精霊の木 の商品レビュー
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著者の若さと情熱、迸る思いのたけが時空を超えてこちらに届く。 30年といっても、何も変わらない私たち。むしろ様々なものを毎日蝕み、そして失っている。 わたしもいつか、大事なことを忘れてしまうのだろうか。
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人類と進歩への批判をひしひしと感じます。 エピソードを削ったと書いてあったので、 削らない素のままの作品を読んでみたいです。 そして、何がすごいって、 あとがき3つに解説付きなところです。
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想像外の出だしから、途中までタイトルが違う本を読んでいるのかと思った。 中盤からは大粒の涙が溢れてきて胸がしめつけられる。 巻末の解説まで読んで満足できる素敵な一冊。
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ちょっとSFぽいファンタジー。 あとがきに書いてあるが、元々はもっと長編であったものをかなり削って一冊にしたようだ。話の内容がやはりファンタジーで最後は精霊が出てきてハッピーエンド。そこそこしっかり読めるが、やはりかなり端追ったところがちょっと読み返しが必要になったりしている。まあ大丈夫! でもほのぼのとしたいい話だった。 獣の奏者に通じる。
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あとがきや文庫本あとがきで著者ご本人が書かれている通り、冷静に読むとかなり粗削りな作品。それでも、のちの上橋ワールドにつながるエッセンスが垣間見えて微笑ましい。 征服者の語る歴史。そこに隠されているもう一つの歴史。霊的な存在。一人の正義と集団の正義。洞窟。歌。木。物語。などなど。...
あとがきや文庫本あとがきで著者ご本人が書かれている通り、冷静に読むとかなり粗削りな作品。それでも、のちの上橋ワールドにつながるエッセンスが垣間見えて微笑ましい。 征服者の語る歴史。そこに隠されているもう一つの歴史。霊的な存在。一人の正義と集団の正義。洞窟。歌。木。物語。などなど。作家の原点を楽しみたい方には素晴らしい読書体験になるでしょう。 というオブラートに包まず、はっきりいってしまうと、上橋菜穂子のデビュー作ということを差し引けばうーむ、という完成度。 その意味で、この作品で上橋菜穂子を見出した偕成社の編集者(相原法則)の目は素晴らしい。感謝してもしきれない。ありがとう。ありがとう。
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上橋奈緒子さんの作家デビュー30周年記念と大々的に謡われての新潮社からの文庫化。偕成社版も入手していたものの、ちょっともったいなくて読んでいなかったのだが、持ち歩きしやすい文庫版となってあっという間に読み終わってしまった。通勤途中に読んでいて、うっかりあちらの世界に引き込まれ、予...
上橋奈緒子さんの作家デビュー30周年記念と大々的に謡われての新潮社からの文庫化。偕成社版も入手していたものの、ちょっともったいなくて読んでいなかったのだが、持ち歩きしやすい文庫版となってあっという間に読み終わってしまった。通勤途中に読んでいて、うっかりあちらの世界に引き込まれ、予定していた駅よりも早く降りてしまったり、熱中しすぎて乗り越してしまったりで、物語パワー凄しでした。 ご本人のあとがきによれば、30周年を記念した文庫化にあたり読み直し、気恥ずかしかったというようなことをお書きになっているけれど、その気持ちも十分に理解できる一方で、やはり上橋さんの創造する世界にすんなり入り込みました。 小学校の卒業式で校長先生が祝辞として卒業生となる私たちに語りかけてくださった「経験したことがないからわからないではなく、経験しなくても理解できる、予測が立てられる、相手の気持ちを感じたり、物事を見通す力をつけてください。」という言葉に呼応するような感覚を覚えました。 フィクションを読む楽しみだけでなく、大切さをも感じる素敵な作品です。
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デビュー作の上橋菜穂子さんは そのストーリーも筆運びも 若々しくて初々しいですね。 一番意外だったのは 当時は作中の食べ物描写には あまりこだわっては いらっしゃらなかったのですね。
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獣の奏者で出会い、それから追い続けていた上橋さんのデビュー作が文庫化と聞いて。 内容の民俗学的要素の濃さは変わらず、SFっぽいさは今では見られないので新鮮だった。 30年も前の作品だし、今に比べれば当然目劣りするが、テーマ的にも、多くの歴史を振り返り、考えることの多い一冊だなぁと...
獣の奏者で出会い、それから追い続けていた上橋さんのデビュー作が文庫化と聞いて。 内容の民俗学的要素の濃さは変わらず、SFっぽいさは今では見られないので新鮮だった。 30年も前の作品だし、今に比べれば当然目劣りするが、テーマ的にも、多くの歴史を振り返り、考えることの多い一冊だなぁと思う。
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デビューから30年。初作品の文庫。30年前の若さが、少し硬めに光っていて眩しい。今の作者だったら違う書き方をするだろうけれど、その時にしか書けない書き方も良いなぁと思う。心の奥深く根っこにあるものは変わってないとちゃんとわかる気がするから。 リシアとシンのように数日のぶっ飛んだ経...
デビューから30年。初作品の文庫。30年前の若さが、少し硬めに光っていて眩しい。今の作者だったら違う書き方をするだろうけれど、その時にしか書けない書き方も良いなぁと思う。心の奥深く根っこにあるものは変わってないとちゃんとわかる気がするから。 リシアとシンのように数日のぶっ飛んだ経験があっという間に成長させてくれる、何てことが起きる可能性はほんの数パーセントあるかないかの自分は、日々少しずつの成長を積み重ねて、あれっ? いつの間にか変わってる!! と気付くのを楽しみに毎日を過ごすのです (^^♪
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「守り人シリーズ」の上橋菜穂子さんのデビュー作が文庫化。 ともすれば、数冊に渡りシリーズ化してしまいそうなものがギュッと1冊になっている。著者があとがきで「話を削るのに苦労した話」を載せていたが、私は守り人シリーズに途中で挫折してしまったので、「1冊だけ」というのが何よりも好ポ...
「守り人シリーズ」の上橋菜穂子さんのデビュー作が文庫化。 ともすれば、数冊に渡りシリーズ化してしまいそうなものがギュッと1冊になっている。著者があとがきで「話を削るのに苦労した話」を載せていたが、私は守り人シリーズに途中で挫折してしまったので、「1冊だけ」というのが何よりも好ポイントだ。 環境破壊によって住めなくなった地球を捨て、他の星へ移住する地球人。 その新しい星の先住民をどうするかという問題は、まさに今、現代を生きる人間たちも少なからず持っているであろう我欲が大きく映し出されているようだった。 人間を、地球人を、もっとも尊いものだと思う奢り、この星に住まわせてもらっているという謙虚さも忘れて自然環境を使い捨てのごとく扱う様、自分たちの生活のために他者を迫害する身勝手さ。 もしこれが我々の未来だと仮定すると、高い知能を持ったはずの人間というものの愚かさに、なんとも苦い気持ちになる。 SF小説でありながら、いろいろなことを考えさせられてしまう1冊だった。 暗い背景をもちながらも物語には温もりがある。SFらしくハラハラドキドキワクワクにも満ち溢れていて、久しぶりに楽しいひと時を過ごすことができた気がした。
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