緋の河 の商品レビュー
この本のモデルのカルーセル麻紀さんのことは,テレビで偶に,男言葉で啖呵を切られる姿が子どもながらにとても面白くて,印象に残っています。 大阪の方とばかり思っていましたが,ご出身は釧路なのですね。 幼少期,周囲から受け入れられなくて,悩む様子が描かれたり,もっとどんよりした物語か...
この本のモデルのカルーセル麻紀さんのことは,テレビで偶に,男言葉で啖呵を切られる姿が子どもながらにとても面白くて,印象に残っています。 大阪の方とばかり思っていましたが,ご出身は釧路なのですね。 幼少期,周囲から受け入れられなくて,悩む様子が描かれたり,もっとどんよりした物語かと勝手に相続していたのですが,読むと,主人公の秀男は,自らの知恵で居場所を獲得していくなど前向きで,周囲の人の中にも受け入れてくれる人もおり,とても清々しい,読んで勇気をもらえる小説でした。 いつもながら,著者の本は,どうして人の心のひだをこんなに的確に表現できるのだろうと思うのですが,本書も心に沁みる言葉がたくさんありました。 第2部が執筆されているとのことですので,是非続編が出たら読みたいと思います。
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図書館で借りた本。カルーセル麻紀の半生を小説にした内容。釧路の港町で生活していた幼少時代から周りから可愛い、女の子みたいと言われ続け男らしさより綺麗な物が好きで坊主にしたくない小学生の頃。好きになるのは男ばかり。札幌でのゲイボーイ時代、そして大阪でストリップダンサー。自分の性に忠...
図書館で借りた本。カルーセル麻紀の半生を小説にした内容。釧路の港町で生活していた幼少時代から周りから可愛い、女の子みたいと言われ続け男らしさより綺麗な物が好きで坊主にしたくない小学生の頃。好きになるのは男ばかり。札幌でのゲイボーイ時代、そして大阪でストリップダンサー。自分の性に忠実に生き表舞台に登場したパイオニア。理解ある身内もいて良かったなと思う。
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久しぶりにすごい引力の本に出会ってしまって一気読み。 この本の魅力は一言で語りきれないんだけど、それが実在の人物をモデルにした小説の面白さなのかもしれない。 常にフロンティア精神。素晴らしい。元気をもらった。
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桜木紫乃×カルーセル麻紀。「あたしをとことん汚く書いて」とのことで小説化した彼女の半生。幼い時から心と体の性が異なる秀男(麻紀)。時代もあり、何時でも周りからは奇異な扱いを受けるが「あたしはあたし。自分が大好き」を貫く。そのブレなさは天晴れ。しかし「汚く書いて」とのことだか、むし...
桜木紫乃×カルーセル麻紀。「あたしをとことん汚く書いて」とのことで小説化した彼女の半生。幼い時から心と体の性が異なる秀男(麻紀)。時代もあり、何時でも周りからは奇異な扱いを受けるが「あたしはあたし。自分が大好き」を貫く。そのブレなさは天晴れ。しかし「汚く書いて」とのことだか、むしろ綺麗に書かれているのでは..。幼少期・学生時代の話は面白かったが、肝心のゲイボーイ時代の話はやや冗長に感じる。期待値が高かったせいか、思ったよりは大人しめな印象。とはいえ桜木さんの麻紀さんに対するリスペクトは十分に伝わってきた。
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つい最近バンコクでニューハーフショーを見た。きらびやかな世界だった。でも一番の感想は、なぜか「カルーセル麻紀って、やっぱりキレイ、あの人ほどキレイな人はいなかった」というもの。前の方の席ではなかったし、そこまではっきり顔が見えたわけではないのだが、なんか「カルーセル麻紀が一番キレ...
