緋の河 の商品レビュー
カルーセル麻紀さんの少女時代を書いた小説。 人とどこか違うことを理解しながら成長し、ゲイボーイとなっていく中、家族や周りの人たちとの関わりが描かれていました。 もっとドロドロしたものかな?と思っていましたが、なんともサラッと描かれていてそれがとても良かった。 読みだしたら止まらな...
カルーセル麻紀さんの少女時代を書いた小説。 人とどこか違うことを理解しながら成長し、ゲイボーイとなっていく中、家族や周りの人たちとの関わりが描かれていました。 もっとドロドロしたものかな?と思っていましたが、なんともサラッと描かれていてそれがとても良かった。 読みだしたら止まらないほど面白かったです。
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モデルとなったカルーセルさん、子どもの頃は正直「おとこおんな」で不思議な人、と思っていた記憶がある。もちろん全く理解していなかった。 この小説の主人公、秀夫の生き方、なんと潔くたくましく、かっこいいことか。 小さく美しい身体に一本太い芯が通ってるな。 この時代の周りからの目、蔑...
モデルとなったカルーセルさん、子どもの頃は正直「おとこおんな」で不思議な人、と思っていた記憶がある。もちろん全く理解していなかった。 この小説の主人公、秀夫の生き方、なんと潔くたくましく、かっこいいことか。 小さく美しい身体に一本太い芯が通ってるな。 この時代の周りからの目、蔑みやあるいは憐れみはさぞ耐えがたかったろうに。 逆風をパワーにして這い上がる姿や、味方をしてくれる登場人物たちの愛情を描く桜木さんの筆、熱がこもっていて感動した。 読了から感想書くまでにしばらく空いてしまいすぐに出てこないが、何度か鼻の奥がツンときた場面があった。 ほぼ読んできた中でも渾身の力作と感じます。 なお、この本には日比谷コテージにて憧れの桜木さんご本人からサインを頂戴し気さくにお話してくださり感動しました。 トークショーではカルーセルさんご本人の毒舌にも笑わせて頂きました。人間味あふれる魅力あるかたでした。 特別な一冊となりました。
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カルーセルさんの美貌の写真を見て読めば 秀男の境遇に説得力がでます 北海道釧路に生まれ 花街の雰囲気に憧れ 女よりも美しかった秀男 差別やいじめがあっても 友を得 自分の生きる道を見定めて進む 激しくたくましく 美しい姿 迫力ありました
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
桜木さんのこの作品についての講演も聞きましたが「これを誰にも書かれたくない。誰かに書かれる前に自分が書かなくては」とおっしゃってました。 その焦りと熱意を感じる作品でした。 カルーセル麻紀さんをモデルに、と言っても実際には創作の部分がかなりあるんではないかなと思います。 でもとにかく読ませる。桜木さんの凄みが一作ごとにどんどん増している気がします。 書こうとしてる目的を確実に果たすためには表現というものに一切躊躇しないという覚悟を感じます。 どこまで行くのか、どこにたどり着くのか、桜木柴乃さんの作品をもっともっと追いかけたいと思います。
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この小説はカルーセル麻紀さんがモデルと知り、これは読まなければ!と。しかも、「これまで語られなかった少女時代を想像で書かせてほしい」との著者の希望を、麻紀さんが快諾して書かれたものだそうだ。「思い出話ならば、麻紀さんが語った方が百倍面白い」「どんな赤裸々なインタビューでも語られな...
この小説はカルーセル麻紀さんがモデルと知り、これは読まなければ!と。しかも、「これまで語られなかった少女時代を想像で書かせてほしい」との著者の希望を、麻紀さんが快諾して書かれたものだそうだ。「思い出話ならば、麻紀さんが語った方が百倍面白い」「どんな赤裸々なインタビューでも語られなかったことを書かなければ、小説にならない」と言う桜木さんもすごいし、「あたしをとことん汚く書いて」と注文したという麻紀さんも、これまたすごい。 差別や偏見に耐え続けた日々が語られるのだろうという予想は、あまりにも浅はかだった。もちろん、1942年北海道に生まれ、本名の「徹男」(小説では「秀男」)という名の響きからはかけ離れた子どもであった麻紀さんが、今とは比べものにならないほどの苦闘を強いられたことは想像に難くない。この小説でも、当然その苦しみは描かれている。 しかし、圧倒的に胸に迫ってくるのは、どんなときでも自分を肯定し通そうとする「ヒデ坊」の強さであり、したたかさである。これはもう事実か虚構かということをこえて、カルーセル麻紀という人の芯にあるものが描かれているという、揺るぎない説得力がある。登場人物や出来事のほとんどは虚構だそうだが、どの人にもリアルな実感があって、特にヒデ坊の家族や友人の描き方にひきつけられた。終盤の、母とふたりでお風呂に入る場面が切なく、忘れがたい。
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秀男は小さい時から綺麗な女性になりたいと思っていた。夏祭りに着れる着物、化粧に心をときめかせていた。家族や世間の目もありながらも、秀男は高校・家を飛び出して、自分の夢へと突き進む。 桜木さんと同郷のカルーセル麻紀さんをモデルとしているようです。 その人がその人であること。周りから...
