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すべての、白いものたちの の商品レビュー

4.2

50件のお客様レビュー

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2021/07/29

やわらかで淑やかな言葉の羅列に、生きることと死ぬことの両端が行き来している。波の文章がよかった。章ごとに紙の色が違うのも素敵

Posted byブクログ

2021/04/08

白い言葉と物語。空気と空気の間、という印象が強い。そして何故かじわじわとわたしの生にも浸透してきて、おくるみに包まれた赤ん坊のようになる。哀しみと祈り。装丁や、紙質にもこだわっていて、「本」自体の表現も素敵。

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2021/01/23

"寒さが兆しはじめたある朝、唇から漏れ出る息が初めて白く凝ったら、それは私たちが生きているという証。私たちの体が温かいという証。冷気が肺腑の闇の中に吸い込まれ、体温でぬくめられ、白い息となって吐き出される。私たちの生命が確かな形をとって、ほの白く虚空に広がっていくという...

"寒さが兆しはじめたある朝、唇から漏れ出る息が初めて白く凝ったら、それは私たちが生きているという証。私たちの体が温かいという証。冷気が肺腑の闇の中に吸い込まれ、体温でぬくめられ、白い息となって吐き出される。私たちの生命が確かな形をとって、ほの白く虚空に広がっていくという奇跡。"(p.91)

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2021/09/12

『すべての、白いものたちの』読了。 雪が降り続く連休に読んだ。詩的な内面描写に引き込まれた。 生まれて2時間で死んだ姉と、戦争で廃墟となり再生した都市を重ねていく。 無かったことには出来ない記憶をいつの間にか継承し身体に魂が宿っていくのかもしれない。死んだ人を思う色の話でした。 ...

『すべての、白いものたちの』読了。 雪が降り続く連休に読んだ。詩的な内面描写に引き込まれた。 生まれて2時間で死んだ姉と、戦争で廃墟となり再生した都市を重ねていく。 無かったことには出来ない記憶をいつの間にか継承し身体に魂が宿っていくのかもしれない。死んだ人を思う色の話でした。 「しなないで しなないでおねがい。」が何度もあった。母親が死んだ姉に発した言葉に魂が宿り、私へと受け継がれていった。 生と死の寂しさが白いものに宿る。そこで彼らは何をみてきたんだろうな…なんとなく、そっと、そばに寄り添ってくれているような気がする。どうか、生きてと。 2021.1.12(1回目)

Posted byブクログ

2020/12/19

韓国を遠く離れ、ワルシャワで〈白いものたち〉に思いを馳せる「わたし」は、いつしか母が産み落としてから2時間後に亡くなった〈姉〉が生き得たかもしれない時間を、自分自身のそれと重ね合わせてみる。シルトックのように綺麗な顔をして、白いおくるみのなかで息を引き取った〈姉〉。さまざまな白の...

韓国を遠く離れ、ワルシャワで〈白いものたち〉に思いを馳せる「わたし」は、いつしか母が産み落としてから2時間後に亡くなった〈姉〉が生き得たかもしれない時間を、自分自身のそれと重ね合わせてみる。シルトックのように綺麗な顔をして、白いおくるみのなかで息を引き取った〈姉〉。さまざまな白の白さに関する断章からなる、散文詩のような祈りの物語。 戦争の傷をそのままに遺す冬のワルシャワの空気を吸いながら、故郷と歴史、出会うことのなかった〈姉〉と母を哀悼するという、何層にも折り重なった連想を〈白さ〉というキーワードでまとめている。「わたし」と「彼女」の物語は同じようで少し違う。あなたが生きていたらきっとわたしはいなかった、と思いながら顔も知らない〈姉〉を思うとは、粉雪を頰に受けるような感触のある経験なのだろうか。 断章形式で語られるエッセイとも私小説ともつかない物語は、雪のように降り積もり、溶けていく。 実際の作者がどのような方かは知らないし実像と関係もないが、「すごく痩せている人の書いた話だな」と思った。読者の私が想定する〈モデル作者〉として、細い手首をした姿勢のよい女性の姿が浮かび上がってくる。

Posted byブクログ

2020/12/17

周りを薄氷に覆われているような冷たさを感じながら読み続けた。異なる紙の手触り、文字、すべてが「白」を構成していた。二階堂奥歯の『八本脚の蝶』を思い出した。

Posted byブクログ

2020/11/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

最近、思っていた事 誰にも言えてなかった事 それをこの本の中で見つけた時 とても嬉しかった。 それから、私もそうだ、 そうしなければと気づかしてくれた時嬉しかった。 長年、連れ添ってきた感覚と向き合い、 それを、大切に包んだ本。 何度も涙が出そうになった。 不思議とバラバラに出てきたそれらが、読む側の頭の中でも重なって、形にできないその感覚を見せてくれる。 何度も泣きそうになったのに、刹那さや苦さや寒さがあるのに、最後は温かい愛を感じる。

Posted byブクログ

2020/10/10

紙好きにはたまらない装丁の本でした。 表紙のモノクロ写真。産着の白さが放つ哀しみ。(読むと分かるのだが…) 見返しも前と後ろでは紙が違う。本扉の前に挟まれた小さな紙、本文も何種類もの紙に綴られている。純白に何らかの別の色がほんの少し混じった感じの白。オフホワイト。その色合いも手触...

紙好きにはたまらない装丁の本でした。 表紙のモノクロ写真。産着の白さが放つ哀しみ。(読むと分かるのだが…) 見返しも前と後ろでは紙が違う。本扉の前に挟まれた小さな紙、本文も何種類もの紙に綴られている。純白に何らかの別の色がほんの少し混じった感じの白。オフホワイト。その色合いも手触りも違う、さまざまな表情を持った白い紙たち。 紙を撫でながら読んだ。 「白いものについて書こうと決めた」から始まるこの話。おくるみ、うぶぎ、しお、ゆき、こおり…白いものを取り上げながら、その白に別の色がほんの少し混じるようにハン・ガンの想いが混じり、哀しみが漂う。 あとがきを読んで納得した。 「私の母語で白い色を表す言葉に『ハヤン(まっしろな)』と『ヒン(しろい)』がある。清潔な白「ハヤン」とは違い「ヒン」は、生と死の哀しみをこもごもたたえた色。私が書きたかったのは「ヒン」についての本だった。」とあった。 すべての白いものたちの中に、祈りを求めているように感じた。

Posted byブクログ

2020/09/22

今求められているのはこういう世界なのか…とても繊細で個人的。他人事なのだけれど想像力で入り込める。白いものがこんなにも溢れている、韓国という国の文化。やはり近くて遠い国。

Posted byブクログ

2020/09/06

微妙に変わっていく白い紙たちに手伝ってもらいながら色々な白い情景に静かに包まれ、何とも言えない不思議な感覚が味わえる。悲しさを感じたのに癒されたんだ、と後から気づく詩のような本。

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