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緋の河 の商品レビュー

4.1

45件のお客様レビュー

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    15

  2. 4つ

    20

  3. 3つ

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2019/08/02

いつもの如く、内容を知らずに読んで、ラスト近くになって「ん?これって、カルーセル麻紀がモデル??」と気づくw なかなかの渾身作でした!!♥

Posted byブクログ

2019/07/28

カルーセル麻紀さんの少女時代を描いた作品は、同じ釧路出身の桜木さんが「ほかの誰にも書かせたくなかった」というゲイボーイのパイオニアの孤独と強い信念に満ちている。 インタビューでもない、ましてやアイドルの名でゴーストライターが書く薄っぺらい半生記でもない、「虚構に宿る真実」を見たく...

カルーセル麻紀さんの少女時代を描いた作品は、同じ釧路出身の桜木さんが「ほかの誰にも書かせたくなかった」というゲイボーイのパイオニアの孤独と強い信念に満ちている。 インタビューでもない、ましてやアイドルの名でゴーストライターが書く薄っぺらい半生記でもない、「虚構に宿る真実」を見たくて小説を描く作家の手による彼女の美しく、潔く、明るくて、泣ける、フィクション。 昭和初期、釧路で生まれた秀男は小柄で綺麗な顔をもった美少年に育つ。姉と同じ女言葉を使い、綺麗なものが好きで、祭りの仮装行列で着物を着て化粧をすることを何より楽しみにしていた秀男。 今でこそ、オカマのタレントをテレビで見ない日はなく、LGBTという言葉も認知され、そんな子供でも家族にも受け入れられるようになって来たが、昭和初期の田舎町で秀男は同級生からは「なりかけ」と揶揄され、教師や親兄弟からも受け入れられなかった。 それでも、少年時代の秀男が町で出会った女郎や漁師、数少ない味方の同級生が彼の背中を押し、もちまえの負けん気で「女のにせもの」になるのではなく、「わたしはわたしの本物になる」と胸を張って生きていくその強さに引き込まれる。 常に前しか向かない彼(彼女)が、家を出て札幌~東京~大阪と自分の居場所を求め、一流のゲイボーイとしてテレビに出るまでに至る波乱万丈の人生はたまらなく爽快。 トップに昇りつめ、家出して以来初めて釧路に里帰りしたときですら、女性の姿をした秀男に視線を合わせようとしない父、兄、弟たちにはうんざり。それでも「息子の見かけが娘になったところで、生きてることに変わりはない。生きて、好きな人生を歩いてくれれば御の字」と言ってくれる母に救われる思い。 母の白髪を染めるお風呂のシーンはもうボロ泣き。 どこまでが事実で、どこからが虚構かはわからないけれど、爽快でありながら、ずっしりと重量感のあるちょっと「ラブレス」を彷彿とさせる作品でした。

Posted byブクログ

2019/07/28

秀男は釧路に生まれ、自分が女性的な言葉を使ったり、服を着たいという願望を隠し切れず、小さいうちから変人扱いされ父親からは叱られる。東京ではゲイボーイという仕事があると知り、家出をし、札幌でお店に入ることが出来た・・・ かなり面白かった。時代背景、主人公の造形、ストーリー展開、全...

秀男は釧路に生まれ、自分が女性的な言葉を使ったり、服を着たいという願望を隠し切れず、小さいうちから変人扱いされ父親からは叱られる。東京ではゲイボーイという仕事があると知り、家出をし、札幌でお店に入ることが出来た・・・ かなり面白かった。時代背景、主人公の造形、ストーリー展開、全てが好み。 カルーセル麻紀をモデルしたそうだけれど、作者のインタビューを読むと、家族構成など、変えている部分は多く、本人から聞いたエピソードでも使ってないものは多いそうだ。 カルーセル麻紀は、昔テレビでよく見かけた。毒舌なのと、性転換のパイオニアというぐらいしか記憶にない。彼女、あるいはこの時代の性同一性障害の人たちはこんな苦労をしたのだろうと想像させる。彼女はとても強い人だったので、皆がそうだとは言えないだろうけど。 また、性的に秀男が男性に気持ちを寄せたり、寄せられたりする箇所の描写が抜群に巧い。気持ち悪いと感じることはなく、むしろとてもエロチックだと感じた。 小説新潮で第2部の連載が始まった。続きはぜひ読みたいと思っていたので、嬉しい。

Posted byブクログ

2019/07/15

幼少時から男である自身の性に違和感をもち、やがてゲイボーイとして生きていく主人公。 のちに体も戸籍も女性となったカルーセル麻紀をモデルにした小説。 自分のことを「アチシ」と呼び美しいものに憧れる主人公に、しょっぱなから魅了される。 心が女であることを隠そうともせず、危なっかしい...

幼少時から男である自身の性に違和感をもち、やがてゲイボーイとして生きていく主人公。 のちに体も戸籍も女性となったカルーセル麻紀をモデルにした小説。 自分のことを「アチシ」と呼び美しいものに憧れる主人公に、しょっぱなから魅了される。 心が女であることを隠そうともせず、危なっかしい毎日を持ち前の鼻っ柱の強さとしたたかさでくぐり抜け、「オカマ」ではなく一芸に秀でた「ゲイボーイ」としてスターの座へとのしあがっていく。きれいごとだけでは済まされない世界で、「この世にないもの」になるために文字どおり体を張って生き抜こうとする姿は、痛々しさや哀しみを越えて清々しさすら感じるほど。 だからこそ、終盤の母親との場面では涙が込み上げてきた。 モデルのある作品の場合、読みながら少なからずその姿がちらつくものだが、これは彼女の存在を忘れ純粋に小説として一気に読了。 初出が新聞連載ということもあってか、ストリッパーを描いた『裸の舞』ほどグロテスクではなく、けれども主人公の圧倒的なパワーに魅了されたのは、生き抜くことのつらさを冷静に言葉にできる作者ならではの腕前があってこそ。 ふと、作者が書く美輪明宏をモデルにした小説も読んでみたくなった。

Posted byブクログ

2019/07/14
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

2019/06/27リクエスト やっぱり桜木紫乃の作品、好きです。 多分、他の作家が同じようにカルーセル麻紀を描いても、このような仕上がりではないと思う。 芸で稼ぐ、ゲイボーイ、全くいやらしくない、いい本でした。 かなり重いので、通勤電車の中で読むには、向いてませんでした。

Posted byブクログ