検事の信義 の商品レビュー
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評価は5. 内容(BOOKデーターベース) 任官5年目の検事・佐方貞人は、認知症だった母親を殺害して逮捕された息子・昌平の裁判を担当することになった。昌平は介護疲れから犯行に及んだと自供、事件は解決するかに見えた。しかし佐方は、遺体発見から逮捕まで「空白の2時間」があることに疑問を抱く。独自に聞き取りを進めると、やがて見えてきたのは昌平の意外な素顔だった…。(「信義を守る」) どこかに歪みがある!現実の世界でそれを懸命に見つけてくれる検察官は・・・いないだろう。司法と医学だけは誠実であって欲しいけど・・・現実は真っ黒?
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結局のところ「ヤメ検」というのは、もう設定から無くなってしまったのだろうか…とちょっと寂しい気持ちもありまして。 シリーズとしては、続いて欲しいですけどね。 2019/12/19読了
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検察官・左方貞人シリーズの最新巻…僕はめったに単行本を買うことはないのですが、どうしても読みたくてぽちってしまいました。 今日の夕方から読み始めて、眠る前に読み切ってしまいました。なんて面白いんだろう!なんて鋭いんだろう!そして、どうしてこんなに心の中の隅々にまで気持ちを向けることができるんだろう!! ひたすら感激です。 ちょっとだけネタバレしちゃうと、この単行本の中に含まれている『正義を質す』は『孤狼の血』の内容にリンクしているところがあって、ああ、あの物語もすごかったなぁ、とじんわりと思い出して浸ってしまいました。「孤狼の血」の続編に当たるという「狂犬の眼」もまだ文庫化されていませんが、これも読みたくて、「検事の信義」と一緒にぽちっています。 ここ暫くは、ひたすらひたすら柚月裕子ワールドを漂うことになりそうです。
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4話の短編集。 検察の佐方が自分の信念に基づいて、事件の真相を暴き正しい裁きを与える。 裁きを望む 資産家の非摘出子が遺言の入れ替えを行う。 恨みを刻む 麻薬取締法違反で逮捕された男。その逮捕の裏には警察の権力争いが。 正義を正す 同期と酒を飲みながら、ある容疑者の保釈を要求された。暴力団の抗争を事前に防ぐために。はてして? 信義を守る 認知症を患った母を殺めてしまった被告。 書類から見えてこなかった被告の真意は。
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佐方貞人の検事の生き方は、興味がある。 「罪はまっとうに裁かれなければならない」 という姿勢を貫く。空気を読むということはない。 裁きを望む 郷古勝一郎宅に、腕時計を盗んだのが、実子の芳賀渉だった。 芳賀渉は、認知されていなかった。 しかし、腕時計を盗んだわけではなかった。 つ...
佐方貞人の検事の生き方は、興味がある。 「罪はまっとうに裁かれなければならない」 という姿勢を貫く。空気を読むということはない。 裁きを望む 郷古勝一郎宅に、腕時計を盗んだのが、実子の芳賀渉だった。 芳賀渉は、認知されていなかった。 しかし、腕時計を盗んだわけではなかった。 つまり、認知させるために動いたのだった。 そのことを、佐方貞人は見抜いたのだった。 佐方貞人検事が、無罪論告をする。 前例があるとは言えないことを平気で行う検事だった。 恨みを刻む 室田は、覚醒剤で逮捕された。 それは、武宮美貴からの密告から始まった。 しかし、その目撃した時間が、おかしいと佐方貞人は思った。 なぜ 武宮美貴は、密告したのか? 正義を質す 佐方貞人は、郷里に帰省する。 同期の木浦から、厳島神社に近い旅館に泊まることを求められる。 なぜなのか?そこから、疑問に思うが、 仁正会の溝口を担当していた。 暴力団の抗争事件の鍵を握るキーマンだった。 しかるべく、処理をするのだった。 信義を守る 母親が認知症であった。その息子が、母親を殺した。 なぜ、その息子が、母親を殺したのか? 佐方貞人は、息子の介護疲れの結果だけではないと思った。 些細なことから、疑問を持ち、糸口を見つけ、 その心の中にある 真実を暴き出していく。 そして、 「罪はまっとうに裁かれなければならない」 ブレない 男を 全うするのだ。 気持ちがいい検事として、読み応えがある。
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シリーズも重ねているが、なかなか検事を辞めそうで辞めませんね。相変わらず「罪をまっとうに裁かせる」ことに猪突猛進な佐方検事が描かれている。いくら検事がまっとうに裁かせようとしても、裁くのは裁判所なわけで、そこは描かれていない。それにしても、警察や検察の腐敗ぶりが頭を抱えたくなるほ...
