マチネの終わりに の商品レビュー
正直恋愛小説ってあまり得意ではないのですが、映画を観てから小説を読んだので、すんなりと物語の中に入り込めて良かったのですが、もし、小説からだったらなかなか難しかったかもしれませんね。
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運命の人の定義とは。スランプ気味のアラフォー天才ギタリストと、世界を駆け巡る美人ジャーナリストの運命の出会いと、関係について。 描写が美しくて、恋愛だけでなく、仕事やキャリア、不安定な国際情勢、歴史に残る文学の解釈、40代という微妙な年代の中で、若い世代に追い越される不安など、...
運命の人の定義とは。スランプ気味のアラフォー天才ギタリストと、世界を駆け巡る美人ジャーナリストの運命の出会いと、関係について。 描写が美しくて、恋愛だけでなく、仕事やキャリア、不安定な国際情勢、歴史に残る文学の解釈、40代という微妙な年代の中で、若い世代に追い越される不安など、いろんな人生の側面が絡んでいて、40代でなくてものめりこめた。4日間で一気に400ページ読み終えてしまった。 もしも韓国ドラマだったら、運命の再会を果たして、家族も巻き込みながら最後はハッピーエンディングなのかもしれないけれども、そうはいかない心の動きがリアルで切なすぎる。そして、身勝手に人の運命を操作して、それで自分の信じるものしか想像できない早苗が最後まで許せなかったと同時に、人の愛を壊した人には何らかの犠牲もあるんだなと思う。一方で、そういった運命を乗り越えられなかったのは、やはり2人が一緒になることはないことの理由のひとつなのかな…。 燃えるほど強く引き寄せられる人は、時には火傷するような存在にもなりえると思わされる。久々にずっと考えさせられてしまう小説だった。
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『過去は変えられる。』 言葉にならない。圧巻。 誰もが考える、あの時こうだったら、今はこうだったかもしれないという感情の機微が美しい文体で表現されている。 個人的には愛ゆえに痛みに耐え、相手を慮る洋子の強さに敬服した。
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平野啓一郎さん「マチネの終わりに」 自分にとって「ある男」以来の著者の作品になる。 平野作品全体に形容される「分人主義」という作風、じっくりと味わってみたいと思いこの有名な作品を読んでみる事に。 物語は完全なるラブストーリー、40歳前後の所謂「大人の恋愛」が描かれている。 お互...
平野啓一郎さん「マチネの終わりに」 自分にとって「ある男」以来の著者の作品になる。 平野作品全体に形容される「分人主義」という作風、じっくりと味わってみたいと思いこの有名な作品を読んでみる事に。 物語は完全なるラブストーリー、40歳前後の所謂「大人の恋愛」が描かれている。 お互いの生き方、お互いの仕事感、お互いの距離感がスマートでセンスが良く凄くお洒落に感じられた。 物語のストーリー自体が物凄く秀逸でグイグイと引き込まれて読まされていく。 自分の余計な感情が邪魔だと感じるくらい「超弩ストレート」な恋愛小説だった。 序章で触れられていて気になっていたが読後に検索したところこの物語には本当にモデルがあり、ギタリストの福田進一さんという方と国際ジャーナリストの山本美香さんという方の物語という事が分かった。自分は両者とも存じ上げなかったが、調べれば調べるほど両者の持つ人間性の高さを知る事になった。 凄く衝撃的だったのが作品には描かれていなかったが2012年にシリア内戦取材中に山本さんは銃撃され亡くなってしまったという事実。 その事実と物語が混同してしまう。 蒔野と再開した東日本大震災の蒔野の復興コンサートのすぐ後ではないか… 洋子の気持ち、蒔野の気持ち、作者が書かずにはいられなかったという気持ち、全てが混同しだして自分も胸の中が空しさでいっぱいになってしまった。 こんな悲劇あっていいのだろうか? 実際には「分人主義」という作風に触れてみようと思い読み出した作品だったのだが、完全に物語の持つ魅力に支配されたまま読み終えてしまった。 この作品に関しては読後の余韻も物凄く強いため「分人主義」云々はもうどうでもよくなっている。 著者の新作「本心」も購入してあるのでそちらを読みながら「分人主義」に関しては触れられたらなと思う。
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私が童貞だからというのもあるが、三谷にだけは共感できかねる。経験豊富なニキネキならばわかるのか。 こんなすれ違う事ある!?という程のすれ違い、社会的なテーマも絡み切ない。
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余韻が残る。 人は変えられるのは未来だけじゃない。未来は常に過去を変える。変えられるし変わってしまう。 運命と自由意志について考えた
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愛とは,過去を変え,未来を形作る,生の根源なのだ.すれ違いの状況は陳腐なドラマのようだが,主人公達を取り巻くそれぞれの愛の形が葡萄の房のように層を成し,物語を彩る.思わずifの世界を考えてしまう.
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恋愛小説ではなく恋愛を手段にした2人それぞれの人生の物語。自省、仕事、家庭、人間関係、社会。過去、現実、未来。 もう一度読む精神力ないけど、これから何度も反芻していきたい。
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静かで穏やかで でもとても激しくて情熱的。 わたしが存在しているということ 大切な誰かが確かに存在しているということ 大切なあの人がある世界 そんなわたしの人生が、 とても愛おしくて大切だと思えた。 人は、変えられるのは未来だけだと思い込んでる、だけど実際は、未来は常に過去を...
静かで穏やかで でもとても激しくて情熱的。 わたしが存在しているということ 大切な誰かが確かに存在しているということ 大切なあの人がある世界 そんなわたしの人生が、 とても愛おしくて大切だと思えた。 人は、変えられるのは未来だけだと思い込んでる、だけど実際は、未来は常に過去を変えている。変えられるとも言えるし、変わってしまうとも言える。過去は、それくらい繊細で、かんじやすいもの。
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めちゃくちゃ素敵な本だった。美しいって言葉が一番しっくりくる。愛と絶望が入り混じる最高に人間って感じの作品で、素敵すぎた。後半戦からの畳み掛けが凄まじくて、終わり方まで好みだった。とても好きになった。
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