とめどなく囁く の商品レビュー
8年前に海釣りに行ったまま行方不明になった早樹の夫。そのまま見つからないまま7年が経ち死亡認定された後、資産家の年の離れた夫と再婚する。そこに元夫の目撃証言や、無言電話があり…。 元夫は生きているのか?再婚した早樹をよく思っていない元義母がとっても嫌な人だし、再婚相手の子供達との...
8年前に海釣りに行ったまま行方不明になった早樹の夫。そのまま見つからないまま7年が経ち死亡認定された後、資産家の年の離れた夫と再婚する。そこに元夫の目撃証言や、無言電話があり…。 元夫は生きているのか?再婚した早樹をよく思っていない元義母がとっても嫌な人だし、再婚相手の子供達との確執やら長編だけど面白く最後まで読めた。元夫がろくな男じゃない。
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行方不明の夫の影が、資産家と再婚した妻の周囲に現れる。元夫の生死は?生きているとしたら姿を消した理由は? そして今なぜその姿を表そうとしているのか?主人公塩崎早樹の静かなる日常を脅かす内なる囁き…。さすがの筆力、ストーリー。
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今回、主人公があまり逸脱しないタイプのため、物語の大きな動きがなかったように思う。主人公の周りの人々も基本的に親切で、いい人ばかり。今までの桐野本の中のキャラクターに比べると富豪だからかな… それでも、主人公が周りの人の好奇心にいちいち傷ついたり、イライラするのが面白い。
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親子ほども年の離れた富豪と再婚した女性が主人公。穏やかなはずの日々に、亡くなったはずの夫の影がちらつき、同い年である義娘とのトラブルも起ここるなど、不穏な空気が漂い始める。 初老の再婚相手との金銭的な安定の裏側にある不自由さ、元夫の母親の理不尽な要求、情緒不安定な義娘など、周囲...
親子ほども年の離れた富豪と再婚した女性が主人公。穏やかなはずの日々に、亡くなったはずの夫の影がちらつき、同い年である義娘とのトラブルも起ここるなど、不穏な空気が漂い始める。 初老の再婚相手との金銭的な安定の裏側にある不自由さ、元夫の母親の理不尽な要求、情緒不安定な義娘など、周囲の我の強い人たちに振り回されるがままの主人公に、もどかしい思いを募らせながら読み進めた。同時に、桐野夏生の描く女性ならどこかに発火点があるはずと期待して。案の定、じわじわと進んだあとは溜め込んだ不満が一気に噴出し、それがまた想像以上に強烈で驚かされる。 それにしても、元夫を情け容赦なくひどいヤツに描くのも作者らしいなと感じた。 なぜかレビューを書きそびれていていたので、新鮮な気持ちのままに書けなかったのが残念。
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最初のページを開いて、あら~字が小さいし上下に書かれている。 長いお話だと思いました。 読みだしたら静かに話が流れていくのですが、 そこは桐野作品、何かある?何かある?と 読み進んでいました。 今の社会、実際にこんなことが有るかも。 自分を偽って生活していくのはきついものだと思い...
最初のページを開いて、あら~字が小さいし上下に書かれている。 長いお話だと思いました。 読みだしたら静かに話が流れていくのですが、 そこは桐野作品、何かある?何かある?と 読み進んでいました。 今の社会、実際にこんなことが有るかも。 自分を偽って生活していくのはきついものだと思います。
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主人公含め 主人公の友人 前夫の母親 現夫の家族なども なかなか辛辣な人たちで ごたごたした人間関係 かといっても 派手な追跡があるわけでもなく 淡々と しかし ノイズは常に鳴っている という重い雰囲気 海鳴りが常に耳に障るような とめどない囁きです
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図書館で借りた本。夫が海釣りに出かけ海に出たあと行方不明になり、数年後に死亡確定。早樹は年が離れた裕福な男性と再婚する。子持ちの男との再婚、しかも娘は自分と同じ歳。色々と葛藤はあるもののお金に困らない生活には満足していた。だがある日、亡くなった夫の姿を見たとか不自然な事が起き、ミ...
