絵を見る技術 の商品レビュー
名画が名画と言われる理由を、絵の構成等から説明する本。 自分は元々美術館に行くのが好きなのだが、主に動物画や輪郭線の濃い日本絵画が好きでよく見てるものだから、世の中の人がアートと言えばゴッホやモネやルネサンス期とかの西洋画を連想するのは何故だろう?あんなぼんやりした絵とか生々しい...
名画が名画と言われる理由を、絵の構成等から説明する本。 自分は元々美術館に行くのが好きなのだが、主に動物画や輪郭線の濃い日本絵画が好きでよく見てるものだから、世の中の人がアートと言えばゴッホやモネやルネサンス期とかの西洋画を連想するのは何故だろう?あんなぼんやりした絵とか生々しい人間とか神とか見てて頭痛くならないんだろうか?というのは言い過ぎだが、評価されるには理由があるだろうからそれを知るために読んでみた。 成程、確かにぱっと見なんかバランスがいいなと感じる絵画(ときに写真)には構成とかに理由があるんだなあというのがわかった。たまに変なポージングの人物画があるが、それにも鑑賞側の目線誘導等の意味がある、と。時に写実主義絵画と写真の違いってほとんどないんじゃないのと評されがちだが、鑑賞の効果を最大限に高めた作品にするにはそのものを写す写真よりも配置等を好きなように描ける絵画のほうが都合がよいんだなと腑に落ちた(そんなことはこの本には書いていないがそういうことかと)。 個人的には鑑賞するときには、ここに書かれているような理由で世間に評価されたんだなと思う指標にするし、展覧会行った後のログを描く際には、そのときの印象を残すためにこの本に記載しているようなポイントに気を付ければそれっぽくなるんだなという指標になった。ここに書いてある条件を満たす絵だけが素晴らしい絵、というわけではなく、人々に選ばれた絵の理由を解説しているものと捉えたほうがいいと思う。
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デザインの勉強をしていた時、NYの美大で教鞭を取られている遠藤さんというデザイナーの方にお勧めしていただき読みました。 デザインの勉強の近道は、ひとつでも多くの素晴らしいデザインを見ること.. とはいえ、 どうやって見たらいいのか分からない 何がいいのか分からない これが...
デザインの勉強をしていた時、NYの美大で教鞭を取られている遠藤さんというデザイナーの方にお勧めしていただき読みました。 デザインの勉強の近道は、ひとつでも多くの素晴らしいデザインを見ること.. とはいえ、 どうやって見たらいいのか分からない 何がいいのか分からない これがどうしてこんなに評価を得てるのか? などなど、、、 その手の疑問が1番多く抱かれているのが、"絵画"でしょう。 ということで、どの様に絵画を楽しんだらいいのか?ということを、すごく分かりやすく、面白く解説してくださっているのがこちらの本。 それも、「絵の背景を汲み取って楽しむ」というものではなく、絵の構造や視線の動き、誘導のさせ方、ものの配置と描写の意味、など、視覚に重点を置いて解説してくれているので、これ一冊読めば、絵画だけでなく、世の中の様々な絵やデザインを見るのが楽しくなります! 絵に実線を入れて解説してくれるので、ページ数の割にはサクサク読めて、文体もかしこまってなくて読みやすいです! 苦手意識のある方にこそ、オススメかもしれません。
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美術館が好きで国内外の美術館を訪れてきた。 もっと早くこの本を読んでいれば、と感じた。 絵画鑑賞のときにどこに着目すれば良いか?どのように名画を読み解くかがわかりやすく解説されている(終盤の幾何学の箇所は難しくて完全には理解できなかったが)。 名画の名画たる所以が少しだけ理解で...
美術館が好きで国内外の美術館を訪れてきた。 もっと早くこの本を読んでいれば、と感じた。 絵画鑑賞のときにどこに着目すれば良いか?どのように名画を読み解くかがわかりやすく解説されている(終盤の幾何学の箇所は難しくて完全には理解できなかったが)。 名画の名画たる所以が少しだけ理解できた。 感性で絵の好き嫌いを感じ、理性で絵の良し悪しを見る。多角的なものの見方を身につけるのに役立つ本だった。 昔は絵の具も調合しなければならなかったとか、絵の構成に幾何学が応用されているとか、言われなければ気づかないことばかりだな、と感じた。 読み終わった後、美術館に行きたくなる本。
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ほんとは4.5くらい。 ちょっと難しい部分もあるけど、読んでると「実際に見て分析してみたい」という気持ちにさせられる。自分は背景知識で絵を見てたので、今そこにある絵に背景知識抜きで対峙できる術を知れたのは良かった。肝心の絵がちょっと見づらかったのと、語り口がやや砕けめで自分と合わ...