つい最近バンコクでニューハーフショーを見た。きらびやかな世界だった。でも一番の感想は、なぜか「カルーセル麻紀って、やっぱりキレイ、あの人ほどキレイな人はいなかった」というもの。前の方の席ではなかったし、そこまではっきり顔が見えたわけではないのだが、なんか「カルーセル麻紀が一番キレイ」みたいな感想が自分でも不思議だった。 子供時代、関西のテレビで見たカルーセル麻紀が懐かしい。上岡龍太郎や横山ノックの隣にいた彼女。 完全にミーハー気分で読み始めた。裏話的な、ゴシップ的な小説ではないのだと早々に気がついた。失礼しました。 子供時代の部分が長かったこともあり、家族の小説としての印象がわりと強い。特に、姉章子さんが強く印象に残る。ラストの帰省の場面も良かった。 誰よりも「自分自身を生きる」ことを選び、誰よりも強く一人で生きてきた人の話なのに家族の存在が大きいのは、だからこそ、ということなのか。あるいは時代なのか。 私が勝手に家族部分を大きく捉えただけなのか⁉︎ 第二部も執筆中ということで、とても楽しみだ。 "汗と木々の湿気で重たかった心が、すっと乾いて軽くなる。蝉の抜け殻がからからに乾いている理由も、そんなところなのだろう。長谷川も青井みどりも、湿ったまま脱ごうとするからいけなかった。あとくされ、という言葉が浮かぶ。(略)もっともっと乾かして、からからに乾いたところで脱げばいいのだ。" 186ページ "言葉の通じない動物たちが家族だという男も、臭いものに蓋をしても守りたい家庭のある男もいた。どちらも孤独だし、どちらの生き方も真似したくない。 「ノブヨ、あたしは長谷川みたいな男にもなりたくないし、あんな男に守られる家庭にも属したくないわ。かといって、誰にも羨ましがられない暮らしもいや」 はやく、誰が来ても恥ずかしくない自分だけのお城がほしいわ—" 189ページ
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女になるのではなく自分になることを目指し,貪欲に生きていくマコに圧倒される.桜木さんの筆力でカルセール麻紀の姿が二重写しになりながらも,マコがいる.北海道の田舎釧路で埋もれずに育ったことは奇跡のようであり,優しい姉の献身の賜物でもある.最後釧路に帰って母親の髪を染める場面,感無量...
女になるのではなく自分になることを目指し,貪欲に生きていくマコに圧倒される.桜木さんの筆力でカルセール麻紀の姿が二重写しになりながらも,マコがいる.北海道の田舎釧路で埋もれずに育ったことは奇跡のようであり,優しい姉の献身の賜物でもある.最後釧路に帰って母親の髪を染める場面,感無量でした.
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男として生まれた。でも、きれいな女の人になりたいなー。蔑みの視線ー。親も先生も、誰に何を言われても関係ない。「どうせなるのなら、この世にないものにおなりよ」その言葉が、糧になった。生まれたからには、自分の生きたいように、生きてやる。 カルーセル麻紀さんがモデルとなっている。正直本...
男として生まれた。でも、きれいな女の人になりたいなー。蔑みの視線ー。親も先生も、誰に何を言われても関係ない。「どうせなるのなら、この世にないものにおなりよ」その言葉が、糧になった。生まれたからには、自分の生きたいように、生きてやる。 カルーセル麻紀さんがモデルとなっている。正直本を読むまでは、カルーセル麻紀さんにはデビューした当初からいい印象を抱いていなかった。ところが読んでいる間、彼女の生きる力に脱帽し励まされっぱなし。 桜木さんの著書の中で一番共感が持てる作品となる。 背景を知るってこんなに大事なのことなのか!
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桜木紫乃さんの本としては珍しく、あとがきがあって、それくらい力を注いだ作品だなと感じた。パイオニアの孤独って言葉が印象的。正直主人公の性格には好きではないけど、そういう部分が孤独に繋がるのかなと感じる。綺麗なものを求めて貪欲に生きる姿、苦労を苦労と思わない生き方はほんとすごい。
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p99 アートワーク 赤津ミワコ 装幀 新潮社装幀室 巻末に差別表現に関する断り書きがある。この類いは昔の本を現代に出すに当たっての注意書きと思っていたので、現代に書かれ、現代に出版される本にこういう断り書きがあるのは初めて見た。少し意外というか、驚く。差別表現とわかっているの...
p99 アートワーク 赤津ミワコ 装幀 新潮社装幀室 巻末に差別表現に関する断り書きがある。この類いは昔の本を現代に出すに当たっての注意書きと思っていたので、現代に書かれ、現代に出版される本にこういう断り書きがあるのは初めて見た。少し意外というか、驚く。差別表現とわかっているのに、敢えて書く。敢えてそのまま本にする。
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読み出したら止まりませんでした。文次に逢いに行った場面、ラストの母親の髪を染める為にお風呂場で裸になった時の会話。凄いモノを読んでしまったなと思いました。
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