あのこは貴族 の商品レビュー
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最後もハッピーエンドで良かった。 感じていた東京のレベルの高さみたいなものが言語化されていて良かった。 悪気はないけど、そうなってるのよ世の中は、階級社会なんだよとか 田舎から出てきてサバイブしてる人は強い。でも、中には入れない 中の人達はそれはそれで自由などない どちらが良いとかではなくて普通が違う そういう世界のお話
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フィクションだけど、こういう階層が日本にはあるんだろうな〜と実感できる内容。私からしたら信じられないようなことも東京で生まれ育った彼女たちにとっては「普通」で、でもその中でもやはり上の層がいるんだなとつくづく思う。ジェンダーとも通ずる内容がとても多くてとても面白かった。
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決して長編とは呼べない300頁前後の作中に様々なテーマがスマート(この言葉がしっくり来る) にまとめられており、間違いのない作品だ。 熟考を重ねて本当に無駄を削ぎ落とすと、こんなにも質の高いものが出来上がるという見本の様な話だった。 『あのこは…』 冒頭からタイトルの貴族と扱われているのは当然 主人公の彼女の事だと思っていたが、倦むような雰囲気で物語が進んでいく中、そうではなく彼女こそが『あのこは貴族』と発信する側にいるのだと思い至った。 かの世界に近い所にいた彼女こそが、その閉じられた階層にやり切れなさを感じ、自らを鑑み自立へと至るまでのお話し。 終始、物語は停滞した世界観を漂わせていたが、 二人が再会する(決してよりは戻らない)結びでは清々しいとも思える読後感…とても良かった。 蛇足 作中、閉じられた世界の人々によって、当然の如く政治家の世襲が行われるさまが描かれているが、現実の世界でものっぺり顔の2世、3世議員たち(悪口だな…(笑))が日々政ごとの中核を担っている。 果たして、 かくも閉じられた世界に長々と蔓延る一族に 市井の人たちの一体何がわかるのだろうか? (いや、わからんだろ!と言う事を僕たちがわかるべきなんだけど…) よく品とか格は何代もの世襲をもって為される美徳みたいに語られているけど、それがこんな既得権益の末に為されるモノならその価値たるやいかほどのものか? 水は流れているからこそさやかであり、滞る水はただただ濁るばかり…。 と、 考えるにあたり、この小説は単に『自立』を描いただけの作品ではないことも優れた美点。 傑作と呼んで差し支えない物語。
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門脇麦と水原希子で再生しながら読んだ。 私にも東京やお金持ちに対するどうしようもない羨望の気持ちがある。 華子のような境遇、性格でもなければ美紀のような野心、美貌もない。ただ嘘をつくことでしか張れない虚勢だ。心をヒリヒリさせながらストーリーを追った。 でもストーリー自体は、少...
門脇麦と水原希子で再生しながら読んだ。 私にも東京やお金持ちに対するどうしようもない羨望の気持ちがある。 華子のような境遇、性格でもなければ美紀のような野心、美貌もない。ただ嘘をつくことでしか張れない虚勢だ。心をヒリヒリさせながらストーリーを追った。 でもストーリー自体は、少し落ち着いてみたらそんなにドラマチックではなかったように思う。
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登場人物が、だれもがちゃんと人物像が書かれてて、ちゃんと物語の中に生きている人。 だからか、全く知らない世界の人々の物語なのに、入り込んでしまうかんじ。 華子の気持ちに、共感とかは全然なかったけど、おもしろかったです。
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地方と都市、男と女、富と貧、個と集団をふんだんに入れ込んだ傑作でした。リズムの良い端的な文面がよりいっそう登場人物を生々しく感じることができました。
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初の山内マリコさん作品。 今までの人生で、感じてはいたけれど、 確実に存在する階層の格差。 「田舎」の話をされ、全くピンと来ない人も、いるらしい。 主人公「華子」は生まれも育ちも東京の中心。実家は、松濤に有るお屋敷。 エスカレーター式の、名門女子大出身。 お正月は一族が集...