ほんとは4.5くらい。 ちょっと難しい部分もあるけど、読んでると「実際に見て分析してみたい」という気持ちにさせられる。自分は背景知識で絵を見てたので、今そこにある絵に背景知識抜きで対峙できる術を知れたのは良かった。肝心の絵がちょっと見づらかったのと、語り口がやや砕けめで自分と合わなかったのが-0.5。4にするか迷ったけど、総合的に見たら人にオススメできる本だなと思ったので5に切り上げた。
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美術を学んだ人は絵を見るとき何をどのように見ているのか。西洋絵画の古典を中心に、見る者の視線を離さないため画面内に張り巡らされたさまざまなテクニックを読み解く術を教える美術鑑賞の入門書。 絵画の画面を線、形、色、構図で捉えられるようになる見方をくだけた語り口で解説してくれる。...
美術を学んだ人は絵を見るとき何をどのように見ているのか。西洋絵画の古典を中心に、見る者の視線を離さないため画面内に張り巡らされたさまざまなテクニックを読み解く術を教える美術鑑賞の入門書。 絵画の画面を線、形、色、構図で捉えられるようになる見方をくだけた語り口で解説してくれる。タイトルを見ずとも優れた絵画は主題が何かを指し示す工夫がなされていて、同時に鑑賞者を絵のなかにとどまらせる視線誘導もおこなわれている。そこに気づくと一枚の絵を深く理解できるだけでなく、直感的な好き嫌いとは別に直感によらない評価軸を持つことができる。 本書は基本的に19世紀までの古典を扱っている。絵の具の原材料の稀少さがそのままその色を塗られたモチーフの重要度を指し示すというあたり、現代脳だとついつい忘れがちだったし、画面を分割して幾何学的に構図を分析していくと、画家とはアーティストである前に職人だったんだよなぁと思わずにはいられない。レオナルドの「受胎告知」が完全に静止しながら三次元的でもある神秘は、構図の分析でますます強まった。 でも一般的に「見方がわからない」絵画とは20世紀のキュビズム以降の作品を指すことが多いのではなかろうか。本書にはセザンヌやピカソ、モンドリアンなども紹介されているがメインではない。あくまでクラシカルでアカデミックな絵から基礎的な分析法をまずは叩き込み、そこからの逸脱が大きなテーマになった現代美術については別口でといった感じ。とにもかくにも絵画の裏に幾何学があることをできるだけ単純化して見せてくれるので、数学嫌いにも楽しめる一冊。
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わかりやすい表現で絵画ど素人の自分にはちょうどよかった。ただ、本文の紙が上質紙だったこともあり、サンプルの絵画の細かい陰影が見えず、解説がわかりにくいところもあった。次の増刷ではコートかマット系にしてほい。用紙を変えても販売価格に影響しないと思う。
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寸分の狂いもなく「美」を追求した画家達の着眼点が紹介されており、名画が名画たる所以が分かる。 確か東大王の誰かが紹介していたはず。絵画の見方に関する本は数多あるが、この本の指南はシンプルかつ実践的で、目から鱗の内容。 ほとんど全ページに名画の事例が収録されていてとても分かりやすい...