シリーズも重ねているが、なかなか検事を辞めそうで辞めませんね。相変わらず「罪をまっとうに裁かせる」ことに猪突猛進な佐方検事が描かれている。いくら検事がまっとうに裁かせようとしても、裁くのは裁判所なわけで、そこは描かれていない。それにしても、警察や検察の腐敗ぶりが頭を抱えたくなるほどにひどい。現実の問題として理解は出来るが、法を守るものが理想を忘れる怖さが際立っている。佐方検事が早く弁護士として活躍する姿ももっと見たい。
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検事・佐方貞人シリーズの最新、短編連作。 事件が発生し、犯人を逮捕、起訴、公判が始まる。事件の犯人がわかればそれで「解決」ではない。普通のサスペンス小説では犯人がわかればそれでジ・エンドだが、この小説はその事件に隠された真実や理由を追求していく。 起訴、公判を維持していくのは検察...
検事・佐方貞人シリーズの最新、短編連作。 事件が発生し、犯人を逮捕、起訴、公判が始まる。事件の犯人がわかればそれで「解決」ではない。普通のサスペンス小説では犯人がわかればそれでジ・エンドだが、この小説はその事件に隠された真実や理由を追求していく。 起訴、公判を維持していくのは検察である。検察という組織がどのようなものか。(実際は異なるのかもしれないが)正義を貫く組織ではあるが、そこに従事するのは人間である。自身の保身や組織内の人間関係なども絡んでくる。これは被告人や関係者、また被害者などにも少なからず影響を与える。 「正義とは何か」と問われると一般的には検察は「秋霜烈日」であると答える。だが、佐方貞人にとって正義とは「罪を、まっとうに裁かせることだ」と答える。 この小説は「彼の正義」を貫く仕事に対する姿勢と行動を描いている。自身の保身は顧みず、時には自分の将来や立場をも顧みず被告人を「まっとうに裁く」ことを貫く強い姿勢が描かれている。いつもながら佐方貞人の爽やかで、ある意味「お硬い」人間的魅力を感じる作品だ。
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柚月裕子さんの検事の佐方のシリーズは全部拝読しています。 柚月裕子さんの作品では、この検事の佐方のシリーズが一番好きなのですが、今回も佐方の姿勢には全くブレはないと思うのですが、前作があまりにも佳作だったためか、確かな筆致でもあるのですが、今回は事件のストーリーティングにパワーがないように感じられました。 みなさん、絶賛されているレビューが多いみたいですが、なんというか、一昔前の刑事もの(検事ですが)みたいな印象を、私はぬぐい切れませんでした。 言っておきますが、私は柚月裕子さんのことは、デビュー作の『臨床真理』から心より応援しているファンなので、これは誹謗中傷では全くなく、愛読者としての(未読作もありますが)素直な感想です。 次回作での佐方の活躍を期待しています。 今回は柚月裕子さんのお得意のやくざ絡みの話や警察の内部事情に関する話が多いと思ったら、他の方のレビューによるとそちら系の柚月さんの作品にリンクしているそうですが、未読なので、心に残ったのはそちら系ではない方のお話。 以下ネタバレなのでこれから読まれる方は気を付けてください。 「裁きを望む」 たった一人の戸籍をみつけたときの芳賀の気持ちはよくわかりました。犯行の動機は頷けるものでした。 「信義を守る」 これは最初依頼殺人かと思いましたが、認知症では依頼能力がないし…と思いましたが、野崎高一郎神父の登場で、話はわかりました。
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佐方さんのシリーズですがまさか「孤狼の血」メンバーとリンクするとは驚いてしまった。確かに色々な事件が起これば繋がらないとは言えないよなぁと納得。佐方さんの検事時代の短編集だが相変わらず最後の最後の最後まできっちりと真実を探す佐方さんが頼もしい。自分が罪を犯したら(犯しませんが)佐...
佐方さんのシリーズですがまさか「孤狼の血」メンバーとリンクするとは驚いてしまった。確かに色々な事件が起これば繋がらないとは言えないよなぁと納得。佐方さんの検事時代の短編集だが相変わらず最後の最後の最後まできっちりと真実を探す佐方さんが頼もしい。自分が罪を犯したら(犯しませんが)佐方さんにお世話になりたいなと単純だが思ってしまう。純粋にただ真実を求めることがその後の未来に希望が見いだせるのかもしれないと佐方さんを見ていると思えるなぁ。
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「裁きを望む」 非嫡出子が犯した窃盗という犯罪の裏にある真実は… 「恨みを刻む」 佐方が明らかにした犯罪は実は… 「正義を質す」 広島の宮島の高級旅館で久々に会った同期が持ち込んできた話は… 「信義を守る」 母を手にかけた息子の真実 久々の佐方シリーズ。 米崎地検の公判部、筒井...
「裁きを望む」 非嫡出子が犯した窃盗という犯罪の裏にある真実は… 「恨みを刻む」 佐方が明らかにした犯罪は実は… 「正義を質す」 広島の宮島の高級旅館で久々に会った同期が持ち込んできた話は… 「信義を守る」 母を手にかけた息子の真実 久々の佐方シリーズ。 米崎地検の公判部、筒井の下で事件の真実を探す時代の話です。どれも一筋縄ではいかなかった少々苦い結末だったりしましたが、やっぱりおもしろいです、佐方検事は芯が通っていて魅力的です。
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