とめどなく囁く の商品レビュー
読み応えのある作品だった。最後に謎も解けてスッキリした。早樹は、自分の考えを整理して伝えるとこのできる頭の良い人だと思った。 早樹の母の弁『あなたはそういうけど、なんでも少しは苦労した方がいいと思わない?だって、楽な人生なんてないもの。少しの苦労は、その先の大きな苦労のシミュレー...
読み応えのある作品だった。最後に謎も解けてスッキリした。早樹は、自分の考えを整理して伝えるとこのできる頭の良い人だと思った。 早樹の母の弁『あなたはそういうけど、なんでも少しは苦労した方がいいと思わない?だって、楽な人生なんてないもの。少しの苦労は、その先の大きな苦労のシミュレーションだよ。』
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早樹の夫は釣りに行ったまま帰ってこなかった。自殺なのか、それともどこかで生きているのか。7年たっても手がかりはなかった。早樹は記者の仕事で自分の父と同じくらいの年齢の資産家と出会い、ついには結婚することとなる。男は妻を亡くしており、再婚同士であった。ある日、義母より息子らしき人を...
早樹の夫は釣りに行ったまま帰ってこなかった。自殺なのか、それともどこかで生きているのか。7年たっても手がかりはなかった。早樹は記者の仕事で自分の父と同じくらいの年齢の資産家と出会い、ついには結婚することとなる。男は妻を亡くしており、再婚同士であった。ある日、義母より息子らしき人を見かけた、無言の電話があったと連絡が入る。早樹の実の父も元夫らしき人を見たという話もあり、早樹は消息不明の元夫の交友関係を調べてゆく。 ああ、また駄目男が出てくるのね、です。そんな男、男たちに振り回わされた早樹の心の苦しみの物語。前夫への思いだけでなく、庭のオブジェやら、義母の振る舞いやら、夢の結婚ではなく、ストレス溜まっちゃうよね、そんな心理描写を見事に書き上げています。真矢(再婚相手の連れ子、でも早樹と同じ年)とうまくいけそうなところだけが早希にとっても読者である私にとっても明るい救いであったか。蛇はいなくなったかね。
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夫が海で失踪をし、その8年後、年上の富豪と結婚をした早樹。そんな早樹のもとに義母から前夫を見かけたという電話が入った。前夫は生きているのか?なぜ失踪したのか? 1ページ2段でかなり厚めの長編小説だが最初から最後までモヤモヤしたものが残ったままだった。早樹の気持ちが流動的というか感...
夫が海で失踪をし、その8年後、年上の富豪と結婚をした早樹。そんな早樹のもとに義母から前夫を見かけたという電話が入った。前夫は生きているのか?なぜ失踪したのか? 1ページ2段でかなり厚めの長編小説だが最初から最後までモヤモヤしたものが残ったままだった。早樹の気持ちが流動的というか感情的というか何だかつかみづらい。物語は前夫の失踪後、再婚したところから始まるが、早樹の前夫への愛情も失踪の悲しみも、なぜ今の夫と結婚しようと思ったのかもその夫への愛情も何だか全て自分にははっきりと伝わってこなかった。唯一、早樹の感情が伝わったのは最後の激白的なものなのだが、感情が激しくて、え、そんなこと言うんだと今までの流れをブツリと切ってしまった感じがしてしまった。失踪の謎は最後に解けるがそのラストにもモヤモヤしたものを残して終わった気がした。
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桐野さんの描く女の人は、嫉妬やマウンティングを隠そうともせず、ハッキリ言う強い女のイメージ、現実に周りにはそうそういない、と思ってた。けど、今回、静かな雰囲気の話だからか 早樹の心が丁寧に丁寧に描かれていて、あ、自分の中の言葉にならないモヤモヤとした気持ちは、言葉にするとこうなん...
桐野さんの描く女の人は、嫉妬やマウンティングを隠そうともせず、ハッキリ言う強い女のイメージ、現実に周りにはそうそういない、と思ってた。けど、今回、静かな雰囲気の話だからか 早樹の心が丁寧に丁寧に描かれていて、あ、自分の中の言葉にならないモヤモヤとした気持ちは、言葉にするとこうなんだな、って初めて思った。 あと、お友達、口固すぎ。女友達ならこうはいかない気がする。
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+++ 塩崎早樹は、相模湾を望む超高級分譲地「母衣山庭園住宅」の瀟洒な邸宅で、歳の離れた資産家の夫と暮らす。前妻を突然の病気で、前夫を海難事故で、互いに配偶者を亡くした者同士の再婚生活には、悔恨と愛情が入り混じる。そんなある日、早樹の携帯が鳴った。もう縁遠くなったはずの、前夫の母...
