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慈雨 の商品レビュー

3.7

328件のお客様レビュー

  1. 5つ

    62

  2. 4つ

    126

  3. 3つ

    112

  4. 2つ

    13

  5. 1つ

    2

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2020/07/12
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

刑事物だけどちょっと変わっ感じの推理もの? 主人公は刑事を退職したばかりの神場。現役時代に心残りである幼女殺害事件を初めとして、悔恨の念を鎮めるため四国お遍路さんの旅にでる。妻と一緒に。 旅先で知る新たな幼女殺害試験。 すでに刑事を引退した身でありつつも気になって仕方がない神場は、元部下である緒方に連絡をとり、事件の詳細を聞き取りつアドバイスを与えていく。いわゆる安楽椅子探偵タイプの推理ものになっている。 この物語の特徴は3つ。 一つはお遍路の旅。 全て歩きの旅でお遍路さんの神社を順番に回っていくロードムービー的な楽しみ方ができる。 地元の方々のお接待という文化も知れるし、それぞれの神社の特徴も知れる。ちょっとしたお遍路の気分が味わえる。妻との絆も深まるし、よい。 一つはちょっと変わった推理もの。 上にも書いたけど、主人公は事件の現場には行かないし、捜査にも加わらない。お遍路の旅を続けながら、悩みながら、苦しみながら、部下の緒方の報告を元に気づきを与えていく。決して全てお見通しの万能感はない。意外なきっかけでわかってしまったきっかげが事件解決の要因となる。ただし、事件の真相がわかるのはだいぶ後半だし、真犯人の個性も全く描かれていない。事件解決は本作品の主題ではないことが分かる。 最後の一つは重厚な人間関係。 主人公の神場の元部下の緒方は娘と付き合っており、神野は結婚には反対している。でも優秀な元部下であり、頼れるのは緒方だけ。 昔の幼女殺害事件における冤罪の可能性を隠蔽した秘密を知る鷲尾との関係性。その秘密は知ってしまったら、緒方は警察に失望し刑事を辞めてしまうのではないか。 長年連れ添ってきた妻にさえその秘密を明かしていない。明かしたら軽蔑し、自分から離れていってしまうという不安と苦悩。 一人娘の出生の秘密も物語に厚みを加えている。実の娘ではなく、殉職した同僚が残した娘であるという真実。 数々の不安、苦悩を抱えつつ遍路の旅を続けていく。 お遍路の旅の終わりに近づくにつれ、事件の真相も明らかになり、人間関係のもきれいなところにおちつく。 親が心配しなくとも子供はしっかり育っているんだよ。というのが本作品の一番のテーマかな。 最後は優しい雨に包まれてゆっくりと終幕。 派手な作品ではないが、しみじみと心に染みる良作だった。

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2020/07/01

読み終わった後に素敵だなぁと思う面と、これから神場が立ち向かわないといけない未来の大変さの面の両方を想像させて、不思議な読了感。

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2020/06/23

ネットでも本屋でも評判がいいので買った一冊。 慈雨という題名と表紙の絵から悲しい話しなのかな?と勝手に想像していたが感動するような話しだった。 中盤あたりからだんだん面白くなり、感動する場面があったり、事件も解決する方に向かい、いい話だなと思ったが、最後がちょっと消化不良みた...

ネットでも本屋でも評判がいいので買った一冊。 慈雨という題名と表紙の絵から悲しい話しなのかな?と勝手に想像していたが感動するような話しだった。 中盤あたりからだんだん面白くなり、感動する場面があったり、事件も解決する方に向かい、いい話だなと思ったが、最後がちょっと消化不良みたいな感じだった。 最終的に過去の事件はどうなったか? 一番気になる所が、多分そうなるだろう的な終わり方で残念だった。 最後は気になるが、感動する話で間違いない小説でした。

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2020/06/13

まぁ、良書なんでしょうね。 ただ自分には、一部の悪者以外の登場人物が聖人君子ばかりのように見えて、堅苦しかった。

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2020/06/10

うーん そこまでの責任がこの刑事にあるのだろうか? ちょっと共感出来ない。他の方が書いておられたが 主人公がとにかくうじうじしすぎ 同感です。昔のDNA鑑定の精度が問題視されているけど それにしたって 1/200 で同一とみなされる事がある ってこれって充分正確なんじゃないの??...

うーん そこまでの責任がこの刑事にあるのだろうか? ちょっと共感出来ない。他の方が書いておられたが 主人公がとにかくうじうじしすぎ 同感です。昔のDNA鑑定の精度が問題視されているけど それにしたって 1/200 で同一とみなされる事がある ってこれって充分正確なんじゃないの?? 死亡推定時刻にとなりの老人が犯人をアパートで見たから アリバイがある みたいに書かれてるけど その時すでに少女は殺されて アパートの部屋にいたかも知れないじゃないの?? そんなこんなで極めて薄い冤罪の可能性を嘆いて うじうじうじうじ 最後まで納得出来なかった。

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2020/06/06

面白かった! ミステリー+重厚なヒューマンドラマという展開で好きな構成です。 ストーリとしては、 刑事を定年退職した神場は、妻とともに四国八十八か所巡礼の旅に出ます。 旅の途中で知った、地元での少女誘拐殺人事件。 その事件は16年前に自らが捜査した事件に酷似。 その時の犯人はい...

