緋の河 の商品レビュー
1人の"人"の人生。 男として生をうけたけれど、女言葉をつかい、綺麗な服を着るのが好き。 「なりかけ」「おとこおんな」と言われても気にせず、自分の可愛さを武器に戦っていた。 肉体的には弱かったけれど、強い男が好きだったし、好みじゃない強い男にはしたたかに自分...
1人の"人"の人生。 男として生をうけたけれど、女言葉をつかい、綺麗な服を着るのが好き。 「なりかけ」「おとこおんな」と言われても気にせず、自分の可愛さを武器に戦っていた。 肉体的には弱かったけれど、強い男が好きだったし、好みじゃない強い男にはしたたかに自分の身を守らせた。 かっこよすぎる。 何より自分をしっかり持っている。家族を捨ててもいいから自分の思うように生きていきたいと決意することは並大抵ではない。 秀男の周囲の人は、良い人ばかりではなかった。よく「周囲の理解があったから」とか言うけれど、秀男はあくまで自分の力で這い上がったのだ。 人を好きになっては、別れ、また出会い…とこの一冊の中に秀男の人生が詰まっている。 そしてまだその人生は始まったばかりであることが嬉しい。
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本書刊行時、カルーセル麻紀さんをモデルにした作品と知って興味を失った。と書くと非難されそうだが、ガキの頃のぼくはオカマやおねえ系の芸能人が大嫌いだったのだ。今もそれは変わらないが、昔と違って“LGBTQ”の人達への多少の理解はあるつもりだ。でも染み付いた偏見は根深く、特に読む理由...
本書刊行時、カルーセル麻紀さんをモデルにした作品と知って興味を失った。と書くと非難されそうだが、ガキの頃のぼくはオカマやおねえ系の芸能人が大嫌いだったのだ。今もそれは変わらないが、昔と違って“LGBTQ”の人達への多少の理解はあるつもりだ。でも染み付いた偏見は根深く、特に読む理由もなくて放置した。 ところが、間違えて続篇である『胡蝶の城』を借りてしまった(しかも極めて評判がいい)ことから、意を決して本書を読んだ。素晴らしかった。モデルが誰でも関係ない。小説を読む至福感を堪能した。
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カルーセル麻紀を題材にした物語。 どちらにせよ該当の人物を知らなかったので、あくまでも物語として読み終えた。 生きたいように生きる難しさと、それが出来るひとのエネルギーを思う。
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図書館で借りて読んだ。 カルーセル麻紀さんをモデルにした物語。自分とは縁のない世界の話で、どこまでがフィクションで、どこからがノンフィクションなのか。どちらにしても、私の普通脳ではキャパオーバー気味。著者のあとがきによると、ほとんどが虚構だと。となると、桜木紫乃ってすごすぎる。
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しばらくは、あちきのことで頭がいっぱい! 舞台になった釧路の近くに住んでいるので、 こんな田舎でそだって、広い世界に飛び出し、 自分らしく生きる場所を作って行ったパワーに圧倒される。
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カルーセル麻紀を題材にした500ページ越えの長編。元は新聞小説。 『俺と師匠とブルーボーイとストリッパー』の中でも舞台となった釧路の伝説的ブルーボーイとしてチラリと顔を出していたカルーセル麻紀さん。後書きによれば、同じく釧路出身の桜木さんが麻紀さんや関係者から聞き取り、自伝として...
カルーセル麻紀を題材にした500ページ越えの長編。元は新聞小説。 『俺と師匠とブルーボーイとストリッパー』の中でも舞台となった釧路の伝説的ブルーボーイとしてチラリと顔を出していたカルーセル麻紀さん。後書きによれば、同じく釧路出身の桜木さんが麻紀さんや関係者から聞き取り、自伝としてでは無く「題材とした虚構」として描いた作品です。ちなみに発表順は『緋の川』→『俺と師匠と・・』です。 ピークも有れば地味な展開が暫く続く様に大きなうねりを持つ一般的な長編とは異なり、同一テーマのエピソードが時と場面を替えながら高めのテンションで繰り返される感じで最初は冗長感が付きまといます。毎日の掲載を読者に飽きさせないためには仕方ないのでしょうが。 男性の体で生まれながら自認は女性である自分をただひたすらに肯定し、世間に逆らいながら自分の居場所を作って行く主人公。自分の意思より世間を優先しながらも、主人公の個性を認める母と姉。自らも他人も世間や常識で縛り付ける父と兄。ゲイの世界で知り合う様々な人達。 ふと「南の吉田修一、北の桜木紫乃」というフレーズが頭に浮かびました。長崎出身の吉田さんには『長崎乱楽坂』や『国宝』などの裏世界や盛り場の話が有り、釧路出身の桜木さんもまた『ホテルローヤル』や『星々たち』の様にラブホ、スナック、ストリップ劇場と言った情念的世界を良く描きます。吉田さんは崩れ行く事を肯定するかのように描くので私は余り好きでは無いのですが、この『緋の川』も『俺と師匠とブルーボーイとストリッパー』も裏の世界で前を向いて進む人を描いていて好感が持てました。
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カルーセル麻紀さんをモデルにした小説。でも著者があとがきで思い出話なら本人が語ったほうが面白い。どこでも話したことがないことを書かなければ小説になり得ないと書いているように、麻紀さんの人生そのものを追ったわけではない感じ。 何だか読んでいて元気が出た。自分らしく生きる道を切り拓い...
