あのこは貴族 の商品レビュー
山内マリコ作品がいつもわたしにくれるのは、さりげない小さな優しさではなく、グイッと手を引っ張り上げられるような力強さ。心強さです。 東京で生まれ育った生粋のお嬢様「華子」と、地方生まれで必死に東京での暮らしを手に入れた「美紀」は、一見対比されるように描かれているけれど、 読み...
山内マリコ作品がいつもわたしにくれるのは、さりげない小さな優しさではなく、グイッと手を引っ張り上げられるような力強さ。心強さです。 東京で生まれ育った生粋のお嬢様「華子」と、地方生まれで必死に東京での暮らしを手に入れた「美紀」は、一見対比されるように描かれているけれど、 読み手にとってはどちらにも理解できる想いがあるのではと思いました。 彼女達が抱える葛藤は自分のこととして重くのしかかり、第3章で2人が出合う場面での美紀のセリフには涙が出そうになりました。 知らないふりをして生きるのも、 心から諦めることも、 女同士の義理も実際とあらば難しいよね… けれど酷い世の中を単に諦観しないで、 本当に欲しいものを諦める必要はない。 山内さんは作品を通して、 丁寧に丁寧に、何度も何度も訴えてくれるように感じます。 目の前にある現実から逃げも隠れもしない、 この作品からまさにいま、自分へのエールを貰ったように思います。 それにしても、「華子」と「美紀」、内部と外部の描き分けが本当に凄くて、着ているものから仕草ふるまい全てが目の前にありありと感じられるよう。 山内マリコさんって本当にすごい。✨
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女子同士の妬み嫉みみたいな内容かと思っていたが、読んでみたら違いました。でも面白かった。自分の世界と全く違う世界で生きる人々を絡ませ合い物語は終盤に…。
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- ネタバレ
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読了 初読乱文 なんとなく想像していたストーリーとは全然違い、先日読んだ「彼女は頭が悪いから」のことを思いました。 自身もず〜〜〜っとカトリックの女子校なので、身に迫るものがあった…「わたし、男の人とつき合って、あんまりうまくいったためしがないんです」「カトリックの女子校行った子はみんなそうでしょ」はあまりにも秀逸。 カトリックの女子校への安易なカテゴライズと言ってしまえばそうなんだけど、しかしそういうものは実際にあると思うんだよな。内部の側からすると…。そして慶應の内部生、私には縁のない世界なのですが、ここが「彼女は頭が悪いから」と近い、圧倒的エリート層ゆえにそれ以外の価値観が全くわからない人として描かれています これも実際はあるのだろうな、と思ってしまう。 コロナ禍に無理やり話を繋げますが、本当に、みんなが他者への想像力を持てれば間違いなく世界は豊かになるんだよな わたしは神谷町育ち幼稚舎から慶應で東大法科院、そして弁護士、そして議員という人生にも、一家で松濤暮らし元日は帝国ホテルにも、大学でドイツ留学にも、ド田舎で慶應ブランドの存在も知らず109に大学生になって初めて行く暮らしにも、どれにも共感出来ないけど、本によって少しは思いを馳せられるから本は偉い こんなことを言いたいのか?違いますね… 慶應に頑張って入ったはいいけど、学費が払えなくてしんどくて、時給の高さで塾講選んで、シフトの融通効くカラオケ屋掛け持つところ、自分の身に置き換えられすぎて泣いてしまった。私大の学費高すぎる アホか でも世の中の大抵の人は当たり前に払って、なおかつ海外旅行に行き、バイト代を好きなことに使うんですよね こういう自虐したい訳でもないな 夜職についても色々考えました。結局彼女は夜職を始めるわけだけど、それで抜け出せなくなって、大学に行く意味がわからなくなって、結果やめて。 高校まで勉強しかしてなかったのに。 高い金払って、そのやりくりに苦しんでまで、大学行く意味ってほんとうに何なんですかね 愚痴になってしまったな でもこういう気持ちが私にあるので、最後、美紀が英語の勉強始めるところ、めちゃくちゃ救いを感じました。 今日本において、社会人が学ぶ手段って、わりと「求めよ、さらば与えられん」になっているのではないかと私は思っているので…(これは私は私の知ってる社会しか知らないわけです。無知ゆえの発言です 批判は甘んじて受けます) でも美紀が同窓会行く時、ベンチャーがなんとか売れたからまだ顔が立つって言ってたのもヤバいんですけどね てかさいごらへんに語られていた、男と女〜の話もしたい。そんな分厚くない本なのに、問題提起が多すぎてすごい これは初読の勢いです。随時加筆修正致します
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私立女子校の序列とか育ちの差とかそこに対する交わらない人間の衝突とか生々しい~似たような育ち方してるので頭の中で自分の身の回りの人間がすべての登場人物に配役できた 腐った世界は根腐れしちゃってるから永遠に腐った人間が製造されるんだろうな~その輪から自発的に抜け出して自分の人生歩み...
