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夫の骨 の商品レビュー

3.6

53件のお客様レビュー

  1. 5つ

    5

  2. 4つ

    23

  3. 3つ

    14

  4. 2つ

    3

  5. 1つ

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2020/10/24

家族の軋みと絆に目を向けた9編の短編ミステリー集。いずれも複雑な家庭事情が絡み、不穏な雰囲気を漂わせながら、想像もできない結末が待ち受けている。 中でも表題作「夫の骨」は、第73回推理作家協会賞(短編部門)を受賞している。 夫が事故死してから1年がたった頃、夫は、2年前他界した義...

家族の軋みと絆に目を向けた9編の短編ミステリー集。いずれも複雑な家庭事情が絡み、不穏な雰囲気を漂わせながら、想像もできない結末が待ち受けている。 中でも表題作「夫の骨」は、第73回推理作家協会賞(短編部門)を受賞している。 夫が事故死してから1年がたった頃、夫は、2年前他界した義母を「佳子さん」と呼び、他人行儀な態度を崩さなかった。夫の遺品を整理していた「私」は小さな桐箱の中に乳児の骨を見つける。夫の死は本当に事故だったのか、その骨は誰のものだったのか・・・ラストは誰もが想像するであろうストーリーをみごとに覆すものだった。

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2020/10/18

2年前に他界した血縁のない母に対し、他人行儀な態度を崩さなかった夫。昨年、事故死した夫の遺品の中から、乳児の骨を見つけた妻は…。表題作ほか全9編を収録。 表題作は2020年日本推理作家協会賞短編部門受賞作。鮮やかというほどではないにしろ「そう来たか!」というどんでん返しに感心。...

2年前に他界した血縁のない母に対し、他人行儀な態度を崩さなかった夫。昨年、事故死した夫の遺品の中から、乳児の骨を見つけた妻は…。表題作ほか全9編を収録。 表題作は2020年日本推理作家協会賞短編部門受賞作。鮮やかというほどではないにしろ「そう来たか!」というどんでん返しに感心。他の8編も何らかの予想外な展開が待ち受けていて、楽しめた。 (B)

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2020/07/09

家族の”軋み”を鋭く捉えた9篇。 どの話もオチを想像して読むけど、そっちかー!とかそういう意味かー!とまんまと引っかかる私でした。

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2020/06/25

一番近い存在なのに 家族って 本当に遠いんだな 思っても思うがゆえに伝わらない そして その寂しさが胸を打つ しみじみと やっぱり人は一人なのね・・・ ミスリードすることによって より深い 人間の情念があぶりだされていく巧い

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2020/03/10

家族の、軋みを鋭く捉えた九編。 どの作品も、おそらくこの展開かな?を裏切る結末でイヤミス要素あり、嫉妬やマウンティングありで読み応えあり。 「夫の骨」が、どこまでが真実なのか解らなくて一番良かった。 初作家さんなので他の作品も読んでみたい。

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2019/12/04

不器用で、いびつで、時に頼りない、けれどかけがえのない家族。読み終わって帯の煽りに感嘆します。九つの物語は、いわば普通に見える家族の内面と裏側をくるりと読者の目の前に晒します。最後にすっと背筋を寒くする隠れていたものが運んでくるのは、ブラックというより切なさややるせなさ。女という...

不器用で、いびつで、時に頼りない、けれどかけがえのない家族。読み終わって帯の煽りに感嘆します。九つの物語は、いわば普通に見える家族の内面と裏側をくるりと読者の目の前に晒します。最後にすっと背筋を寒くする隠れていたものが運んでくるのは、ブラックというより切なさややるせなさ。女というものはいざというときは強いのです。特に最初の4編はラスト一行が秀逸で、ぐいっと息苦しい生暖かいものの中に沈められたような気がしました。特に印象深かったのは、おそらく…と想像しながらも最後の一行にやるせなさで震えた「柔らかな背」。

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2019/11/14
  • ネタバレ

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30頁ほどの短編9つ。タイトルと表紙からはどの手の話なのか想像つかず。基本的にはイヤミスに分類される話が多く、各話終盤の「傍点を振った一文」に「あらら、そうだったのね」と二度見ならぬ何度見かをしました。 登場人物中の女性の妊娠がそもそものきっかけとなっている話がいくつかあり、女性のしたたかさを感じて怖くなるけど、身勝手な男性やマウンティング女子にここぞというときにボソっと、でもきっぱり言ってやったときにはスッキリ(笑)。 9編のうち少し異質で普通のミステリーっぽい『虚ろの檻』が好きでした。今後も読みたい作家です。

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2019/11/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ミステリだが、名探偵ものや警察もののように、“犯人が見つかりました”とすっきりしてから動機がストーリーとして明かされる、というパターンの作品ではない。 彼女は、または彼は、そうするしかなかった、あえてその道を選んだ、という選択が描かれる。 その後、捕まるか裁かれるか…彼女や彼たちにとっては、それはどうでも良い事のように思われるので省略される。 鬼ごっこの鬼も帰ってしまって、夕暮れにぽつんと一人…みたいな黄昏時のものさびしい薄暗さが漂う本だ。 ちょっと叙述ミステリというのか…こちらの勝手な勘違いで騙されること多数。 信じていた大地がぐるっとひっくり返るような感覚を味わうこと多数。 弱いものと支配するものは簡単に入れ替わる。 夫が何を考えているのか分からない、認知症の老人が見ている世界は他人には見えない、そして当然だが、死人に口なし。 不思議な切り口の本でもある。 『夫の骨』 乳児の骨の正体は? 私が結婚した人は誰? 『朽ちない花』 くちうるさい姉の言いなりになってきた妹の反撃か。 『柔らかな背』 先輩に強請られている高校生の孫も、一緒に住んでいる娘の幸恵も… 高齢者の免許返納が急激に増えているらしいです。 『ひずんだ鏡』 姉と妹の関係。 どちらが勝ち組みなのか。 『絵馬の赦し』 ドロドロだけど、これは小さな救いをやっと見出した話。 『虚ろの檻』 気が付くと獰猛な土佐犬と同じ檻にいた。 珍しく(!)溜飲が下がる話。 『鼠の家』 嫌な家族だな、から一転。 血の繋がらない姉妹の話。 『ダムの底』 その選択は… 本人にとってはただ一つの道。 『かけがえのないあなた』 いつも正解を導いてきた賢い夫の失敗。 一番大切なのは息子。 DNAの半分が自分であることだけが拠り所となる真実。

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2019/10/23

2019/10/19 家族の中の「軋み」もとい 狂気をかき集めて凝縮したような短編集だった 味方 社会 家族という単位の中に影を落とす。 その闇が次第に大きくなる。 どの物語にも明るいものはない。 切るに切れない 続くしかない 家族の狂気に震えるのみ…

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2019/10/15

結末に明かされる意外な真相が、現代の家族を鋭くえぐり出す。巧みで鮮烈な爆弾付きの九つの物語。 久しぶりに見つけた掘り出し物である。なんとなく昭和の香りがする文体が落ち着きを与えるにも関わらず、ブラックテイストな結末はまさにイヤミスの極み。

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