カルーセル麻紀さんをモデルにした小説。でも著者があとがきで思い出話なら本人が語ったほうが面白い。どこでも話したことがないことを書かなければ小説になり得ないと書いているように、麻紀さんの人生そのものを追ったわけではない感じ。 何だか読んでいて元気が出た。自分らしく生きる道を切り拓いていく秀男=マメコ=マコ=カーニバル真子の姿を読み進めながら、自分の生き方を肯定したいような気持ちになってきた。 特に小中学生の頃、秀男が周りの同世代から揶揄されたようなことが自分にもあったなあと思い出した。でも、秀男がそうだったように(というほど自分のは過酷ではなかったかもしれないけど)、でも人と同じようになる努力をしようなんて思わなかった。っていうか、そんなかわし方思いもしなかった。そんなふうにして、いまも頑なで夢見がちでどこか人並みからずれてる自分がいるんだなあと思った。 嫌な思いもしたけど、その一方で文次のように味方になってくれる人がいたのも秀男と同じ。秀男の母と姉、ノブヨといった女性たちの存在の大きさよ。秀男が自分のしたいこと、思うままに向かっていくのに対して、秀男に共感し受け入れてくれるのとともに不自由も受け入れているかのような女性たち。そんな秀男と女性たちに、船と港というか古典的な男女の生き方をちょっと思ってしまった。女性っぽい秀男だって、そういうマインドは男にありがちなもんだよね、って(これってジェンダー差別的言質だろうか)。 実はいま閉塞感のある毎日を過ごしている気分。自分って何のために生きてるんだろうとか思っちゃうくらい。そんな毎日の見方もちょっと変わったかも。譲るものは譲って自分の思うままに生きること。過酷でもそのほうが後悔しない生き方ができるって気持ちが沸々とわいてくるような小説だった。とっても続きが読みたい!
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カルーセル麻紀をあまり知らないけど、これが実話なのだとしたらホントすごいな。 子供の頃からすごく肝の据わった人間だったんだねぇ。 男として生まれてきたけど、誰よりも女性として凛と生きてる。 自分の生き方や選択に迷いがなくて、いつも自信に満ちている。過去ではなく未来しかみていない...
カルーセル麻紀をあまり知らないけど、これが実話なのだとしたらホントすごいな。 子供の頃からすごく肝の据わった人間だったんだねぇ。 男として生まれてきたけど、誰よりも女性として凛と生きてる。 自分の生き方や選択に迷いがなくて、いつも自信に満ちている。過去ではなく未来しかみていない。未来は明るいものとしか思っていない。いやぁ、生き様がかっこいい。 それでも、いつも温かく見送ってくれた母親には引け目のようなものを感じている。 母親、マツの大きさも素晴らしい。この母あっての秀男なんだね。 内容ぎっしり、読み応えどっしりでした。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
オカマだとかおんな男と差別されていたLGBTの人。その中の一人であった主人公がいかに自分に忠実に生きてきたかという物語だ。彼(彼女)の生き方と、親兄弟、友人、職場の人の生き方と対比させて描いている。例えば兄の自己中心的な生き方。姉の献身的な生き方。小学生時代の親友の運命論的な生き方、等々。お前ならどうすると問い詰めてくる。
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引き込まれる。全然好みのジャンルではないのに。 我が母校出身の桜木先生の本は初めてです。 同じく母校出身のカルーセル麻紀さんがモデルと聞き読みました。 図書館で借りたのですが、買って読み直したいと思います。 あの陰鬱な街の情景が目に浮かぶようです。 どこからか霧笛まで聞こえて...
引き込まれる。全然好みのジャンルではないのに。 我が母校出身の桜木先生の本は初めてです。 同じく母校出身のカルーセル麻紀さんがモデルと聞き読みました。 図書館で借りたのですが、買って読み直したいと思います。 あの陰鬱な街の情景が目に浮かぶようです。 どこからか霧笛まで聞こえてくる気がしました。 自分ももう少し頑張ろうと思います。
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