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1R1分34秒 の商品レビュー

3.2

123件のお客様レビュー

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2020/03/09

ボクサーの精神世界。デビュー戦以降は敗けが続く主人公をときおり美術展に誘い、映像を撮る友人。次の対戦相手を夢に見る。 「ぼく」「女のこ」のようにひらがなが織り混ざっているからか、柔い思考に感じる。その割合は変わらないように見えるが終盤にかけて、勝ちを求めるボクサーとしての記憶を取...

ボクサーの精神世界。デビュー戦以降は敗けが続く主人公をときおり美術展に誘い、映像を撮る友人。次の対戦相手を夢に見る。 「ぼく」「女のこ」のようにひらがなが織り混ざっているからか、柔い思考に感じる。その割合は変わらないように見えるが終盤にかけて、勝ちを求めるボクサーとしての記憶を取り戻すにあたってはっきりと明瞭になっていくような文章のはこびがおもしろい。

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2020/03/08

4回戦ボーイの心理を著した小説。 ボクサーの練習や減量、心理は、自分には想像しがたい部分があるためか、読んでいて、ずっと違和感がありました。 それが著者の狙いであるならば、やられた、のかもしれませんが、最後まで違和感が続いた結果、つまらない、と思ってしまったので、やられた感...

4回戦ボーイの心理を著した小説。 ボクサーの練習や減量、心理は、自分には想像しがたい部分があるためか、読んでいて、ずっと違和感がありました。 それが著者の狙いであるならば、やられた、のかもしれませんが、最後まで違和感が続いた結果、つまらない、と思ってしまったので、やられた感なく、読了。 でも、芥川賞受賞なのですよね。 自分には、こういった小説を読む資格というか素養がないのかもしれません。

Posted byブクログ

2020/02/26

主人公は1勝2敗1分けのパッとしないプロボクサー。プロテスト合格に狂喜したものの、その情熱も冷め、才能の限界も感じ、目の前の試合をこなすことだけが目標となってしまった。そんな気だるさと、ボクサーとしての自分を客観視する感情が入り交じる。 時々、思い出すのが負けた試合のこと。あの...

主人公は1勝2敗1分けのパッとしないプロボクサー。プロテスト合格に狂喜したものの、その情熱も冷め、才能の限界も感じ、目の前の試合をこなすことだけが目標となってしまった。そんな気だるさと、ボクサーとしての自分を客観視する感情が入り交じる。 時々、思い出すのが負けた試合のこと。あのときパンチを出していれば、ステップを踏んでいれば、立ち上がっていれば。ありえたかもしれない勝利を想像しては苦しみ、悩む。しかし、人生は続いていく。 周囲に登場する友だち、セフレ、トレーナーたちによって主人公の感情は埋められるのかもしれない。が、結局ボクサーの喜びは、勝つこと。それに尽きる。才能がないのはわかっちゃいるんだけど、「もしかして」を追いかける。 芥川賞受賞作品。

Posted byブクログ

2020/02/08

対戦相手を研究する中で脳内では相手と友達になってしまうボクサー、という考えすぎの癖を持つ主人公に妙に共感を覚える。 自分にもほんの少しだけ格闘技をかじった経験があるので、「分かるよ、分かる」と思いながら読み進めた。 そういうストーリーや語り口の面白さを抜きで見ると、純文学と大衆文...

対戦相手を研究する中で脳内では相手と友達になってしまうボクサー、という考えすぎの癖を持つ主人公に妙に共感を覚える。 自分にもほんの少しだけ格闘技をかじった経験があるので、「分かるよ、分かる」と思いながら読み進めた。 そういうストーリーや語り口の面白さを抜きで見ると、純文学と大衆文学の境目ってどこにあるのだろうと考えさせられる作品だった。

Posted byブクログ

2019/12/29

若さゆえの刹那的な行動、衝動。 言葉がトン、トン、と刻まれるようで、文章のリズムがおもしろかった。 登場人物の描写を細かく描きすぎないのも、よき。

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2019/12/03

 このタイトルを見て、すぐに思い出したのが、引間徹さんの「19分25秒」という25年以上前の小説。引き締まった文体で、ワクワクしながら読んだことを憶えている。19分25秒の次の作品、「地下鉄の軍曹」を読んで、なんじゃこれ?と、少しがっかりしたことも思い出した。まったく余談でした。...

