手のひらの京 の商品レビュー
前原は論外として、三女の凛ちゃんがあんまり好きじゃなかった…。ある意味で一番自分に近いから? 細雪や古都はわからないけど、海街diaryみたいだなぁと思いながら読んだ。
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2019/5/25 綿谷りささんの京都に暮らす三姉妹のお話。京都の小説ってとっても好きで、小説に出てくる京都の地名を情景を思い浮かべながら読んで楽しめるので好きです。内容は三姉妹それぞれの恋模様だったり生活模様だったりでいろいろですが、京都の情景と心理描写の変化が何だかうまく重ね...
2019/5/25 綿谷りささんの京都に暮らす三姉妹のお話。京都の小説ってとっても好きで、小説に出てくる京都の地名を情景を思い浮かべながら読んで楽しめるので好きです。内容は三姉妹それぞれの恋模様だったり生活模様だったりでいろいろですが、京都の情景と心理描写の変化が何だかうまく重ねられてるような気がしました。京都を舞台にした小説は他にもたくさん好きなのがありますが、この作品はこの作品ならではの雰囲気を出していると思います。 京都の人の感覚とか生活感は自分にはどうしてもわからないので、こういう小説を読むとそうなんだーと思ったり、今度また京都行った時に確かめてみようと思ったりできて旅行の時の楽しみも増えるのでありがたいです。 京都でデートとかロマンがあっていいなと思いました笑
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京都に生まれ京都に育ち、京都から離れられない三姉妹の話。 長女の結婚に追われる感じ、次女の「モテる女」ゆえの苦労、三女の京都から出たい欲。 それぞれの日常がうまく組み合わさった作品だった。 特に三女の「生まれた土地を離れたい」という感覚はとても共感できた。 私も、このまま生まれた土地を離れず(外の世界を感じることなく)死ぬのだろうか…と考えたのち大学進学を理由に外へ出たことを思い出した。 誰しもが持つ生まれた土地の引力を思い出す作品。
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京都の旅から帰って2日目に読み終えた。京都国際漫画ミュージアムから八坂神社近くまで、はじめてのデートでほとんど会話もせずに歩いた長女綾香のコチコチの姿は、その距離の大変さを実際体験しているだけに、「おいおい、そんなに緊張してしまったらダメでしょ」と思ってしまう。そのあと、毎夜のよ...
京都の旅から帰って2日目に読み終えた。京都国際漫画ミュージアムから八坂神社近くまで、はじめてのデートでほとんど会話もせずに歩いた長女綾香のコチコチの姿は、その距離の大変さを実際体験しているだけに、「おいおい、そんなに緊張してしまったらダメでしょ」と思ってしまう。そのあと、毎夜のように電話する宮尾さんのマメさが功を奏して上手いこと行くのではあるが。 旅のあとのせいか、さりげなく置かれている京都の景色や温度、人の接し方、美しさの一つ一つに共感する。三女の凛が魔物に追われる夢を見るのも、共感する。たった3日間居ただけだけど、京都の街には、至る所に将門や道真の怨念があったり、室町時代から続く流した赤ん坊のお地蔵さんが居たり、異次元に続く迷路のような路地裏が存在したりしたのである。綿矢りさは初めて読んだ。これが芥川賞作家なのかと思うくらい、直木賞好みの文章だった。映画にもなった『海街diary』と似ている所もあり、読んではないが『細雪』や『古都』のように失われ行く京都を描いた作品でもあるらしい。現代の等身大の京都を描いて、もし旅の前にこの本を読んでいたならば、この本の「舞台巡り」を計画していたかもしれないぐらい、琴線にふれた本だった。
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洛中には魔が棲んでいる…。 大阪で生まれ育った私ですが、40代の数年間、 自分の仕事における関わりで、漠然とそう感じる 経験をたくさん積んできました。 だからその魔こそ「地縛」の力だと、洛中で 生まれ育った方の口から聞かされて、驚きもし、 腑にも落ちました。 今もなお陰陽道による結界に守られている京に ある人々は嫌悪感を持ち、ある人々は愛してやまない。 おそらく日本の人々は誰もが、そのどちらかに分類 されるのではないでしょうか。 その好悪の感情は両極かもしれませんが、どちらも 京の持つ「地縛」の力への畏敬を根底に含んでは いないでしょうか。 誰もが、この国の現在に時空を超えて繋がる平安京を、 常に無意識の意識下に感じずにはいられないのでは。。 私はいつの間にか京に魅入られました。 だからわかるような気がします。 その想いの洛中の方々との温度差は 埋めようもないとは思いますが。 嫌いなのではない。好きでたまらない。 でも一度は離れなくてはいけないような気がする。 外から見なくてはいけないのだと思う。 凛のあり方にとても共鳴できるのです。 抑えた筆致ながら、京がその懐に抱く時空の重みを 確かに感じる物語でした。 ただ…衣笠山を臨む大学といえば立命館。 理系学部は研究科も含めてすべて びわこくさつキャンパスにあり、 現在の衣笠キャンパスにはありません。 その点だけ少し違和感を感じました。
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恋と家族に向き合う三姉妹の話を楽しく読みました。京都の内側、外側、それぞれから読者が見ることを意識されて書いてるのかな。
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何も起こらないんだけど、読み終わって内容思い出そうとすると普通の出来事ばかりなんだけど、ここに描かれた姉妹の生活はとても美しい毎日だったなぁと思う。 失恋も就職も結婚も、お祭りや今日の料理や生まれ育った環境に少しだけ思い悩んでしまう瞬間も、自分がまさに経験している時は「何かが起こ...
