教育激変 の商品レビュー
池上氏と佐藤氏が2020年大学改革を巡り、『高校』『大学受験』『大学』といったテーマについて、対談する一冊。最終章は山本廣基大学入試センター理事長を交えた対談となっている。 本書は2019年4月に出版された本であり、記述式の導入・四技能の測定の見送り・延期の決定前の話である。 ...
池上氏と佐藤氏が2020年大学改革を巡り、『高校』『大学受験』『大学』といったテーマについて、対談する一冊。最終章は山本廣基大学入試センター理事長を交えた対談となっている。 本書は2019年4月に出版された本であり、記述式の導入・四技能の測定の見送り・延期の決定前の話である。 両者が倒れた今、高大接続改革はとん挫したかのように見える。 しかしながら、池上氏・佐藤氏、そして山本理事長の三者のコメントから、今回の決断がその結果が予期されていたこと、そして改革は決して終了していないことがわかる。 文部科学省が実行しようとした『上からの改革』は急進的過ぎて失敗した。 ただし、改革の背景に存在する、偏差値教育が行われる高校教育の弊害,全入時代にあっての大学の存在意義,即戦力・高度人材が求められる社会への対応は決して看過してよいものではない。 教育関係者、受験生の親御さんだけでなく、様々な人びとに読んでほしい。 そうして与えられるのではなく、自ら求める学習を漸進的に実行し、高校・入試・大学を変革してほしい。こうした『下からの改革』が重要なのではないか。
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対談形式の本は普段あんまり好きじゃないのだけど、これは得るものも多くて面白く読めた。特にセンター試験の改革は自分が全然知らない話がほとんどだったから興味深かった。
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目先の点数のみで教育を測ろうという浅はかな考え方が巷間に蔓延している点に問題があって,本質的な教育とは何かを考える切っ掛けとしてこの機会を利用したい.教育とは定量化などできないもののはず.
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
いま日本に必要な教育は? 面白かった。今までの日本の教育を振り返り、また、いわゆる「エリート」が起こした大きな事件について、彼ら彼女らが受けた教育から振り返っているところを面白く読んだ。「ハーバード白熱教室」がなぜあんなに白熱するのか、その裏側も納得。アクティブに学ぶには、議論が出来るだけの下地が必要なのだ。宗教教育が必要という佐藤優の持論には、大きく頷く。自分の受けた宗教教育から思い当たるところがあるから。この本で語られる、「エリート」を養成することに、私は賛成する。けれど、教育改革のすべてに頷けるわけではない。 著者は新大学入試を評価している。なかなかに面白い問題だと私も思った。最初の試行では高校生が解けなかったので、やや変える動きもあるようだ。最近、英語試験から降りると告げたテスト業者もあった。教育改革の方向、少なくとも、この本を読む限り、大学入試の改革方向性は理解できる。今の高校生は、それに向けた教育をされていないから、この新形式の試験は苦戦するかもしれない。でも、受験産業界が(本当は学校教育が、だけど)なんとかしてしまう気がする。大学入試に合わせて、教育が変わるのは否定できないから、求められる人材の姿を大学入試が示せばいい。そこは妥協しなくていいと思う。劇薬でも、付いていく人は、付いていく。問題は、付いていけない人をどうするか、だ。 新形式の大学入試は、また、三位一体で進められている教育改革は、AIの時代に向けて、AIでは補えない分野を担う人間を育てるための教育だと思う。でも、そういう人材は数多くなくていいだろうし、かなり上の層ではないか。つまり、「エリート」だ。上に立つ「エリート」に、良き人格とか、思いやりとか、コミュニケーション能力とか、そういう本来テストで点数化できないような、点数化してはいけないかもしれないような、そんな力が求められるのは、わかる。代表者だから。持てる者は与えなくてはいけないから。恵まれている部分を、恵まれていない人に分け与えることで、全体を幸福にするために。 では、恵まれていない人は、そこまでの力がない人は、与えられたままでいいのだろうか。小さい頃から、図書館、美術館、博物館、動物園、コンサートホールなど文化施設が近くにあって、音楽やらスポーツやらダンスやらの習いごとをして、そうやって文化に触れて育ってきた人が、新聞を読みニュースを見て、それを両親などと折に触れて話し合ってきた人が、優位になる入試なら、やはり「勝ち組」「負け組」は固定されてしまうし、格差も開くだろう。