海の見える理髪店 の商品レビュー
この小説で直木賞を受賞したそうですが、サクサク読んできた時代小説の後で、この本は読みづらくて日数を要してしまった。 最初の表題作は理髪店の店主が延々と独白する内容だが、元々自分自身が理髪店での会話を好まないし、独白の内容が暗すぎた。腕自慢で店を増やしたのに慢心して店を潰し、挙句の...
この小説で直木賞を受賞したそうですが、サクサク読んできた時代小説の後で、この本は読みづらくて日数を要してしまった。 最初の表題作は理髪店の店主が延々と独白する内容だが、元々自分自身が理髪店での会話を好まないし、独白の内容が暗すぎた。腕自慢で店を増やしたのに慢心して店を潰し、挙句の果てに人を殺すとか、最後はいい話に戻したが。 「いつか来た道」は、母親と合わずに家を出た娘が、16年振りに母親と会う話し。母親は認知症になっていて・・ 「空は今日もスカイ」離婚しておば夫婦の家に寄生した親子。何でも英語に置き換える変な娘は、ある日家出をする。途中でDVに遭っている少年と出会い二人で居ると、助けてくれた浮浪者が警察に捕まるという不条理な展開。 「成人式」一人娘が15才で交通事故に遭い死亡。娘を忘れられない夫婦が、成人式目当ての晴れ着のカタログ通販が舞い込んだことにより、二人で晴れ着を着て成人式に乱入。 他の短編も同様に暗い話し。なかなか正月明けに読むには重い話が多く、気が滅入って来る。
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楽しく読めた。本の最後の『成人式』は初めは暗い話でなんでこの話を最後に持ってきたんだよと思っていたが、途中から可笑しな話になった。
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家族について描かれる短編集。 すごい展開はないけれど、なんだか、すっと心に引っかかる話し。家族とはそんなものなのかと感じました。 夏の午後、何も予定がなく、なんとなく淋しい心を立て直してくた一冊でした。
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短編小説なのでさらっと読めました。 ゾクっとするものもあれば心温まるものもあって、色々なジャンルがミックスされていて面白かったです。
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過去の自分に忘れてきてしまったもの、置き去りにしてきたもの。それらを、取り戻したり、昇華したり。そこから、次に向かおうとする連作短編集。 六編、それぞれに静かな不仕合わせがある。日常の描写の中から、少しづつ浮かばせてくる感じ。そして、それでも、これからも生活しなければならない彼ら...
過去の自分に忘れてきてしまったもの、置き去りにしてきたもの。それらを、取り戻したり、昇華したり。そこから、次に向かおうとする連作短編集。 六編、それぞれに静かな不仕合わせがある。日常の描写の中から、少しづつ浮かばせてくる感じ。そして、それでも、これからも生活しなければならない彼らが、その糧とする何かを見つけだす。 各作品、構成情景を変えても、趣きに統一感があり、充実な一冊でした。 あー、ですが私は、荻原さんの妖しげな作品も好きなんですよ。あまりに、しっくりまとまっていて、あれ?普通に良いお話ですのね、と。作品のお幅がお広い。
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それぞれ15分程度で読める短編集。すべて良い作品でした。どれも家族にフォーカスあてて、明るいものではないが、最後には一歩踏み出せるようなそんな気持ちになる内容。短編集って登場人物に感情移入ができないことが多いんだけど、さすがは荻原浩さん。すぐに愛着をもてるので楽しめます。本のタイトルになっている「海の見える理髪店 」と最後の「成人式」が良かったな。
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さまざまな家族の在り方があって、それぞれの立場で、いろんな想いを抱えながら皆が生きている。向き合えないでいたものに向き合い、過去と決別する。未来への希望を見出していく。そんな家族の物語である。 すべてを読み終わったとき、とても穏やかな気持ちになっていた。
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目次 ・海の見える理髪店 ・いつか来た道 ・遠くから来た手紙 ・空は今日もスカイ ・時のない時計 ・成人式 短編集なのは知っていましたが、ちょっと勘違いしていました。 海の見える理髪店を訪れる客が、そこでなにがしかの癒しを得る連作短篇だと思っていたのです。 全く独立した6編の短編集でした。 そこに家族があるのに、思い出に生きているような登場人物たち。 過去に囚われている。 言いたいけれど言えなかった言葉は、優しさゆえか、臆病さのためか。 それでも前に進むんだろうなあと思わせる終わり方の作品が5つ。 特に『成人式』。 15歳の娘を交通事故で喪った夫婦の、ただゆっくりと流れていくだけの5年間を想像して、辛くなる。 そもそも子どもが親より先に死ぬ話は嫌いだ。 「むーん」と眉間にしわを寄せて読んでいたと思うのだが、読後一番気に入った作品となった。 本当に娘を愛していたと同じくらい、本当に夫を、妻を大切にしている夫婦なんだよなあ。 「忘れよう」「前を向こう」と思いながらもそんなことできるわけもなく。 だけど、パックをしている妻にお願い事をされて「なんだい、スケキヨ」っていう夫なんだよ。 絶対いい人。 突拍子もないことを考えてはいざとなるとビビる夫と、冷静に突っ込みながら実行しちゃう妻。 いいじゃないですか。 一番荻原浩っぽい作品かも。 さて、一つだけ毛色の違う作品が。 『空は今日もスカイ』 子どもが主役というだけではなく、母とともに親戚の家にお世話になっている茜と、親に虐待されている陽平。 家出をしようとしていたわけではなくて、居場所を探していただけ。 だけど子どもの言葉は大人には伝わらなくて、彼らを保護したホームレスの男は警察に連れていかれる。 救いがない。 ただ、ホームレスの男が教えてくれたフクシの連絡先。 ここに電話したらなにか変わるだろうか。
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初の萩原浩さんの作品 短編集で読みやすかった。 登場人物の思いがけないつながりや、過去と現在の気持ち そして未来はどうなって行くのか、期待を抱かせるような作品。 長編物はどんな感じなのか読んでみたい。
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直木賞受賞作品という事でなんとなく手に取って見たのがきっかけ。短編集というのも知らなかった。 良かった。 全ての編が心に刺さったという訳ではなかったけど、中でも成人式は秀逸でした。 はじめから、中盤あたりではこのまま暗く重い展開でどうなって行くか気持ちも沈んだまま読んでましたが、...
直木賞受賞作品という事でなんとなく手に取って見たのがきっかけ。短編集というのも知らなかった。 良かった。 全ての編が心に刺さったという訳ではなかったけど、中でも成人式は秀逸でした。 はじめから、中盤あたりではこのまま暗く重い展開でどうなって行くか気持ちも沈んだまま読んでましたが、途中からそんな風に切り換わりますか、とハラハラさせられました。 辛い話しであったはずが、最後は泣き笑いさせられ、晴れ晴れとした気持ちになれました。 作者の荻原浩さんの作品は初めて触れましたが、他作品も追って見たくなりました。
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