秀男は小さい時から綺麗な女性になりたいと思っていた。夏祭りに着れる着物、化粧に心をときめかせていた。家族や世間の目もありながらも、秀男は高校・家を飛び出して、自分の夢へと突き進む。 桜木さんと同郷のカルーセル麻紀さんをモデルとしているようです。 その人がその人であること。周りから批判を浴びながらも、自分が自分であることを愛し、その道を生きる、貫く力、非常に熱かった。この世にないものになる、決めてからにはなってゆく。痛みを引き換えにしても欲しいものがある。神様を許すのがわたしらの生きる道か。そんな風に女の道を書き上げるのはやはり桜木さんか。それと釧路の街についての描写も物語にはなくてはならないものね。しびれた一冊だ。自分も自分を徹底的に好きにならなきゃね。自分自身の生き方を問う物語でもあった。 続編があるようですので、期待です。モデルのカルーセルさんもまだご存命ですからね。
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暗い北国の港町に生まれた「秀男」。 キラキラしたものが好き。きれいなおねえさんに憧れる。 そしてクラスメイトの男子に恋をする。 そんな秀男が、 どうやって「カーニバル真子」といわれるテレビの人気者になったか。 その壮絶な生き方が、どっぷりと、でも軽やかに描かれています。 もち...
暗い北国の港町に生まれた「秀男」。 キラキラしたものが好き。きれいなおねえさんに憧れる。 そしてクラスメイトの男子に恋をする。 そんな秀男が、 どうやって「カーニバル真子」といわれるテレビの人気者になったか。 その壮絶な生き方が、どっぷりと、でも軽やかに描かれています。 もちろん、まわりからの差別、親家族との確執、金銭トラブル、愛憎のもつれ、 知人の相次ぐ自殺など、暗い話はてんこ盛りなんですが、 それでもなぜこんなに読んでて気持ちいいのか。 そう、ずーーーーっと「秀男」は、「正直に生きる」ことを貫いているんです。 「なりかけ」と呼ばれからかわれる存在から、どうやったら身を守るか。 そのためには「誰にでもない、自分にしかなれない自分」になって、 「誰かを喜ばせる」しかない。 そのことに気づいた秀男は、より輝かしい道をめざして、 釧路→札幌→鎌倉→大阪→東京 と、自分をより認めてくれる場所を探しながら、 どんどんとエンターテイメントを極めていきます。 そう、より自分に嘘をつかなくていい環境を探していくんですよね。 その生き方に、勇気をもらえます!
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カルーセル麻紀さんをモデルにした作品。 これは桜木紫乃さんだからこそ描ける物語だったのだろうなぁ。 こんなに強くて美しくて寂しい人、他に書けないよね。 なによりもラストの母親とのシーンが印象的でした。やはり母は偉大だな。
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カルーセル麻紀さんをモデルにした小説です。 麻紀さんと著者は同じ釧路出身ということで、私が書かねばという使命感というもので書きました、とどこかで書かれていました。 カルーセル麻紀さんというと、テレビなどでご活躍されていたのをおぼろげながら覚えている程度ですが、その道の草分け的存在...
カルーセル麻紀さんをモデルにした小説です。 麻紀さんと著者は同じ釧路出身ということで、私が書かねばという使命感というもので書きました、とどこかで書かれていました。 カルーセル麻紀さんというと、テレビなどでご活躍されていたのをおぼろげながら覚えている程度ですが、その道の草分け的存在であろうと思います。 あくまで小説ですので、多々脚色はなされているとは思いますが、大筋は事実に沿ったものだと思われます。 そこにあるのは、信念。 私はこうありたい、私はこうあるべき、嫌なものはイヤ、という常に自分の気持ちに正直に向き合っていく姿勢。 言うのは簡単ですが、実際誰もがそんなことできるものではありません。 ましてや偏見や縛りの多かったその当時、並大抵のことでは無かったと思いますね。 それにしても、ご存命の方をモデルにしての小説って、御同郷とはいえ、勇気がありますね、桜木紫乃さん。
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初出2017〜19年北海道新聞ほか 昭和40年代にゲイボーイから性転換してタレントになったカルーセル麻紀をモデルにしている。今ならLGBTは社会的に認知され、制度上の障害を除くことも進み始めているが、この当時はさぞ大変だったことだろう。 釧路で生まれたかわいい容姿の秀男は、も...
初出2017〜19年北海道新聞ほか 昭和40年代にゲイボーイから性転換してタレントになったカルーセル麻紀をモデルにしている。今ならLGBTは社会的に認知され、制度上の障害を除くことも進み始めているが、この当時はさぞ大変だったことだろう。 釧路で生まれたかわいい容姿の秀男は、もっと綺麗になりたいと願うが、周囲からは「化け物」とさげすみいじめられる。その中で、理解者の友人を得て巧みに生きていくが、高校の教師から弾圧されて家出し、札幌のゲイバーで生き生きと働き、お姉さんたちから仕込まれるが、家に連れ戻される。 世界のどこにもいない存在になろう、自分らしく生きようとする秀男は、芸と話術を磨き、札幌、東京、大阪と人気を集めていき、テレビタレントになるチャンスをつかむ。 秀男のすさまじい覚悟、痛みを抱えながらの懸命な生き方がすがすがしく見える。桜木紫乃が他の作家に書かせたくないと思ったのがよくわかるあとがきを読むと喉の奥に塊が出来る。
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