+++ 塩崎早樹は、相模湾を望む超高級分譲地「母衣山庭園住宅」の瀟洒な邸宅で、歳の離れた資産家の夫と暮らす。前妻を突然の病気で、前夫を海難事故で、互いに配偶者を亡くした者同士の再婚生活には、悔恨と愛情が入り混じる。そんなある日、早樹の携帯が鳴った。もう縁遠くなったはずの、前夫の母親からだった。 +++ さまざまなことに、はっきり決着がつかないまま、宙ぶらりんの精神状態で日々を送るもどかしさ、自分を攻める気持ちや、相手を恨む気持ちのせめぎあい、何もかも忘れて新しくやり直したいという思いと、それを薄情と責める自分。いろんな思いがないまぜになって複雑な心境で毎日暮らしている早樹の心を惑わせる出来事が起こり、物語の先へ先へとどんどん興味を掻き立てられる。早く知りたい欲求で、ページを繰る手が止まらなくなる。何が真実なのか、誰が本当のことを言っているのか。実際にあってみると印象が変わる人もいて、何を信じていいのかもわからなくなる。途中で、あれ?と引っかかっていたひとことが、ここにつながっていたのか、と納得もさせられるラストの種明かしだったが、関係者たちにとって、あまりにも犠牲にしたものの大きな行動だったと思う。面白かったが、苦い思いも残る一冊である。
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結局のところなんとも情けない男の話で、その周りの者は大きく人生を翻弄され、妻だった早樹は最大の被害者だったわけだ。しかしながらその経験が再婚の夫克典との関係が最悪だった娘真矢との邂逅に役に立ったようだ。ところで死亡認定されてしまっている前夫庸介は本当に死ぬつもりだろうか、こんな卑...
結局のところなんとも情けない男の話で、その周りの者は大きく人生を翻弄され、妻だった早樹は最大の被害者だったわけだ。しかしながらその経験が再婚の夫克典との関係が最悪だった娘真矢との邂逅に役に立ったようだ。ところで死亡認定されてしまっている前夫庸介は本当に死ぬつもりだろうか、こんな卑怯な男だから自分の始末もつけられず、最後はどこかで野垂れ死ぬ運命にあるような気がする。しかしこのストーリーテーリングの巧みさは素晴らしいなあ、いままで特に選んで読んでこなかった作家だけに過去作も読んでみたくなった。
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一番近くにいるのに誰よりも遠い。 海釣りに出たまま二度と帰らなかった夫。 8年後その姿が目撃される。そして無言電話。 庸介は生きているのか。 塩崎早樹は相模湾を望む超高級分譲地「母衣山庭園住宅」の瀟洒な邸宅で歳の離れた資産家の夫と暮らす。前妻を突然の病気で亡くした克典、 前...
一番近くにいるのに誰よりも遠い。 海釣りに出たまま二度と帰らなかった夫。 8年後その姿が目撃される。そして無言電話。 庸介は生きているのか。 塩崎早樹は相模湾を望む超高級分譲地「母衣山庭園住宅」の瀟洒な邸宅で歳の離れた資産家の夫と暮らす。前妻を突然の病気で亡くした克典、 前夫を海難事故で亡くした早樹。互いに配偶者を亡くした者同士の再婚生活には悔恨と愛情が入り混じる。そんなある日早樹の携帯が鳴った。もう縁遠くなったはずの前夫の母親からだった。自分がやったことはブーメランのように自分に返ってくる。 待ちかねた本書を手にしページをパラパラとくると二段組構成で450ページ! 最近は目に配慮して小さな活字を極力避けて来たので思わずひるんでしまう。うらめしく思いながら読み始めたが、いつのまにか小さな字は気にならなくなっていた。 克典が瀟洒な邸宅の庭園に据え置いた巨大な彫刻のオブジェは、先日読んだ「肖像彫刻家」を彷彿とさせた。彫刻には魂が宿るー、大きな耳の形をした彫刻から海難事故で亡くなった庸介の声が聴こえてくるのだろうか? 庸介に似た影が出没するたびに、果たして彼は生きているのかどうかが気になって続きを読み急ぐ。 本作に登場する早樹と同い年の女性が3人。克典の前妻との末娘・真矢、嫁の優子、早樹の学生時代からの親友で気難しい美波。人生半ばの40代女性が互いの主張をぶつけあい喧嘩しながらも立場を超えてわかりあえる瞬間がある。女同士でないと理解できない心情に同調する。単純に敵同士でいがみあう関係にならないはずと安心して読める作家さん。 読み終えて、今度は、早樹が邸宅を真矢に譲りマンションで暮らすにしてもずっと克典と暮らすのだろうかと気になった。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
さすが。 ラストは、それまでの濃密さからいくと急に駆け足になったような薄さで拍子抜けしたが、いや、この終わり方こそ桐野夏生らしいダメ男叩きなのかも。 読んでいる間ずっと楽しかったので、お嬢様との関係も最後までぎっちりかいてほしかったかな。 いえ、二段組445ページで読み応え充分でしたが、もっと長くてもよかった。
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塩崎早樹は、41歳。夫庸介が海で行方不明になり8年経過して、72歳の大金持ち塩崎と再婚した。しかし、義母が庸介の姿らしいものを見かけたと言う。生きているのかそれとも思い違いか。元夫の釣り仲間から話を聞くと自分の知らない事が沢山あることに気づく。そして、塩崎の娘が塩崎と早樹を中傷す...
