すべての、白いものたちの の商品レビュー
生死終始、表裏 ってな事で、ハン・ガンの『すべての、白いものたちの』 『白』に纏わる短編集?詩集?ジャンルは何になるんかな? 心して読まないと、白い世界、はたまた黒い世界へ持って行かれる感覚に陥りそうで、恐怖のあまり流す様に読んだ。 短い文章ば...
生死終始、表裏 ってな事で、ハン・ガンの『すべての、白いものたちの』 『白』に纏わる短編集?詩集?ジャンルは何になるんかな? 心して読まないと、白い世界、はたまた黒い世界へ持って行かれる感覚に陥りそうで、恐怖のあまり流す様に読んだ。 短い文章ばかりで、じっくり読み返したい気持ちが湧き上がるけど、読み返すと闇に引き摺られて戻れなくなる様な気がして逃げながら読んでた。 言葉の威力って言うんかな、怖かった。 始まりの白。終わりの白。 白って真反対の意味も持ってるなぁって 産まれた時は真っ新な白で、生きてくうちに色んな色を塗り重ねて、死ぬ時には白に戻るんかなぁと 雪の降る日に外でじっくり読んでみたいかな 2022年23冊目
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1回では全てを把握できないかも。 決して明るい話でも読みやすい話でもないのに、読みやすいのは、散文的なリズムが文章全体にあるから。リズムがあることで必要以上に重苦しくもなく読めた。そして、言葉の美しさがすっと入ってきた。多分、訳が素晴らしいのだと思う。もし原文で読めたらきっともっ...
1回では全てを把握できないかも。 決して明るい話でも読みやすい話でもないのに、読みやすいのは、散文的なリズムが文章全体にあるから。リズムがあることで必要以上に重苦しくもなく読めた。そして、言葉の美しさがすっと入ってきた。多分、訳が素晴らしいのだと思う。もし原文で読めたらきっともっと美しいハングルの響きを感じられるんじゃないかな。
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存在と不在と、それらに関わる祈りの白を紡いだ物語。 物語というより散文という印象。 白、と一言にいっても種類が豊富にある、というのは装丁にもあらわれている。 手元に置いておきたくなる本。
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「白いものについて書こうと決めた。春。そのとき私が最初にやったのは、目録を作ることだった。 おくるみ うぶぎ しお ゆき こおり」 本をひらいて飛び込んできたこの文字列を見ただけで、赤ん坊の儚さと愛しさ、運命的な予感に心がざわざわして、白いものたちの世界に一気に引き込まれてしま...
「白いものについて書こうと決めた。春。そのとき私が最初にやったのは、目録を作ることだった。 おくるみ うぶぎ しお ゆき こおり」 本をひらいて飛び込んできたこの文字列を見ただけで、赤ん坊の儚さと愛しさ、運命的な予感に心がざわざわして、白いものたちの世界に一気に引き込まれてしまった。著者の本は『ギリシャ語の時間』に続き2冊目。改訂版を出すにあたり書き加えられた「作家の言葉」がまた素晴らしい。斎藤真理子さんの翻訳もうつくしくて好き。
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韓国語を学んでいた頃、ああ韓国のひとはなんて詩や言葉や色への関心が高いのだろう!かつては日本人もそうだったのだろうか?と強く感じたことを思い出しながら読了しました。 まさにこの作品は詩と短いエッセイで構成されているような、しかも装丁まで徹底した作りになってて出版側の拘りが伝わって...
韓国語を学んでいた頃、ああ韓国のひとはなんて詩や言葉や色への関心が高いのだろう!かつては日本人もそうだったのだろうか?と強く感じたことを思い出しながら読了しました。 まさにこの作品は詩と短いエッセイで構成されているような、しかも装丁まで徹底した作りになってて出版側の拘りが伝わってきます。 著者がワルシャワとソウルで育んだ想いを一冊にしたこの作品、韓国の風土や文化を齧ったことのある人にはより深く理解出来るように思います。
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「生は誰に対しても好意的ではない。それを知りつつ歩むとき、私に降りかかってくるのはみぞれ。額を、眉を、頬をやさしく濡らすのはみぞれ。」
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白いものをたくさん集めて、ひとつひとつ書いていく、数行の話もあり、体裁は詩集のよう。 テーマは重く、母親が自分の生まれる前に田舎の誰も居ない家で早産し、その赤ちゃんが2時間ほどで死んでしまう、という話。 ここから、自分のこと、娘のこと、呼ばれて行ったワルシャワの暮らし、そこでこの...
