまりか論文情報が多く、ちょっと読みにくかった。 「建設的な議論のための4カ条」と具体的な2つの提案は多いに賛同!
Posted by
新書大賞2020第3位 https://www.chuko.co.jp/special/shinsho_award/
Posted by
Posted by