塩崎早樹は、41歳。夫庸介が海で行方不明になり8年経過して、72歳の大金持ち塩崎と再婚した。しかし、義母が庸介の姿らしいものを見かけたと言う。生きているのかそれとも思い違いか。元夫の釣り仲間から話を聞くと自分の知らない事が沢山あることに気づく。そして、塩崎の娘が塩崎と早樹を中傷するブログを書いていることが分かった・・・ 何不自由のない生活だったはずなのに、あちこちに生じる亀裂。もがく彼女の心理をなかなか興味深く読んだ。長いけれど、彼女の内面をこれでもかと掘り下げる展開はなかなか好み。 元夫の失踪事件の顛末は、必ずしも自分好みではなかったけれど、アリだとは思う。ラスト原理主義者にとってはどうか分からないけれど、プロセス原理主義者の私には全体的にOKだった。
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全体を通して、 暗く重たく沈んで行く澱の様な読感。 釣り船で一人海に出たまま消息を絶った夫・庸介。 その生死も不明のまま7年もの間待ち続けた早樹だったが、やがて庸介の死亡が認定され、復帰した仕事で知り合った、自分の父親よりも年長の塩崎と結婚する事に。 塩崎の束縛にストレスを感...
全体を通して、 暗く重たく沈んで行く澱の様な読感。 釣り船で一人海に出たまま消息を絶った夫・庸介。 その生死も不明のまま7年もの間待ち続けた早樹だったが、やがて庸介の死亡が認定され、復帰した仕事で知り合った、自分の父親よりも年長の塩崎と結婚する事に。 塩崎の束縛にストレスを感じながらも、ゆったりした生活に満足を感じる早樹だったが、ある日亡き夫・庸介の母親・からの電話で庸介が生きているのではという疑惑が生まれると、徐々にその波紋は広がり心を占めて行く。 過去を探る中で次々に浮かび上がる庸介の「別の顔」。自分の見ていた景色はいったい何だったのか・・ ◯塩崎(加野)早樹・・主人公。夫・庸介の突然の失踪後、ウェブサイトの取材で知り合った克典と再婚し穏やかな日々を送るが・・。 ◯塩崎克典・・ゲームソフト会社ユニソアドの社長だったが、妻を脳梗塞(・・?)で亡くし、早樹と再婚後に会長に。娘が二人いる。 ◯加野庸介・・早樹の元夫で大学の准教授をしていたが、ある日釣り船から忽然と姿を消す。7年後に死亡認定されるが・・ ◯塩崎真矢・・塩崎の末娘。克典を憎みSNSでネガティヴな記事を書く。 不倫の果てに自殺を図る。 ◯加野菊美・・庸介の母親。庸介の失踪後も何かと関わりを持つ。早樹の再婚に嫌悪感。庸介を見たと早樹に告げる。 ◯佐藤幹太・・失踪当時の庸介の釣り仲間。釣り雑誌のライターをしており、皆から師匠と呼ばれていた。 再会してみるとアル中の激太りに・・。キーパーソン。 ◯木村美波・・早樹の大学時代からの親友。庸介達とも親しかったが、早樹の知らない顔が。 ◯塩崎智典・優子・・塩崎の長男夫婦。優子は、早樹と同い年。
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