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あひる の商品レビュー

3.8

225件のお客様レビュー

  1. 5つ

    40

  2. 4つ

    95

  3. 3つ

    58

  4. 2つ

    6

  5. 1つ

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2024/09/16

表題作の「あひる」、他2編からなる短編集。他2編は内容が少し繋がっている作品。 「あひる」ある日、家にあひるがやってきた。名前はのりたま。近所の子ども達がのりたまを見に家にやってくるようになる。 のりたまが病気になったので、お父さんが病院に連れて行く。戻ってきたあひるは、前のあ...

表題作の「あひる」、他2編からなる短編集。他2編は内容が少し繋がっている作品。 「あひる」ある日、家にあひるがやってきた。名前はのりたま。近所の子ども達がのりたまを見に家にやってくるようになる。 のりたまが病気になったので、お父さんが病院に連れて行く。戻ってきたあひるは、前のあひるとどこかが違う…。 個人的には、純文学の中でも読みやすい作品でした。 短編で、かつ「あひる」という物語を追うのに分かりやすい生き物が出てくるからでしょうか。 よくある日常の出来事のように見えて、何かがおかしい。 戻ってきたあひるが前のあひると少し違うことだけでなく、それ以外にも「ん?」という違和感が至るところに散りばめられています。 再読すると、スッキリするどころか違和感は増えていきます(汗) 読み進めるごとに、心がざわざわするような感じ。今村夏子さん、良いです!

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2024/09/03

表題作は両親のあひるへの愛情を1ミリも感じられません。玩具が壊れたら新しい玩具に買い換えるみたいに弱ったら新しいあひると交換。それも最初の「のりたま」として飼う所が不気味。生まれて来る孫に何かあったら…。考えたら怖い怖い。語り手の彼女もちょっと謎の存在。 「おばあちゃんの家」と...

表題作は両親のあひるへの愛情を1ミリも感じられません。玩具が壊れたら新しい玩具に買い換えるみたいに弱ったら新しいあひると交換。それも最初の「のりたま」として飼う所が不気味。生まれて来る孫に何かあったら…。考えたら怖い怖い。語り手の彼女もちょっと謎の存在。 「おばあちゃんの家」と「森の兄妹」は繋がっていると思うのだけど、インキョのおばあちゃんがどんどん元気になっていったのはモリオのおかげなのか?窓が1つしかない小屋のような家というのも怖さを感じてしまいました。 文字も大きくて淡々と読みやすい文章。ページ数も少ないけれど、ちょっとゾクッと来る物があります。そして、読み終わった後もあれはどういうことだったのかな…と考えてしまうような後を引く作品でした。

Posted byブクログ

2024/07/25
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※このレビューにはネタバレを含みます

「のりたま」という名前のあひるは両親にとっては近所の子供たちの気を引くものでしかない。だから、あひるが死ねばこっそり新しいあひるを連れてくる。どう見ても「のりたま」とは違う「あひる」なのに両親は同じ「のりたま」だと言う。子供は違うことに気づいているのに、両親は子供たちの気を引くために常に「あひる」を飼い、子供たちの誰かの誕生日会のためのご馳走を準備をし、結局子供たちが家に来なかった場面は胸がはち切れそうだった。 しかし、そんな両親に孫ができると、今度は孫を溺愛する。子供たちも結局交換可能な存在であることに虚しさを感じた。

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2024/07/11
  • ネタバレ

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「交換」という怖さ。受け取り方にとっては、用済みとも取れる。孫ができ、せかせかと増築を始める一見幸せそうなラストも、これもいつか交換されるのかと不気味だった。

Posted byブクログ

2024/07/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

知人に勧められて読んだ1冊。 不思議な雰囲気漂う物語。あひるをきっかけに子供たちが家に遊びに来てくれるようになり、それを喜ぶ両親とそれを傍観者的に見る娘。結局、何が伝えたいのか、最後まで分からず… 本の紹介の「なにげない日常に潜む違和感と不安をユーモラスに切り取った…」には、完全に違和感。

Posted byブクログ

2024/07/06

『星の子』『むらさきのスカートの女』を読んで今村夏子さん3冊目の『あひる』 この3作品に登場する人たちは子供からお年寄りまでどこかの街で特に目立つことなくひっそりと暮らしている。大きな事は何も起こらないけどどこか不穏で寂しくて心がザワザワする。  なんて言ったらいいんだろう、ザワ...

