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夫の骨 の商品レビュー

3.6

53件のお客様レビュー

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  2. 4つ

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2019/06/30

短編ミステリー集。 どの作品も重苦しく、暗さを伴う雰囲気を醸し出す。ある意味おどろおどろしささえ感じる作品もある。しかし普通のミステリー短編集だと思い、読み進めるとその結末は鮮やかに裏切られる。どの作品も文体や言葉のうちに結末を予想するがそれはことごとく覆され、予想外の結末を迎え...

短編ミステリー集。 どの作品も重苦しく、暗さを伴う雰囲気を醸し出す。ある意味おどろおどろしささえ感じる作品もある。しかし普通のミステリー短編集だと思い、読み進めるとその結末は鮮やかに裏切られる。どの作品も文体や言葉のうちに結末を予想するがそれはことごとく覆され、予想外の結末を迎える。それは心地よいほどである。 9作品を読み進むうち、「これは予想と反して、こうなるのでは?」と途中からは著者との結末の対決とも言える読み方をしてしまった。

Posted byブクログ

2019/06/12

個人的にはこういうイヤミス系、ブラック系はあまり好きではないのだが、この作品は先が気になってあっという間に読めてしまった。 表題作「夫の骨」。登山中に事故死した夫の遺品を片付けている時に出てきた乳児と思われる骨。生前の夫と血縁のない義母との奇妙な違和感を思い出しある疑惑を持った...

個人的にはこういうイヤミス系、ブラック系はあまり好きではないのだが、この作品は先が気になってあっという間に読めてしまった。 表題作「夫の骨」。登山中に事故死した夫の遺品を片付けている時に出てきた乳児と思われる骨。生前の夫と血縁のない義母との奇妙な違和感を思い出しある疑惑を持った主人公は…。 「夫の骨」とはそういうことだったのか。意外性が面白かった。 姉妹、母娘、夫婦、血の繋がりのない親子に姉妹…様々な家族とそこに潜む秘密を描く。 ヒリヒリとするような焦燥感、座りの悪い落ち着かない違和感、ムカムカするような嫌悪感、そんな気味の悪い空気が蔓延する中でついに迎える結末。 清々しさとは違うものの、溜飲を下げられるものもあり、逆に新たな迷路への始まりを感じるものもあり。 唯一「虚ろの檻」のみが毛色の違う作品。動物が悲しい結末になるのは辛いものなので良かった。 著者紹介を読むと、漫画原作を中心に書かれている作家さんのようで、この作品は作家さんの新境地というところか。個人的にはもう少し爽快な作品も書いてほしい。

Posted byブクログ

2019/06/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

家族をテーマにしたちょっとダークな9つの短編集。 どの短編もこちらの意表をつく結末に、思わず苦笑いしたりほっと和んだり。 矢樹純さんは初読みの作家さん。 挑戦を挑むかのように、各々のミステリーのオチを予想してもことごとく外れてしまう。 気持ちのいい位の敗北感を味わい、いっそ清々しい。 夫婦、姉妹、親子…どれも家族の絆の深さをしみじみ思い知らされるものだった。 不思議な余韻がいつまでも残るミステリー。 『絵馬の赦し』『虚ろの檻』『鼠の家』『かけがえのないあなた』が特に良かった。 またいつか、矢樹純さんに挑戦を挑みたい!

Posted byブクログ