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あひる 角川文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | KADOKAWA |
発売年月日 | 2019/01/24 |
JAN | 9784041074435 |
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あひる
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商品レビュー
3.8
234件のお客様レビュー
子供の視点からやわらかい文体で描かれる不穏な世界。ずっと霧の降りた森の中にいるような物語。誰かが見ないようにそっとしまっているものを見てしまった時の気まずさ。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
「今村夏子は何について書いているのか」 本編を読み終わって、そのまま解説を読もう・・・と思いこの一文が目に飛び込んできて、あまりにも私が言いたいことすぎて強く共感した。そうそう、その通り!と。 著者の作品、読んだことはないけど何となくクセが強そう、ひねくれた人ばかり出てきそうというイメージで、実際は思ったほどではなかったけど、最後があっさりというか、オチみたいなものがない。元からある「不穏」は何も解決されず、起承転結からまた起に戻ったような印象。 だからこれは、主人公が成長するとか、家族の状況が少し良くなったとか、そういうお話ではない。物語の初めから最後までずっとある「不気味さ」を味わうものなのかもしれないと思った。 「あひる」 解説の方は、「交換可能」なあひるを人間に喩えると恐ろしい、と書かれていたけれど、私が感じた違和感は少し違った。 主人公も、両親も、小学生の子供も、あひるが入れ替わったことに気付いているはずなのに、口に出さない。都合の悪いことを見て見ぬふりしている。 そしてこの家の不穏は両親に起因している。存在感のない父と宗教にはまる母、娘は引きこもり、息子はDV、あひるは死に、小学生は都合の良い時だけやってきて家を荒らしたり物を盗んだりする。 だけど、なかったことにする。臭い物に蓋をする。蓋をしただけだから、いずれ問題となって表面化する。 むしろ人間側の問題があひるの病気に繋がったように見える。生き甲斐を、自分達に見出さない両親。目の前の問題を直視せず、他人頼み鳥頼み。だからそのツケこそがこの家の不穏なのだ。 唯一三輪車の女の子だけが、まだ「口に出して言える」。 何か、マクロ的に見ると日本人や日本社会の縮図みたいだな、という印象。別に現実でもそこらじゅうでこんな出来事を目にしているのに、みんな見ないように、言わないようにしている。 それを著者はこの女の子のように伝えてくる。あなたたちも、一緒ですよ・・・と。 私も去年ペットを亡くしたので、死んだあひるを洗ってあげる場面が悲しくも優しさを感じた。 「おばあちゃんの家」「森の兄弟」 こちらも、初めは一体何を読み取れば良いのかと思うような終わり方だったけど、きっと二個一で完成する物語なのだろう。 思えば子供時代って、毎日のように新しいことに出くわしていて、それはどちらかというと不安になるようなあまり良くない事も多く、でも子供にはどうにもできない。自他に関わらず理不尽なことを目にしてきたと今になって思う。 そういう子供の目線がとてもリアル。もし子供の頃に自分の状況を的確に物語にできる能力があれば、こういう文章になったのかなと思わされる。 他にも認知症、孤独な高齢者(と冷たくあたる身内)、いじめ、貧困…等も垣間見えるけど、それはもちろん子供なので受け入れ、大人の決断に身を任せるしかない。 弱者が悲惨な境遇に陥っていて、貧困や暴力から抜け出せない・・・というような小説はもう読みたくないと思っていたけど、この作品はそれとは違ってどこか滑稽で、人の欲望やエゴ等を含む言動って俯瞰で見るとこんなにシュールなんだなぁと思ってしまう。 これって本当に純文学なんだろうか。私の中ではどちらかというと「イヤミス」に近くて、今のところ後味が嫌~な家族の物語、イヤファミなんだが。よく分からないけど新しいジャンルのような気がする。 どの話も読後がモヤっとするけれど、とてもサクサク読める。 心が元気な時に他の作品も読んでみたい。 20250106
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子供達にとっての「のりたま」とは、のりたまと書かれたアヒル小屋にいる黄色いクチバシに白い羽根のアヒルのことで、それ以上でも何でも無い。 疑わなければ、個々を認識しようという意識がなければ、「のりたま」に限らずみんな同じに見える。今朝ホームですれ違ったおじさんと今優先席に座ってるお...
子供達にとっての「のりたま」とは、のりたまと書かれたアヒル小屋にいる黄色いクチバシに白い羽根のアヒルのことで、それ以上でも何でも無い。 疑わなければ、個々を認識しようという意識がなければ、「のりたま」に限らずみんな同じに見える。今朝ホームですれ違ったおじさんと今優先席に座ってるおじさんは、僕にとっては、ただのおじさんで、その人物が同じだろうが違かろうが、やっぱり僕にとっての認識は、同じただのおじさんだ。 奇妙な話のようで、とても現実的で有り触れた話、有り触れた奇妙な話だと思った。
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