AIが職場に入ってくる時代、単純作業だったり労力だけが必要だったりする仕事は、安価だけども高度な能力をあまり必要としていない仕事は、もう人間にはできない。その仕事に就くはずだった人はどうするのだろう。読解力は大事だし、すべての子どもたちにある程度の読解力を付けることを義務教育が保証すべきだと思う。でも、それですべての子どもたちがAIにとって代われない人間の力をつけたとして、それだけの人間が仕事に必要なのか。少子化とAIやロボットによる効率化は、人材の需要と供給のバランスをどうしているのか。 確かに、この本を読むと、教育改革の方向性は悪くないと思える。いい方向に感じる。でも、この教育改革に耐えられるのは、上位層だけでは、という不安が残る。「エリート」教育は悪じゃない、そう思う。上に立つ人間が、ろくな人間じゃないのは、困る。宗教教育を中高で受けてきた一人として、信者じゃなくても宗教を学んだことが有意義だったと大きな声で言える。改革に試行錯誤が避けられないから、ちょうど運の悪い時に大学入試を受けることになる世代がいるのも、認めないといけない。管理教育、受験地獄、ゆとり教育など、今までも不運な時代の教育にぶち当たった世代があった。そして、その世代はそれぞれに苦労しているところがある。だから、教育改革がすぐすべて成功しないことは仕方がないとして、その試行錯誤の中で、受け止められなかった人や、こぼれてしまった人を、必ず救える、チャンスがあると、そうわからないと、教育改革にも何にでも、うん、と言えない。
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教育の問題と時事をからめて論じてくれる。つまり、教育とは今はある社会問題の根底にあるものだし、それを解決するためにも教育が大きな意味を持っている、と感じられるんだよね。大学の入試改革とかAI、シンギュラリティ、アクティブ・ラーニング。そういった教育のトピックスと、財務次官のセクハ...
教育の問題と時事をからめて論じてくれる。つまり、教育とは今はある社会問題の根底にあるものだし、それを解決するためにも教育が大きな意味を持っている、と感じられるんだよね。大学の入試改革とかAI、シンギュラリティ、アクティブ・ラーニング。そういった教育のトピックスと、財務次官のセクハラ事件とか格差の問題をつなげて考える。その姿勢は、本来あるべきものなんだろう。いろいろ考えさせられた。 この二人の共著、加速度的に増えている気がするけど、それだけ売れるのだろうな。実際、確かに一定の面白さは保証してくれるし。
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対談風にまとめられています。 今、直面している教育改革についてどう考えるのか、池上彰さんをはじめ著名人の考えを知ることができます。
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読了。大学入試センター理事長との鼎談あり。娘は、がっちり教育改革にあたるので、心配であったが、少し安心した。
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まあ、対談の中に出てくるのは概ね同意。しかし、日本の教育界隈は、大変だなあと当たらためて実感。本当に新指導要領実施ってどうなっていくんだろうね。
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直ぐに読めた。新受験制度とはどういうものか、とても興味があった。実際テストを解いてみて良い問題だとの評価だった。ただどうも来年の学生はこのテスト向けの勉強をしているようにも思えず、そういう意味ではやはり地力の差が結果に出るということだろうか。ノウハウが溜まるまでの数年間は混沌とす...
直ぐに読めた。新受験制度とはどういうものか、とても興味があった。実際テストを解いてみて良い問題だとの評価だった。ただどうも来年の学生はこのテスト向けの勉強をしているようにも思えず、そういう意味ではやはり地力の差が結果に出るということだろうか。ノウハウが溜まるまでの数年間は混沌とするんだろうな。
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是か否か? 2020年「教育改革」。「新しい学力」とは何か。アクティブ・ラーニングに意味はあるか。両氏が徹底討論する
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