琥珀のまたたき の商品レビュー
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読み終わってみると、ただ監禁されてる子供のお話だったんだって思った。 パラパラマンガって1度も言ってないけど、ちゃんと素敵な言葉で、映像が浮かんでくるくらい、すごい。 たのしかった。
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魔犬の呪いから逃れるため、パパが遺した別荘で暮らし始めたオパール、琥珀、瑪瑙の三きょうだい。沢山の図鑑やお話、音楽に彩られた日々は、琥珀の瞳の奥に現れる死んだ末妹も交え、幸福に過ぎていく。ところが、ママの禁止事項がこっそり破られるたび、家族だけの隔絶された暮らしは綻びをみせはじめ...
魔犬の呪いから逃れるため、パパが遺した別荘で暮らし始めたオパール、琥珀、瑪瑙の三きょうだい。沢山の図鑑やお話、音楽に彩られた日々は、琥珀の瞳の奥に現れる死んだ末妹も交え、幸福に過ぎていく。ところが、ママの禁止事項がこっそり破られるたび、家族だけの隔絶された暮らしは綻びをみせはじめる。
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琥珀は家族といれて幸せだったんだろうと思った。 母親を支えられる人がいなかったのが切ない。 何が幸せかを個人が自覚した時、その方向性が違っていたら一緒にいる事はできないだろう。 ラストの描写を脳内で再現すると、息を呑むほど綺麗だった。
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魔犬から身を隠す、ママと3人の姉弟の物語。 読み始めてすぐに 「これは慎重に読みたい」と思わされ、 3日ほどかけて読んだ。 最終的に救われたのは良かったけれど なんとも言えないモヤモヤが残る。 「誰か早くこの子達を見つけて!」と ずっと思いながら読んでいた。 小川洋子さん...
魔犬から身を隠す、ママと3人の姉弟の物語。 読み始めてすぐに 「これは慎重に読みたい」と思わされ、 3日ほどかけて読んだ。 最終的に救われたのは良かったけれど なんとも言えないモヤモヤが残る。 「誰か早くこの子達を見つけて!」と ずっと思いながら読んでいた。 小川洋子さんの文章を ずっと読みたいと思っていたのもあり 高まった期待を持ち寄って読んでしまったけれど 期待以上に美しい文章と言葉選びを楽しめた。
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魔犬から逃れるため別荘で暮らす三きょうだい。ママの言いつけを守り声をひそめて図鑑に囲まれた壁の内側で過ごす日々。 久し振りに読む小川洋子は、実に小川洋子でした。 美しく儚い、でも彼らの中に確かに存在した日々の物語。
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母親と3人と1人の子どもたちの、歪ながらも柔らかな日常。 ところどころ風変わりな行動を見せる母親に恐れを感じつつ、仲睦まじく寄り添う姉弟たちにいつしかこのままでも良いのでは、と肯定してしまう。 「外」が入って来ないで欲しいと願うが、稲妻の様に突然切り裂いて現れてしまう。 幼少期と交互に書かれるアーバン氏の様子からも、破綻は確実に訪れているのが分かるので、読み進めるのがつらかった。 少年期の夢想のような暮らしが終わるきっかけが、とても生活感溢れる原因なのも、昏い場所から急に眩しい場所へ出されたみたいでふらっとした。
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単語選びが本当にすき。 閉じられた世界の中で可愛らしい日常が繰り広げられるけれど、後半に向けて綻びていくので読むのが止まらなかった。
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その母親は4人兄弟の末っ子が亡くなったのを魔犬のせいだと言い、その魔犬から逃れるために残りの3人の子どもを連れて、今は亡き(戸籍上正式ではない)夫が持っていた別荘へ移り住む。そこは高い壁と木に覆われた古い屋敷で、彼女は子どもたちに対していくつかの規則を作り、それを守らせた。 大き...
その母親は4人兄弟の末っ子が亡くなったのを魔犬のせいだと言い、その魔犬から逃れるために残りの3人の子どもを連れて、今は亡き(戸籍上正式ではない)夫が持っていた別荘へ移り住む。そこは高い壁と木に覆われた古い屋敷で、彼女は子どもたちに対していくつかの規則を作り、それを守らせた。 大きな声を出さないこと、壁の外へは出ないこと、誰が訪ねてきても応対しないことなど。 子どもたちに今までの名前を捨てさせ、古い図鑑の中から目をつぶって指差したものを新しい名前とした。その名前は『オパール』それから『琥珀』そして『瑪瑙』。 3人は母親の言いつけを守り、その塀の中で密やかに暮らす。 でもそんな不自然なこと、永遠に続くわけない。成長する身体に洋服が窮屈になり過ぎてしまったように、やがて現実は彼らをバラバラにしてしまう。 母親が魔犬と同じくらい恐れたものは、裏口のドアや晴れた青い空や、ときには子猫やふくよかな女性に姿を変えて、隙間という隙間から流れ込み防ぎようがなくなってしまった。 オパールと瑪瑙は、心のどこかでずっとそこから出ることを望んでいたような気がする。留まっていたいと願ったのは、母親と琥珀だけだったのではないだろうか。 だからこうなってしまったんじゃないか。 三人で合わせると更に小さくなる声。 寄り添うと必ずできるあの子のための空間。 終始哀しみが付き纏い、それを意図的に引き摺り続ける話としては、少々長すぎると思った。読み続けるのが苦痛だった。
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最初は怖いと思って読み進まなかった。けれどそんなことはなく、読んでいくうちに、3姉弟の優しく愛のある毎日を大切に丁寧に読みたいという気持ちになった。 この家族の出来事を断片だけ聞いたのなら、姉弟が可哀想だし母親は狂っている、というように思う人が沢山いるはず。でも、毎日の些細な瞬間を大切に、家族を愛していた彼らの壁の内側での生活を評価するのは、そんな外の人達なのか… 表現が美しくて丁寧かつきちんと伝わる文章で、過去と現在を行き来するけれど心地よく、読み易かった。よろずやジョーがいい人で好き。
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虐待だとか精神異常だとか、名付けてしまった途端にこぼれ落ちてしまうものがこの物語にはある。壁の内側で起こること、すべてが間違いではないし、その逆でもない。
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