寸分の狂いもなく「美」を追求した画家達の着眼点が紹介されており、名画が名画たる所以が分かる。 確か東大王の誰かが紹介していたはず。絵画の見方に関する本は数多あるが、この本の指南はシンプルかつ実践的で、目から鱗の内容。 ほとんど全ページに名画の事例が収録されていてとても分かりやすい。 そして表紙や紙の質感も良いので、読むだけで「ちょっと良い時間」を過ごしている気になれる。例えば日曜日にお酒を飲みながら、名画と睨めっことか。 読後に絵を見るとついつい「フォーカルポイント」を探してしまう。。 絵画鑑賞の入口にぴったりの一冊。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
内容が盛りだくさんでなかなか理解することが難しい. ポイントは書いてあるが、絵画を見てすぐに全ての見方がわかるわけではない. まずはフォーカルポイント、経路とバランス?がみれたらいいのかなぁ。(もし違っていたら教えてください) この本を読んだから終わりではなく、色々な絵画を見ていかなければならないと思った. 1.絵の主役(フォーカルポイント)の探し方について 顔、色、大きさ、位置、明暗の落差、リーディングライン(重要な箇所に向けて目を誘導する線;身振り手振り、グラデーション、大→小、視線)がある.フォーカルポイントは2つの場合もあり、それらをバランス良くする工夫が必要となり技術的には難しい.絵の主役を知ると物語の進行がわかってくる. 絵の主役が探そうとすると確かに主役の視線や脇役の身振り手振りなどが見えてきてこの絵が何をしている絵なのかがなんとなく見えてきた. 2.絵を見る順路を示した経路の見方 四隅をさけ一周する周回路、両サイドにストッパーを置くジグザク経路、大事なものから放たれる放射型の経路がある.そのほかにも入口と出口(全てにあるわけではない)で視線誘導される工夫がされているものもある. 正直絵を隅々見て欲しいという作者の気持ちに気付かされた.今まで雰囲気ばかり気にしてなんとなくで見ていたのだ.しかし経路を良く見るとこんなところにこんな配慮やこんなものがあるのかと驚かされるばかりだった. 3.バランスの見方について 名画は線的にも量的にもバランスが取れている.線のバランスを見るには構造線(柱となる線)を見つけること.構造線には縦横斜めカーブなどがありそれによってイメージが異なる.量的なバランスについては見かけ上の重さ、主役に対する脇役などのバランスの取り方について記述されている. この章がなかなか難しい.バランスが取れているのかよくわからない.言われればそうかなぁと思うのだが(それさえもわからないこともあるが)他の絵画で応用ができない.人は知らず知らずのうちに安心できるものを名画として見ているのかなぁと思った. 4.絵の具と色について まず絵の具について書かれており、絵の具は物質によってできておりイメージにもその材料の価値が反映されている.色の働きを種類、鮮やかさ、明るさについても言及している. 色のイメージが現在においても残っている.例えば金色は現在においても高級なイメージである.昔の画家は絵の具を作るところから始まっておりその能力もおそらく絵の価値に影響していただろう. この本を読んで絵画を隅々見ることが増えた.そして好きな画家ができた.どうしてこの画家や絵画が好きなのかまでまだ自分の中に落とし込めていない.少しずつ学んでいきたいと思う. 美術館に行く方はぜひ読んでほしい.絵画の楽しさをより感じることができるだろう.
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絵画の歴史的な解説とかではなく、 その絵画がどうしていい絵なのか、理屈の面から理解するための見方を実践しながら教えてくれる本になっている。 絵画の主役やバランス、色使い、構図など、章ごとにテーマをわけて、具体的に絵を見ながら教えてくれるので、とても理解しやすかった。 絵画を見...
絵画の歴史的な解説とかではなく、 その絵画がどうしていい絵なのか、理屈の面から理解するための見方を実践しながら教えてくれる本になっている。 絵画の主役やバランス、色使い、構図など、章ごとにテーマをわけて、具体的に絵を見ながら教えてくれるので、とても理解しやすかった。 絵画を見るときに歴史的な価値やその画家の背景などの知識でも見方は変わるだろうけれど、 この本ではそういう知識がなくても、絵画をきちんと(?)見る方法を教えてくれるので、 美術館へ行って実際に自分の目で絵を見たくなった。 きっと、今まで見えていなかったことに気づけるようになっていると思わせてくれるいい本だった。
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「へー!」や「ほー!」が止まらない。絵画ってこういう見方をするんだ…。とても学び深く、メモしておきたいことだらけで、なんならこの本を持って美術館に行くべきなんじゃないか?と思わされるほど。 6章のタイトル、"だから、名画は名画なんです。"の言葉が好き。こ...
「へー!」や「ほー!」が止まらない。絵画ってこういう見方をするんだ…。とても学び深く、メモしておきたいことだらけで、なんならこの本を持って美術館に行くべきなんじゃないか?と思わされるほど。 6章のタイトル、"だから、名画は名画なんです。"の言葉が好き。この言葉に全てが詰め込まれている。この世に名を残す巨匠たちは、意識的または無意識的(無意識っていうのが、また良い。)にバランス・色・構図を緻密に計算して描いている。だから、我々の視線を離さない。すごい…。絵具の発明や改革、宗教。様々な時代背景とともに絵画もどんどん多彩に、個性的になっていく。おもしろい…。 絵を見る視点を考える。"なんかいい"のなんかをロジカルに見る。さすれば、自分の言葉で"何がいい"かを表現できるんだ。 【一言感想】 読了後、もれなく美術館行きたいー!ってなると思う。
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