何も起こらないんだけど、読み終わって内容思い出そうとすると普通の出来事ばかりなんだけど、ここに描かれた姉妹の生活はとても美しい毎日だったなぁと思う。 失恋も就職も結婚も、お祭りや今日の料理や生まれ育った環境に少しだけ思い悩んでしまう瞬間も、自分がまさに経験している時は「何かが起こっている」と自覚できない。時間がたって思い出として反芻したとき初めて、あれは私の人生の中の事件のひとつだったと認定する。楽しかった、大変だった、最低だけど必要だった、と評価ができるようになる。 この本を読んだ感覚は自分の半生について思い巡らせる瞬間と似ている。目の前の出来事に評価をする暇なんてなく必死に過ごした毎日が、積み重なって人生になる。評価できるくらい時間がたって思い出す頃には、どれもすごく美しい景色になっている。
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何気ない日常の話を読みたいと思って手に取った本。性格の異なる3人姉妹がそれぞれ悩みながらも前向きによく考え人生を選び抜いていく様子が清々しい。真面目な綾香、一見遊んでいる風だが実は肝の据わった羽衣、男っ気はないが人の気持ちに気づける優しい凛子。みんな明るく見えても実は色々探って考...
何気ない日常の話を読みたいと思って手に取った本。性格の異なる3人姉妹がそれぞれ悩みながらも前向きによく考え人生を選び抜いていく様子が清々しい。真面目な綾香、一見遊んでいる風だが実は肝の据わった羽衣、男っ気はないが人の気持ちに気づける優しい凛子。みんな明るく見えても実は色々探って考えて、でも自分に正直にたくましく生きているんだな、と思えた一冊。ニュートラルでおすすめ。
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京都に特別な思い入れがあれば,この物語の前提となる情緒的土壌をすんなり受け入れるのだが,狂おしいほどの京都という土地の重力は土着していなければ中々その本質を理解できない.その視点で読むと,京都である必然性があるのは三姉妹の内三女だけなのだ.本書は読者の背景を選ぶ(京都である必要性...
京都に特別な思い入れがあれば,この物語の前提となる情緒的土壌をすんなり受け入れるのだが,狂おしいほどの京都という土地の重力は土着していなければ中々その本質を理解できない.その視点で読むと,京都である必然性があるのは三姉妹の内三女だけなのだ.本書は読者の背景を選ぶ(京都である必要性はなく,強く引力のある故郷を持っているか否か).
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「解説」を読まずに本文を読んでいて、「これは、『細雪』か『古都』の綿矢によるリライトだな・・」と思っていたら、解説の佐久間氏がばっちり両書を挙げていた。まあ誰が読んでもそう思うということでもあろう。 ただ、谷崎や川端と違って、綿矢は生粋の京都生まれであるし、中の人、としての京都マ...
「解説」を読まずに本文を読んでいて、「これは、『細雪』か『古都』の綿矢によるリライトだな・・」と思っていたら、解説の佐久間氏がばっちり両書を挙げていた。まあ誰が読んでもそう思うということでもあろう。 ただ、谷崎や川端と違って、綿矢は生粋の京都生まれであるし、中の人、としての京都マインドを描いている・・と思うのだが、どうも作中の京言葉に微かな違和感を感じる。綿矢の東京ぐらしが長くなっているせいか、外の人に本作が受けるように、編集者の示唆が入ったのか、それとも通常の京の話し言葉のままでは、小説にはなじまないためなのか・・・。
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