 このタイトルを見て、すぐに思い出したのが、引間徹さんの「19分25秒」という25年以上前の小説。引き締まった文体で、ワクワクしながら読んだことを憶えている。19分25秒の次の作品、「地下鉄の軍曹」を読んで、なんじゃこれ?と、少しがっかりしたことも思い出した。まったく余談でした。  さて、本作はというと、面白いような、そうでないような・・・。物語としての抑揚は比較的平坦で、少し不思議な世界観が広がっている。最近の芥川賞の世界観を理解するうえで、わかりやすい内容だ。  血沸き肉躍ったり、緊迫感に満ちていたり、疾走感に持っていかれたり、しっとり読ませたり・・・。今の僕が読みたい小説は、エンターテイメントとして力を感じる小説で、本屋さん大賞や、直木賞系統の方かな、と感じました。

Posted byブクログ

2019/10/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

プロボクサーになったものの、思うように試合に勝てずにいるぼく。 戦いたいという気持ちとまた負けたらという気持ちに押しつぶされそうになる日々で 彼氏のいる女の子との気楽な関係や、iPhoneで映像を撮り続ける友人の存在 トレーナーに見放される代わりに面倒を見てくれることになったウメキチの能天気で的確な指導に、鬱陶しいと思っていたけれど じょじょにウメキチとの信頼関係を築き、自分自身を強く 信じることで挑んだ試合。 芥川賞だったのね! 専門用語?みたいなのも出てきて、素人には正直わからないところもあったけど、 何かを極めるって、とにかく大変ってこと。 でも大変な思いをした分、その先にあるものは自分にとって大切なものなのかもしれない。

Posted byブクログ

2019/10/20

敗戦続きの主人公の内向的一人称で進む物語は若者特有のそれでありながらボクシングという男性的競技に興じる様は失われしマチズモウへの羨望にも感じるが理想を体現できず言い訳と自己完結に陥る様は現代的な男性像であり読んでいて居た堪れない気持ちになる。主人公を取り巻く人間たちも自分というも...

敗戦続きの主人公の内向的一人称で進む物語は若者特有のそれでありながらボクシングという男性的競技に興じる様は失われしマチズモウへの羨望にも感じるが理想を体現できず言い訳と自己完結に陥る様は現代的な男性像であり読んでいて居た堪れない気持ちになる。主人公を取り巻く人間たちも自分というものがない浮遊したような存在であり自己主張の皆無な人間関係は衝突も軋轢も生むこともなく事なかれ主義が蔓延した彼らに傷をつけることも負うこともできない。そこへ自傷行為的とも言える関わりを強要してくる先輩格のトレーナーの登場により自己という本当の敵の所在が顕在化し去勢していた自己を開放へと向かわせる。オープンエンドとも言える試合を目前とした幕引き(アンチクライマックスないし現実の側に去勢される)が何とも現代的というか結局のところテン年代とはこういうものだなと納得してしまう自分もいる。

Posted byブクログ

2019/09/18

ふーん~僕はプロの4回戦ボーイ。パチンコ屋でアルバイトしているが、副流煙が厳しい。前回の対戦相手とは夜の夢の中で親友となっていて、あっさり負けた。ボクササイズの見学の付き添いに来た女の子のフードに電話番号を入れ、彼氏付きの彼女はガールフレンドになった。トレーナーはウメキチという6...

ふーん~僕はプロの4回戦ボーイ。パチンコ屋でアルバイトしているが、副流煙が厳しい。前回の対戦相手とは夜の夢の中で親友となっていて、あっさり負けた。ボクササイズの見学の付き添いに来た女の子のフードに電話番号を入れ、彼氏付きの彼女はガールフレンドになった。トレーナーはウメキチという6回戦ボーイをトレーナー代わりにして離れていき、ボクサーの嗅覚で掴んだ僕の特長を伸ばそうとしているようだ。次の試合が決まって、相手は心くん。ジムのスパーはウメキチと実践さながら。出稽古では階級上の格上の相手にノックアウトを食らった。減量中、さあ、3日後の1R1分34秒でTKOで勝つイメージはできた~第160回芥川賞なんだけど・・・馴染めないなぁ

Posted byブクログ

2019/09/06

一気に読ませる力が文章にある。 時折、ハッとする表現に 上手いなと思う文章があった。 終わり方もいい。

Posted byブクログ