白いものをたくさん集めて、ひとつひとつ書いていく、数行の話もあり、体裁は詩集のよう。 テーマは重く、母親が自分の生まれる前に田舎の誰も居ない家で早産し、その赤ちゃんが2時間ほどで死んでしまう、という話。 ここから、自分のこと、娘のこと、呼ばれて行ったワルシャワの暮らし、そこでこのテーマを書かなければと思ったことなど。改訂版出版の時に付け加えられたあとがきも加えて、静かな、白いもの、命、風景… しーんとした静かなところから伝わる感じが好きでした。 この白いもので気になったもの "タルトック" 次のように丸い餅 これが何か分からずある時気づく。 "松餅 ゾンビヨン" 真っ白な米の生地をこね、一つ一つを半月形に形作りそれを蒸す。その蒸す前は、真っ白でこの世のものではないほど美しいと。 松葉を敷いた蒸し器で蒸すと熱と蒸気で色も質感も変わり、胡麻油も塗られる。美味しかったけど、変わり果てたもの。 真っ白なものは蒸す前の姿だった。 産着、霧、みぞれ、雪、塩… あと、装丁が凝ってる。 見返しは私の好きな純白!晒しクラフトの真っ白な紙。表はツルツル裏はザラザラの質感も好き その次に、半分だけの白いページ この紙は和紙っぽい質感。 本文は5色の柔らかい紙が使われている。色ごとに少しずつ手触りが違う。 間に、白いものたちのモノクロ写真
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なにものだろう。 本来、日本語には「黒」「赤」「白」「青」の四色しか「色」を示す言葉はない。 当然、自然界にはそれですべてを表現できるものではない。 だから様々な物や現象、状態などでその違いを表す。 「黄」「緑」「紫」「灰」「紅」「橙」「藍」……。 「白」は難しい。 他の色と...
なにものだろう。 本来、日本語には「黒」「赤」「白」「青」の四色しか「色」を示す言葉はない。 当然、自然界にはそれですべてを表現できるものではない。 だから様々な物や現象、状態などでその違いを表す。 「黄」「緑」「紫」「灰」「紅」「橙」「藍」……。 「白」は難しい。 他の色と少しでも混ざると、少し薄まるが「そちらの色」になってしまう。 でも「白」に言わせれば、「彼らのとげとげしさを少し和らげてあげてる」っていうかも。 全ての絵の具を混ぜると暗い灰色になる。 それを救うのは白で、潰すのは黒。 文章と翻訳の妙もさることながら、 紙質の変化、挿入されたモノクロ写真、段落と余白 これら合わせて「すべての、白いものたちの」という作品ができている。 残念ながら、 読んですぐ感動できるほど、もう若くない。 読んですぐ理解できるほど、まだ人生を達観していない。 また雪の日にでも読むことにしよう。
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色や手触りの違う数種の白い紙が折り合わされて作られているこの小さな白い本は、様々な白にまつわる詩のような祈りのような小さな文章の連なりで構成されている。 わかりやすいストーリーはないが、「白いものについて書こうと決めた。」から書き始められる思索的な文章を読んでいるうちにはっきりと...
色や手触りの違う数種の白い紙が折り合わされて作られているこの小さな白い本は、様々な白にまつわる詩のような祈りのような小さな文章の連なりで構成されている。 わかりやすいストーリーはないが、「白いものについて書こうと決めた。」から書き始められる思索的な文章を読んでいるうちにはっきりと浮かび上がってくるものがある。 いつのことだったか、深夜の住宅街でしんしんと雪が降り続く中を道路脇に高く積まれた雪山に囲まれて歩いているうち、何か違う世界に来たような気がしたときのことをふと思い出したりもした。 静かなところでゆっくりと読みたい本でした。 #ハンガン #すべての白いものたちの #河出書房新社 #斎藤真理子 #読書 #読書記録2021 #読書記録 #本
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産まれて数時間で死んでしまった姉。 こだまする母親の「しなないで、しなないでおねがい。」という声。 語り聞かされてきた「タルトックのように色白」だった姉の誕生と死の物語を通奏低音に、「私」と姉をめぐる「すべての、白いものたち」の記憶が断片的に映し出されてゆく。 「私」「彼女」...
産まれて数時間で死んでしまった姉。 こだまする母親の「しなないで、しなないでおねがい。」という声。 語り聞かされてきた「タルトックのように色白」だった姉の誕生と死の物語を通奏低音に、「私」と姉をめぐる「すべての、白いものたち」の記憶が断片的に映し出されてゆく。 「私」「彼女」「すべての、白いものたちの」の3章構成、さらに各章のなかに「おくるみ」「雪」「白く笑う」等の短い章が配されている。 各章の文章は短く、散文詩のようでもある。(ハン・ガンは詩人としてデビューしたと知り納得) 読み進むに従い徐々に物語の輪郭がみえてくるが、読み終え、読み返してなお発見がある。それゆえ何度も読みたくなる。 装丁も凝っており(様々な質感、色の紙。天アンカット)、本それ自体が「すべての、白いものたちの」様々な色合いや揺らぎといったものを表現しているよう。たいへん美しい。
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