面白かった! ミステリー+重厚なヒューマンドラマという展開で好きな構成です。 ストーリとしては、 刑事を定年退職した神場は、妻とともに四国八十八か所巡礼の旅に出ます。 旅の途中で知った、地元での少女誘拐殺人事件。 その事件は16年前に自らが捜査した事件に酷似。 その時の犯人はいまだ服役中。 16年前の事件は冤罪だったのか? 当時の捜査に悔いが残る神場は、悩み苦しみます。 一方、今回発生した少女誘拐殺人事件では、後輩の刑事の緒方が担当していますが、捜査は難航。 現場付近で目撃された白の軽ワゴンの行方は? 犯人はだれなのか? 16年前の事件は冤罪だったのか? 刑事としての矜持、使命感がとても熱い そして、もう一つの物語が、四国八十八か所巡礼。 自らの半生を振り返る旅で、語られる過去と家族。妻、娘との関係。 旅の途中で出会った人々の影響を受け、頑なだった気持ちがほぐれていきます。 家族を思う気持ち、娘への気持ちがさらに熱い ミステリーとしては、正直いまいちでしたが、家族をテーマとした重厚なヒューマンドラマとして仕上がっています。 娘をもつ父親として、最後は熱いものがこみ上げてきました。 とってもお勧め!

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2020/05/28

なんの知識も持たない作家さんの本書。 出会いは古本屋さん。 表紙の緑っぽいカバーにえがかれる男性の後ろ姿に釘付けになった。 その背中はなにかを背負っているようであり、でもほんわかとした黄色い光に包まれて見える。 自然と手が伸び、カバー裏の紹介を読んでみた。 == 警察官を定...

なんの知識も持たない作家さんの本書。 出会いは古本屋さん。 表紙の緑っぽいカバーにえがかれる男性の後ろ姿に釘付けになった。 その背中はなにかを背負っているようであり、でもほんわかとした黄色い光に包まれて見える。 自然と手が伸び、カバー裏の紹介を読んでみた。 == 警察官を定年退職し、妻と共に四国遍路の旅に出た神場。旅先で知った少女誘拐事件は、16年前に自らが捜査にあたった事件に酷似していた。 手掛かりのない捜査状況に悩む後輩に協力しながら、神場の胸には過去の事件への悔恨があった。 場所を隔て、時を経て、世代をまたぎ、織り成される物語。事件の真相、そして明らかになる事実とは。 安易なジャンル分けを許さない、芳醇たる味わいのミステリー。 == これによると“警察モノ”であることには違いないのだろうけれど、気になったのが、最後の一文、「安易なジャンル分けを許さない、芳醇たる味わいのミステリー」だ。 最近ショートストーリーばかり読んでいたので、この辺で骨太の長編を読んでみてもいいかなという思いもあったので、買ってみた。 これが当たりだった。 最近ではめずらしく4日で読了してしまった。 事件テーマとしては重くなりがちな「少女誘拐」なのだけれど、たんなる事件解決警察推理小説ではない。 定年退職した元刑事の主人公と、長年苦楽を共に連れ添った妻とのやりとり、年頃の娘とのやり取り、現役時代の同僚や直接指導した部下とのやりとりを通して、それぞれがそれぞれの“想い”に気づき、見つめなおし、新たな明日へと踏み出していく人間ドラマの部分が泥臭くて読ませてくれた。 本書ではいろんな気持ちが表現されているけれど、私の中で読後大きく残った気持ちは「信頼、思いやり、やさしさ、感謝」だろうか。 表紙の黄色い光はこういう気持ちに包まれた表現かなと思った。 今回はじめて読んだ作家さんだったが、これだけの骨太小説を書いたのが女性作家さんであることに驚いた。 それも夫が転勤族、ふつうに子育て中は専業主婦。 子育てが一段落して小説家養成講座に通いはじめ、それからデビューした現在51歳。 すごいなあ。 こういう人もいるんだなあ~。 ものすごく気になる作家さんに出会えた。 遅まきながら今から注目して応援させていただきます! ・ほめ言葉たどり出会えた名前 「私は今、柚月裕子です」 https://www.asahi.com/articles/ASMBX61S1MBXUPQJ00J.html

Posted byブクログ

2020/05/26

何回も泣きそうになるくらい、濃い内容。冤罪がどうなったかを読者の想像に委ねたみたいだけど、作者としても、どう着地させようか迷ってたのかも。上手い着地ができれば最高の作品になったかもなだけに残念!

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2020/05/24

3.5★ ミステリーっぽくなかったかなという感想です。 正義感、家族や同僚の人間関係にウルっとしました 人は様々な苦しみを抱えて生きているのかもしれない… いろいろと考えさせられる作品でした

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2020/05/18

そもそも久しぶりに本を読んだからちゃんと最後まで読めるか不安だったけど、細切れながらにも楽しめた。 終始じっとりとどんよりした空気感があるんだけども、最後の最後で全てが昇華された感じがあって読了感がいい。ドラマに向いてそう笑

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