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百の夜は跳ねて の商品レビュー

3.3

63件のお客様レビュー

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2019/10/03

芥川賞候補ということで購入。 「平成くん、さようなら」では、「安楽死」をテーマにしていましたが、こちらは無いように感じました。 ただ、テーマがない分、現実の中でもがきながら、答えがわからず、淡々と生きている姿には、現代を反映しているようにも感じました。 古市さんの小説には、表現...

芥川賞候補ということで購入。 「平成くん、さようなら」では、「安楽死」をテーマにしていましたが、こちらは無いように感じました。 ただ、テーマがない分、現実の中でもがきながら、答えがわからず、淡々と生きている姿には、現代を反映しているようにも感じました。 古市さんの小説には、表現のレパートリーが独特で、凄いなと思いました。ただ、様々な表現を数多く哲学的に描かれている分、蛇足に感じることもありました。そんなに回りくどく書かなくても…と思ってしまいました。 特に盛り上がりがあるわけでなく、淡々と進行しています。あまり段落がなく、読みづらい部分もありました。 でも古市さんの主張なのかわかりませんが、現代に対する不満や内に込められた思いなどが垣間見れて、今が表れているように感じました。 主人公が幸せを目指して、一歩一歩頑張ってほしいなと思ってしまいました。

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2020/06/02

本作品は、(おそらく)貧困の中の幸せを見つける若者の話ではないかと思う。ビルの窓ガラス掃除をする主人公は、ガラスを隔てて自分がいる場所と建物の中の幸せそうな世界を対立させながら、ガラスの中にいる謎のお金持ちの老婆と知り合いになる。ビル掃除中の盗撮写真を老婆に渡すことで大金を手に入...

本作品は、(おそらく)貧困の中の幸せを見つける若者の話ではないかと思う。ビルの窓ガラス掃除をする主人公は、ガラスを隔てて自分がいる場所と建物の中の幸せそうな世界を対立させながら、ガラスの中にいる謎のお金持ちの老婆と知り合いになる。ビル掃除中の盗撮写真を老婆に渡すことで大金を手に入れられるのだが、そのお金の回し方も若者世代と老人世代の財産継承のように思えなくもない。ここまでは自分の解釈。本当のところはどうだろうか。 どうしても前作の「平成くん、さようなら」と比べてしまうのだが、本作品からは著者の主張が見えにくかった。

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2019/09/22

あの古市さんの作とはと思うほど良かった。当たり前に見えている世界が、本当の世界かどうかなんて、誰にもわからない。せっかくなら、自分にとって心地よいものがいい。

Posted byブクログ

2019/09/11

主人公が就活を失敗した青年という設定に強く惹かれ、人に教えてもらってすぐに購入し、その日のうちに読み終えました。 まず読み終えて思ったことは、本筋と逸れた感想にはなりますが、「共感」というものはとても大きなエネルギーを生み出すんだなぁということです。というのも、私は普段あまり本を...

主人公が就活を失敗した青年という設定に強く惹かれ、人に教えてもらってすぐに購入し、その日のうちに読み終えました。 まず読み終えて思ったことは、本筋と逸れた感想にはなりますが、「共感」というものはとても大きなエネルギーを生み出すんだなぁということです。というのも、私は普段あまり本を読まないのですが、そんな私が一気読みしてしまうくらいの(それも純文学を)エネルギーを共感は生み出してしまいました。主人公の生活状況や、物語の時代背景、就活時の心境などが、丁寧に描写されていることによって、それを可能にしたんだと思います。現代の若者について研究をしてらっしゃる方の小説は一味違うなと思いました。 最後に、内容の方の感想ですが、「過ぎていったはずの一瞬を記録し、後で振り返ることは大切なのかもしれない」と最後の方に主人公は気付きますが、もしそうだとしたら、あまり記録をしたりする人生を歩んできてこなかったので損をしてるのかもなと思いました。ので、ブクログをインストールして読書記録を残すことに決めました。読書体験も一瞬のものに近いと思います。読み終えた今の感情をここに残し、あとで振り返る時に、その重要性に気づければと思います。

Posted byブクログ

2019/09/10

芥川賞ノミネート作というとやはり純文学寄りなイメージが有るので、エンタメ小説のように素直に楽しむというよりは、少々深読みして読もうと思って読み進めます。 タワーマンションの中に垂れこめる老女、タワーマンションの外で窓を清掃する若者。どういうメッセージなのかなと思って読んでいました...