初の山内マリコさん作品。 今までの人生で、感じてはいたけれど、 確実に存在する階層の格差。 「田舎」の話をされ、全くピンと来ない人も、いるらしい。 主人公「華子」は生まれも育ちも東京の中心。実家は、松濤に有るお屋敷。 エスカレーター式の、名門女子大出身。 お正月は一族が集い、帝国ホテルのお店でお年賀の食事会。 三姉妹の末っ子 いつもニコニコ愛想良く、行儀良くしているけれど、ハッキリものを言わないタイプ。 25歳から、お付き合いしていた人は、慶應幼稚舎出身、大手証券勤務、親は、都内にビル、マンションを持つ。 華子は、交際スタート時から、結婚前提で、甲斐甲斐しく世話を焼く。 しかし、彼の方は、だんだん華子の用意周到さが、重く、うざったくなり、振られる。 合コンでは、その容姿と経歴でもてる ものの、付き合ってみると、まったく面白味なく、男性の前では、うまく自分を出せないから、3ヶ月もするとすぐ振られる。 その後、父の紹介、結婚相談所、いろいろ見合いするが、決まらない。 しかし、義兄の紹介で、弁護士、慶應幼稚舎出身、非常に洗練された人物と見合い。 華子は、頼もしい、と思う。 トントン拍子で結婚が決まる。 その相手、青木幸一郎は、江戸時代の海運王をルーツにもち、歴代当主が衆議院議員。 だから、結婚相手は、同じ階層の、自分を主張しないタイプが希望。 人柄は問題では無いらしい。 一方、慶應大学に高卒後受験で入学した 美紀。(外部生) その時、青木幸一郎は(内部生)として学内で、おしゃれでスマートで物怖じしない都会的なグループに属している。 幼稚舎からの内部生が、一番のエリートでポジションが上。 政治家や本物の金持ちの子供たち。 実は、社会にでてから、美紀と、幸一郎は付き合っている。 美紀は出来れば結婚したいが、無理だろうと諦めている。 幸一郎は結婚する気は、さらさらない。 このクラスの人々は、やはり何の躊躇も無く同じクラス同士で結婚して、その血脈を続けてゆくのか。 現実では、皇室のお姫様と結婚して、大騒ぎの一般人が国中から、総バッシングされていたな。理由はいろいろあるだろうけど。 タレント事務所、所属のグループの一人も幼稚舎から慶應で、美しい女優さんとお付き合いしていたけど、振り切って、結局同窓の女性と結婚していたなぁ! この本読んで、目から鱗! なんだ、初めからそういう事か、納得。 日本は格差社会では無く.昔からずっと変わらず、「階級社会」だった。 つまり、歴史の教科書に出てくるような 日本を動かした人物の子孫は、今も同じ場所で我が物顔で国を牛耳っている。 結局、結婚した後まったく自分に興味を示さず、ほって置かれた華子は、離婚して目覚め、変わってゆく。 いわゆる「上流階級」というものが、こういう事だったのか、 と、私は納得したのである。
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ずっと気になってた山内マリコの作品初めて読んでみた。なんか期待のが上回ってたみたい 東京出身で昔からのお金持ちの華子と田舎から上京してきた美紀とかのはなし 同じ階級の狭い界隈で生きる人と地元から出てきて生きてる人は全く違った価値観を持ってる 古くから代々お金持ちの人とか政治家...
ずっと気になってた山内マリコの作品初めて読んでみた。なんか期待のが上回ってたみたい 東京出身で昔からのお金持ちの華子と田舎から上京してきた美紀とかのはなし 同じ階級の狭い界隈で生きる人と地元から出てきて生きてる人は全く違った価値観を持ってる 古くから代々お金持ちの人とか政治家はコネなったり大手企業に就職したりするんだよねえいいね
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タイトルから女同士のドロドロした小説かと思ったが全く違った。むしろ対極的な登場人物である華子と美紀はタイプは違うがどこか潔い感じ。地に足がついて周りと自分をしっかり理解している美紀に出会ったお嬢様の華子は最終的に自分を見つけていく。対極的な存在に出会うことで、薄々感じていた自分の...
タイトルから女同士のドロドロした小説かと思ったが全く違った。むしろ対極的な登場人物である華子と美紀はタイプは違うがどこか潔い感じ。地に足がついて周りと自分をしっかり理解している美紀に出会ったお嬢様の華子は最終的に自分を見つけていく。対極的な存在に出会うことで、薄々感じていた自分の生活する世界の狭さを痛感して変わっていく華子がとても良かった。どこか他人事じゃない感じもして、読みながら自分も狭い世界で生きているんだろうなと思わされる。奥が深い作品だった。
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初めての山内マリコさん。 友だちから映画を勧められたものの、上映期間に間に合わなかったので、原作を読みました。 私も地方の貧しい家庭から上京してきたので、「分かる……!」の連続でした。 都会の本当に恵まれている家庭で育った子は性格が良い。擦れていないし、無意味な悪口も言わない。当たり前にブランド物を身に付けていて、でもそれに嫌味がない。 生きている世界が違うのだとまざまざと感じました。 華子や幸一郎、その家族が身に付けている物や教養も、何回も検索しながら読みました。 そのくらい私とはかけ離れている世界なのだとしみじみ。 東京で生きていくからには、それくらいは知っていないと同レベルの会話もできないのだと勉強になったくらいです。 一方で、美紀の気持ちには共感の嵐。 バイトしないと生活すらままならない。 私も多い時には3つ掛け持ちでバイトをしてなんとか学費と生活費を捻出していました。 そして、田舎独特の狭いコミニュティ。 どこまでいっても付いてくる学生時代のヒエラルキーと関係性。 ただ、私は美紀ほど地元に興味がないということを美紀を通して実感しました。 友だちは大事だけれど、地元がどうなろうと知ったこっちゃないし、そこまでの仲の友だちが学生時代のコミュニティを引き摺りながら悪口を言っているのを聞くと「じゃあ離れればいいのに」と思うくらい。 東京は、悪く言えば希薄だから合わなければ離れればいい、とそれが気楽に感じていたし、それが気にならないくらい多くの人がいる場所だと思っていたけれど、東京にもコミニュティがあるんだ、と思わされました。 生まれた土地がどこであろうと、やはり「地元」にはコミニュティがあるんですね。 そことどう付き合うか、どう割り切るか、どう抜け出すか、を考えて初めて「自分が歩く人生」になるのだと思いました。 自分で考えて、決めて、行動する、ということが大事なのはどんな環境で生まれても一生なのですね。 私も前を向いて、日々より自分が納得できる選択しながら生きていこうと思いました。 映画も観たいな〜!
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