1R1分34秒 の商品レビュー
毎日一応走って、一応ジムに行くと、一応試合が組まれていて、でもいつの間にかそうでなくなっているかもしれないという不安と焦燥。寂しがり屋のくせに人に気を使われるのはいや。プライドばかりが邪魔をする。現れてくるのは妄想ばかり。夢見るふりをして行き当たりばったり日々を過ごす。それでも日...
毎日一応走って、一応ジムに行くと、一応試合が組まれていて、でもいつの間にかそうでなくなっているかもしれないという不安と焦燥。寂しがり屋のくせに人に気を使われるのはいや。プライドばかりが邪魔をする。現れてくるのは妄想ばかり。夢見るふりをして行き当たりばったり日々を過ごす。それでも日々は粛々と流れ努力した者には必ず報いがある。自分にはみえないことは世の中にはたくさんあり、一番見えないのは自分。少しずつ変わりゆく意識の変化に主人公の成長を見る。
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読み始めはなかなか頭に内容が入ってこなかった。途中から、勢いをつけて読めるようになった。 ボクサーの試合前の描写が精神的なところの描写が多い。 個人的に得意な分野の小説ではなかったので、星3です。
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ボクサーのリアルを綴った作品。 4回戦だろうがC級だろうが みんな人生をかけている。 等身大の主人公に共感してしまう。
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初戦は勝ったけど、その後は伸び悩む若いプロボクサーの語りが中心。不安、傲慢、卑屈さ、等々が混然となった感じがリアル。これはボクシング経験者じゃないと書けないのでは?と思って調べたらやはり著者は経験者。最後の一行のために全てがあるような小説だと思った。
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冒頭は中々頭に入ってこない感じで、読み進むのを諦めかけていたが、ある人物との出会い描写からテンポを掴んだ。主人公のモヤモヤと重なったのか?! 所在無さ気な主人公の心理描写にも同感
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プロボクサーのある試合から次の試合までの独白。こんな感じなんだ〜と思いつつ、沸き起こる葛藤とか、客観的に自分の涙を見ているところとか、共感できるところもあり面白かった。
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『1R1分34秒』 最近の芥川賞受賞作品である。ストーリーは、停滞期にあるボクサーが、コーチとなったウメキチとの練習を重ねる中で、徐々に停滞期を脱するところまでの心理描写が中心だ。実際、停滞期を脱したかどうかはわからないが、そこまでの心理描写が面白い。 主人公はプロテストに受かっ...
『1R1分34秒』 最近の芥川賞受賞作品である。ストーリーは、停滞期にあるボクサーが、コーチとなったウメキチとの練習を重ねる中で、徐々に停滞期を脱するところまでの心理描写が中心だ。実際、停滞期を脱したかどうかはわからないが、そこまでの心理描写が面白い。 主人公はプロテストに受かってから久しいが、あるところから勝てなくなり、そのまま無気力状態に陥っていた。そんな中で、対戦相手をネトストする主人公が結局相手を完全に破壊したいと思えるような状態にはなれない、闘志がわかない状態からスタートする。そして、試合には負ける。その時、目標を失っていた主人公が病院で異常なしの診断を受けた後の言葉が印象的だ。 「ぼくは今回、ちいさな出血でも見つかってあらたな人生のフェーズに移行したいというきもちが、まったくないとは言い切れなかった。」 目の前の現実がうまくいかず、どうにもならないと思うと、そういった気持になることは理解できる。自分から辞めるのはカッコ悪いし、そんな勇気もない。今辞めたら、出来ないからやめたんだと言われるのが目に見えているとき、辞めることはプライドが許さない。でも逃げたい。そんな時、人は、健康上の理由など、何か自分の意志以外の要素でやめさせてくれる理由を探す。そんな状態は、正直今の自分に痛いほどわかった。 ウメキチとのスパーリングをする中で、ウメキチの分析的な思考や練習法に、たびたび反発しながらも、少しずつ自分が変化し、成長している感覚を持ち始める。「言語化できる地獄に地獄はない」。試合に近づくにつれて、主人公の心情は変化していく。 「いつからだ?わからない。試合前の記憶を放棄したのは、いつからだ?もう、日々を、積み上げる練習に傷むからだのことを、ボクサーとして情緒の乱降下を、肉体の変化を記憶しておこうと思わなくなり、悔しさも喜びも一秒後に繋げられなくなり、機能を思い出すことを止めたら、夢に対戦相手の継承があらわれて、それと戯れていればぼくはこれまでの自分の行いとむきあわず、日々をただいまの者として処理することができたが、あの日のライセンスを取ってよろこんだぼく、一勝をあげてよろこんだぼく、木はおぼえていた、ぼく自身が好んで忘れていたことを、そうしてただ日々を繋げていき、さらに青志くんに敗れる前のころのぼくは、濁った顔で濁った声で、自分の生きる記憶をブチブチ壊していた。」 自分が陥っていた悩みのどん底を言語化できた主人公は、試合に向かう。もうあの時の自分には戻れないという強い覚悟を、不器用にこしらえて。
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生命力が尽きかける。意識が削られる一瞬にも一発のパンチを返したい。一秒長くボクサーでいられるなら一生捧げても構わない
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単に好きではない部類の小説なので、星2つ。素直に読めるものが好き。でも読み始めちゃったし、短いので読み切ると決めた。 指導者により自分を発掘してゆく、そういうところはとても良い。ああ、自分にもウメキチがいたらな、と思う。
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賞を取ったということだが、全く内容が理解できなかった^^内容が難しいわけではないのだが。なんというかストーリーが不明すぎ。きちんと読んで理解できた人の感想を読んでみたい
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