『星の子』『むらさきのスカートの女』を読んで今村夏子さん3冊目の『あひる』 この3作品に登場する人たちは子供からお年寄りまでどこかの街で特に目立つことなくひっそりと暮らしている。大きな事は何も起こらないけどどこか不穏で寂しくて心がザワザワする。  なんて言ったらいいんだろう、ザワザワ以外の言葉が思いつかない。

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2024/06/23

ほとんど読んだことがない、純文学。すごく良いなと思った。 読み手の心の動きを実現することをしっかりと考えているんだろうと思う。アートだと感じた。あのおばあちゃんは、あの後どうなったのだろう。どんな気持ちだったんだろう。そんなことを考えさせてくれる。 一方で、純文学は自分もちゃんと...

ほとんど読んだことがない、純文学。すごく良いなと思った。 読み手の心の動きを実現することをしっかりと考えているんだろうと思う。アートだと感じた。あのおばあちゃんは、あの後どうなったのだろう。どんな気持ちだったんだろう。そんなことを考えさせてくれる。 一方で、純文学は自分もちゃんと読む気持ちで読まないといけないなとも思った。移動中やちょっとした隙間時間に、雑念に溢れた中で読むと、なかなか入り込みきれない。特に本作のような短編の作品を、そのように読み捨ててしまうのはもったいない。表題作を含め、非常に短時間で読めるので、少し時間がたったら改めて、気持ちを鎮めて、またこの作品に浸りたい。

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2024/06/19
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のりたまっていう名前が可愛すぎる。語り手主人公含め全員ちょっとズレてる(?)のが怖くて楽しい、今村夏子はまるかも

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2024/05/24
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文章の上手さ、面白さからちょっとニヤけるけど 内容が不気味でちょっと怖い。 この今村夏子作品の感じが大好き! 「子供を家に呼ぶ道具」としてしか見てなくて 壊れたら買い替える感覚が怖い。 最初は、あひるで子供を釣って 次は食べ物、飲み物、ゲームで釣る。 あくまで「子供」に固執してるから 子供の名前は覚えてすならいし、 子供が家で騒ごうが気にもしない。 だけど、実際に孫ができれば あひるだろうが、他人の子だろうが どうでも良くなる。この感じって なんか分かるけど節操なくて怖い。

Posted byブクログ

2024/08/16

4.0点 ただ日常の状況を淡々と語っているだけなのに、 だんだんと不穏な空気になっていく どの描写に不安を感じたのか?自分でも分からない。それが更に不安を煽ってくる。 「あひる」では、どうしてこの描写を入れる必要があったんだろう?と疑問に思う箇所がいくつかあるんだけど、例えばP...

4.0点 ただ日常の状況を淡々と語っているだけなのに、 だんだんと不穏な空気になっていく どの描写に不安を感じたのか?自分でも分からない。それが更に不安を煽ってくる。 「あひる」では、どうしてこの描写を入れる必要があったんだろう?と疑問に思う箇所がいくつかあるんだけど、例えばP18の男の子が私を指差してぎょっとしてるシーン。 あれ何のため?「私」の風貌がそんなにヤバいのか、「私」の存在感のなさを表現したかったのか、よく分かんない。よく分かんなくて怖い。 一見、ハッピーエンドのようなラストだけど、家族ひとりひとりに心の闇や問題があるのが感じられるし、はしゃぐ姿が逆にホラー味があって恐ろしい。 どうやったらこんな小説が書けるんだろう。凄すぎ。 他2作品も子ども目線から書かれた読みやすい文体ながらも、不穏な空気は健在。二つが繋がってくる構成も秀逸。

Posted byブクログ