手のひらの京 の商品レビュー
長い歴史の京都の描き方。 嫌味っぽく描かれることの多い 京都 を まっすぐに綺麗に描かれていると思いました。 最後の終わり方も、私は 凛の切ない心情がよく分かって好きです。 三姉妹の心の変化や成長を 本を通して読むことができて楽しかったです。
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どんな土地にもそれぞれの「お国柄」があるだろうけど、京都のそれは印象が強いなぁ、なんて思う。 生粋の京都人・奥沢一家は各々に「らしい」部分を持っている。三女・凜の、好きだけど一度出なければいけないとか、囲まれている気がするとかもそのひとつなのかな。そしてみんな地元を愛し誇らしく思...
どんな土地にもそれぞれの「お国柄」があるだろうけど、京都のそれは印象が強いなぁ、なんて思う。 生粋の京都人・奥沢一家は各々に「らしい」部分を持っている。三女・凜の、好きだけど一度出なければいけないとか、囲まれている気がするとかもそのひとつなのかな。そしてみんな地元を愛し誇らしく思っている。観光地化した街を住民ならではの目線、動線を利用して楽しんでいる。近年は観光公害が問題になっているが、したたかにやっていく力もまた、京都人にはあるんだろうな。 娘たち三者三様の人生をかいま見ながらも、私が感じていたのは物語を通して表現されている「京都」だった。住んでいない者にはなかなか見ることのかなわない側面でも、こうして人生模様とからめて読めるのは面白い。 綿矢さんの作品を読んだのは「蹴りたい背中」以来かも。やわらかく読みやすく、抑え気味の情感もいい雰囲気だった。 「心にある形の何かに似ている。痛み、憧憬、羨望。――凝縮した赤がきゅっと小さくて、目に染みる。」
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著者の出身地である京都が舞台 性格が異なる三姉妹とその父母との日常が京都の四季に合わせて進む 三姉妹それぞれに悩みを抱え、その心情を表した描写、人との対話、心理合戦がそれぞれに面白く、楽しく読める。 それに味をつける京都の四季、土地柄独特の描写の組み合わせ。 急展開はないけど、...
著者の出身地である京都が舞台 性格が異なる三姉妹とその父母との日常が京都の四季に合わせて進む 三姉妹それぞれに悩みを抱え、その心情を表した描写、人との対話、心理合戦がそれぞれに面白く、楽しく読める。 それに味をつける京都の四季、土地柄独特の描写の組み合わせ。 急展開はないけど、優しい気持ちで読めました。
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綿矢版『細雪』(読んではないが)ということで興味をもって、綿矢りさ初読。 代々京都に暮らす一家の三姉妹、彼女たちがそれぞれの年相応に揺れる心を、京都の情景や祭礼を背景に、美しい筆致で描き出した物語。 京都に生まれ育った著者にしか書けない作品だろうし、さすが、芥川賞受賞作家だと改め...
綿矢版『細雪』(読んではないが)ということで興味をもって、綿矢りさ初読。 代々京都に暮らす一家の三姉妹、彼女たちがそれぞれの年相応に揺れる心を、京都の情景や祭礼を背景に、美しい筆致で描き出した物語。 京都に生まれ育った著者にしか書けない作品だろうし、さすが、芥川賞受賞作家だと改めて思う。 題名の『手のひら』とはどういうことかと思っていたら、東京への就職を両親に反対され、家を飛び出し橋の真ん中でたたずんでいる時の、三女の気持ちとして綴られていた。 「なんて小さな都だろう。まるで川に浮いていたのを手のひらでそっと掬いあげたかのような、低い山々に囲まれた私の京(みやこ)。
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京都を舞台に繰り広げられる三姉妹の人間模様。 京都に住む人からしたらわかる~てなるシーンもあれば、そこまでかなあ?と思うようなシーンもあった。 でも綿矢りさはそういった京都を経験してきてるんだろうな。 解説にもあったように京都に生まれ、京都を離れたからこそ書けた小説だったように思...
京都を舞台に繰り広げられる三姉妹の人間模様。 京都に住む人からしたらわかる~てなるシーンもあれば、そこまでかなあ?と思うようなシーンもあった。 でも綿矢りさはそういった京都を経験してきてるんだろうな。 解説にもあったように京都に生まれ、京都を離れたからこそ書けた小説だったように思う。 独特の綿矢りさ節は少し身を潜めたあっさりとした文章のはずなのに、京都の薄暗い部分がときどき垣間見えて不気味な感じがただよう。 綿矢りさの作る世界ってなんでこうも引きつけられるんだ! 文章の書き方が大好きな作家の一人です。 情景と心情の描写は本当にうまい。本当に。大好きです。
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京都の様々な情景とともに描かれる三姉妹の様々な戦い。 分かりやすく敵がいる子もいれば、自分の中の焦燥や閉塞感と戦う子もいる。 形のない時間や習わしと戦う子も。 自分だけが知る闘志もある。 いつも何かを相手取って拳を固めるのは自分を守る為だったりする。 良し悪しは置いといて、ほと...
京都の様々な情景とともに描かれる三姉妹の様々な戦い。 分かりやすく敵がいる子もいれば、自分の中の焦燥や閉塞感と戦う子もいる。 形のない時間や習わしと戦う子も。 自分だけが知る闘志もある。 いつも何かを相手取って拳を固めるのは自分を守る為だったりする。 良し悪しは置いといて、ほとんどの戦いは自分を守るためだったりするなーと改めて思った。 嬉々として戦う人もいるだろうし、自分を守る為に誰かを傷つける必要がある人もいるし様々やが。 物騒な感想になったけど作品自体は繊細で美しくてちょっとユーモラスな可愛い品。 あとタイトルが、京都を慈しむ感じが出てて良い。
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綿矢りさの本は、たぶん初めて読む。 凜のことをもう少し、記して欲しかったな。なんとなく、姉二人に対して、少し足らなかったような気がするのだ。 それとも、もう一度読み返したら、印象は変わるのだろうか?
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京都が舞台の本を京都で読む ちょうど祇園祭で、京都のひとにとっての祇園祭の位置付けを理解する助けになった 三姉妹、かわいらしい。きっとわたしも三女のように、京都を出たくなると思う。
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どこで呼んだかと言えば、熱海の往復です。 それはさておき、綿矢りささんと言えば芥川賞『蹴りたい背中』なわけですが、まだ読んでないわけですが、この一冊はその、試金石のような位置付けになりました。 まず、綿矢りささんは、京都の生まれ(大学は早稲田)だそうで、淡々としたトーンの描写...
どこで呼んだかと言えば、熱海の往復です。 それはさておき、綿矢りささんと言えば芥川賞『蹴りたい背中』なわけですが、まだ読んでないわけですが、この一冊はその、試金石のような位置付けになりました。 まず、綿矢りささんは、京都の生まれ(大学は早稲田)だそうで、淡々としたトーンの描写の中にも、京都の文化を鋭く表現されています。 あー、いやいやこんなおとなしいレビューを書きたい訳じゃない。なんだろう、たぶん、作者自身の投影は、三女の凛なのではないかなーと。そんな気がします。京都の重さに苦しみ、京都を離れ、でも、一番京都のことを思っているような。そんな自伝的小説、と読みました。 龍村の着物が登場するのも、自分とは縁を感じます。 ああ、一週間くらい、なにも考えずに京都に滞在したいなあ。その時はまず、北野白梅町で天一を食べよう、そんなことを考えながら読みました。
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特に何かが起こるというわけではなく、京都に住む三姉妹(5人家族)の何気ない日常が、美しい京都の情景、文章で書かれている。
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