図書館で借りた本。夫が海釣りに出かけ海に出たあと行方不明になり、数年後に死亡確定。早樹は年が離れた裕福な男性と再婚する。子持ちの男との再婚、しかも娘は自分と同じ歳。色々と葛藤はあるもののお金に困らない生活には満足していた。だがある日、亡くなった夫の姿を見たとか不自然な事が起き、ミステリーな展開に。最後に謎があかされるのだが、胸糞悪な言い訳を聞かされる早樹は気の毒だと思いつつ、言い返した言葉は痛快だった。思ったより悪くない小説。
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結婚後の心の揺れのような小説と思って読み始めたが,どんどんミステリー色が濃くなり一気に読んでしまった.新聞連載のこと,さぞ読者はやきもきしたことだろう.年の離れた再婚,それぞれの事情がお互いに隠し事となって,それでも破綻しないのはやはり人間性もあるかもしれないが,何と言ってもお金...
結婚後の心の揺れのような小説と思って読み始めたが,どんどんミステリー色が濃くなり一気に読んでしまった.新聞連載のこと,さぞ読者はやきもきしたことだろう.年の離れた再婚,それぞれの事情がお互いに隠し事となって,それでも破綻しないのはやはり人間性もあるかもしれないが,何と言ってもお金の力かもしれない.それにしても,後妻と息子の嫁と下の娘が同級生ってあるかもしれないけれど,現実にはなかなかないだろうから,いろいろな場面での会話がとても面白かった.
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
海で失踪した夫・庸介。7年後の死亡認定。老富豪・塩崎との再婚。疲弊した日々を癒す早樹の平穏に、元夫の影が。 こう書くといかにも虚構めいた設定だけど、成功者なだけに無駄な年齢は重ねていない現夫、気の毒だけど狂信的で胡散臭い元義母・菊美、元教員で真っ当に健全な実家の両親…とバリエーション豊かな高齢者組が通奏低音。クセがあって不誠実でキツい親友・美波に、ちゃっかり嫁・優子に面倒臭い義娘・真矢、威圧感あるお手伝い・青木…と分厚い女性陣。対する及び腰だったり煮え切らなかったりの元夫の友人達がリアルな展開を支え、ゾッとしつつも先が知りたくて一気読み。 そうそう、私も40過ぎて子持ちのバツイチと結婚したんだったわ。 主人公・早樹視点の三人称で書かれているので、読み手には彼女の抱いている「庸介像」が繰り返し押し付けられて話は進んでいくのに、最後の最後、本人の手紙から伺える庸介像はもっとチャチで(彼の巻き込まれたシチュエーション自体は結構エグいが)、早樹の中のバイアスが露呈される仕掛け。上手いなって思った。 この後、現夫の塩崎にどう話すのか、塩崎がどういう反応を示すのかが気になるところなのに、敢えて読後の余韻としてバッサリ幕引き…ってのも格好いい。 ただ、早樹が知らなかった庸介の中学時代の家出や、庸介が隠れ蓑にしていた「釣り部」の実態が徐々に明らかになる過程、幹太の激変なんかの伏線はとても慎重かつ丁寧に張られているのに、失踪の真相解明が封書1つで済まされちゃうのは駆け足感が否めない。 しかしまあ、父親が囲ってた若い妾んとこに家出するのも大概だけど、結局は彼女とひっつき…ってどうよ。しかも公に結婚する勇気はなく、真っ当な早樹と「普通に」結婚したもののズルズルで、女の出産を契機に失踪…って、どれだけ逃げればいいの。無戸籍の息子を抱えた女にも同情するし、困った亭主に我慢し続けた挙句、人生の晩年までトンデモ息子に振り回される菊美が本当に気の毒。
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桐野ファンだが、ちょっと今までとは作風が違う?先の見えない暗い海底をひたり、ひたりと彷徨うような物語。夫が海で行方不明になり、死亡認定された後、30歳も年上の富豪と再婚した早樹。平穏な生活を手に入れたはずの早樹に「かつての夫が生きている」という囁きが聞こえるー。今までの作品のよう...
桐野ファンだが、ちょっと今までとは作風が違う?先の見えない暗い海底をひたり、ひたりと彷徨うような物語。夫が海で行方不明になり、死亡認定された後、30歳も年上の富豪と再婚した早樹。平穏な生活を手に入れたはずの早樹に「かつての夫が生きている」という囁きが聞こえるー。今までの作品のようなスキャンダラス・デンジャラスな雰囲気はなりを潜め、スロースターターな話だったが、静かに、心がザワザワするような展開でここ近年では一番面白かった。真相の駆け足感が惜しいが。装丁の、光の加減でピカッッと光る蛇が不気味で格好いい。
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