芥川賞ノミネート作というとやはり純文学寄りなイメージが有るので、エンタメ小説のように素直に楽しむというよりは、少々深読みして読もうと思って読み進めます。 タワーマンションの中に垂れこめる老女、タワーマンションの外で窓を清掃する若者。どういうメッセージなのかなと思って読んでいましたが実は意図が全く分かりませんでした。色々分からないなりに、青年と老女の交流は胸温かく楽しめました。 もう少し何か胸に差し込むような物が有るかと思いきや淡々と進み淡々と終わります。あまり深読みせず素直に読んで楽しむのが吉だと思います。僕も最初から素直に読んでおけばよかった。

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2019/08/28

二度目の芥川賞挑戦もダメだったようであるが悪い出来ではなく受賞していればそんなものかという感じの作ではあった。就活に失敗した翔太とタワーマンションにひとりで住むハイソな老婆との交流の話である。マンションの窓の清掃を生業として始めた主人公が同僚のシングルマザー美咲さんとの仕事中の情...

二度目の芥川賞挑戦もダメだったようであるが悪い出来ではなく受賞していればそんなものかという感じの作ではあった。就活に失敗した翔太とタワーマンションにひとりで住むハイソな老婆との交流の話である。マンションの窓の清掃を生業として始めた主人公が同僚のシングルマザー美咲さんとの仕事中の情事を見られたことが縁で高額な報酬で仕事中の写真を撮ってくることを依頼されてしまう。そのことによって世間と断絶した二人が外の世界に関心を取り戻していく。二人の交流が「メタモルフォーゼの縁側」の二人のようにも感じられた。

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2019/08/26

表紙の画も古市さんが描いたんだと知って、へ~となる。 前作より好きかも。 高層ビルの窓の清掃員と、あるマンションの住民の老婆との交流。 と書けば何の事はないが、 老婆から、ある事をお願いされての交流。 突然その交流は終わってしまうけど、主人公には何か希望が残ったように感じる。

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2019/08/13

前から手元にはあったが、なかなかタイミングがなくて読みきれていなかった。 が、芥川賞の選評が興味深くて、気になっなら一気に読みきれた。 視点や言葉や切り口は作者っぽいなと感じた。 社会の見方なんかはやっぱり惹きつけられる。 またいろんな視点で社会を語って欲しい。 その手段に小...

前から手元にはあったが、なかなかタイミングがなくて読みきれていなかった。 が、芥川賞の選評が興味深くて、気になっなら一気に読みきれた。 視点や言葉や切り口は作者っぽいなと感じた。 社会の見方なんかはやっぱり惹きつけられる。 またいろんな視点で社会を語って欲しい。 その手段に小説っていうのは面白いし読みやすい。 いっそのこと、小説と社会学的な解説本みたいなのだしたら面白そう。 また続編が読みたいです。

Posted byブクログ

2019/07/26

老婆老婆と繰り返される度、腰の曲がったノーメイクノーブラでブカブカの服を着た白髪頭の、本作で描写されているのと真逆のおばあさんが頭に浮かんできて、老婆という言葉ばかりが気になってしまった。

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2019/07/24

ビルの窓拭き中に窓を挟んで知り合った金持ちの老婆との交流.犯罪まがいの窓からの盗撮とその写真を待つ老婆の何か寂しさを覆うような段ボール群.都会の中で危ういバランスで生きている人たちの出会いと別れをさらりと描いて,そして深い.死んでしまった先輩の語りかけが寂しさを際立たせていて.彼...

ビルの窓拭き中に窓を挟んで知り合った金持ちの老婆との交流.犯罪まがいの窓からの盗撮とその写真を待つ老婆の何か寂しさを覆うような段ボール群.都会の中で危ういバランスで生きている人たちの出会いと別れをさらりと描いて,そして深い.死んでしまった先輩の語りかけが寂しさを際立たせていて.彼の行きたかった世界中の種子の貯蔵庫のある北の島はいい選択だ.私も興味があってちょっと行ってみたい.

Posted byブクログ