私立女子校の序列とか育ちの差とかそこに対する交わらない人間の衝突とか生々しい~似たような育ち方してるので頭の中で自分の身の回りの人間がすべての登場人物に配役できた 腐った世界は根腐れしちゃってるから永遠に腐った人間が製造されるんだろうな~その輪から自発的に抜け出して自分の人生歩みだしてて女のエンパワメント物語でした
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華子が嫌いなタイプの女すぎた…面白かったけど傲慢と善良の方が読んでてもっと沢山気づきはあったな。物語としては面白かった。華子の階級と美紀の田舎の描写が秀逸。
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これも友達から薦められて読んだ本。1日で読んでしまいました。 隣の芝生は青く見えるって、女性は一生そうなんだなぁと思いました。それと同時に、自分の芝生を抜け出す覚悟も必要だし、それが自由なんだなぁと感じました。
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著者はこのテーマの物語を作り上げるにあたり、谷崎潤一郎の「細雪」を意識していたのだろうか。 好きで読み込んだ私にとっては、上流階級の姉妹、渋谷区松濤、帝国ホテルと、符合するモチーフが色々とあり、時岡という苗字さえも蒔岡からなのかなーとまで考えた。 本筋だけでなくそんな切り口からも...
著者はこのテーマの物語を作り上げるにあたり、谷崎潤一郎の「細雪」を意識していたのだろうか。 好きで読み込んだ私にとっては、上流階級の姉妹、渋谷区松濤、帝国ホテルと、符合するモチーフが色々とあり、時岡という苗字さえも蒔岡からなのかなーとまで考えた。 本筋だけでなくそんな切り口からも読み応えある作品でした。
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真逆タイプ女子のバチバチ物語かと思いきや、いい意味で期待を裏切られた。今でも結婚出産が幸せという風潮があるけど、果たしてそれを得られたから幸せなのかと言われるとそうではない、ということを考えさせられる。20後半〜30代前半女性に結構響く物語ではないかと思う。
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だいぶ前に通った感情とか、風景とか。 あの頃に読んでいたら共感できたかな。 慶應は内部と外部の隔たりがすごい、とよく言われるけど、実際はそんなことないです。
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わたしはどうしても華子や相楽さんに憧れて、生まれながらにして階層が違うからどんなに憧れても叶わないのはわかってて、憧れが妬み嫉みになるんだろうな 身近に明らかに高貴な階級の人がいなくて、それでいてそれなりのステータスを得られそうな今の立ち位置、精神的にとても良い わたしも田舎出身...
わたしはどうしても華子や相楽さんに憧れて、生まれながらにして階層が違うからどんなに憧れても叶わないのはわかってて、憧れが妬み嫉みになるんだろうな 身近に明らかに高貴な階級の人がいなくて、それでいてそれなりのステータスを得られそうな今の立ち位置、精神的にとても良い わたしも田舎出身だから、美紀みたいに後天的な都会性を得られるように自分磨きしたい
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