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琥珀のまたたき の商品レビュー

3.8

83件のお客様レビュー

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2024/11/14

母親から与えられた壁の内側の生活は色んな愛溢れた暖かい生活だと思いながら読んでいましたが、後から恐ろしい内容だったなとじわじわ気づかされました。それくらい言葉が優しく美しいです。 オパール、琥珀、瑪瑙が成長するにつれて隠し事が増えていく度に、母親に愛されていたい、母親が好きなこ...

母親から与えられた壁の内側の生活は色んな愛溢れた暖かい生活だと思いながら読んでいましたが、後から恐ろしい内容だったなとじわじわ気づかされました。それくらい言葉が優しく美しいです。 オパール、琥珀、瑪瑙が成長するにつれて隠し事が増えていく度に、母親に愛されていたい、母親が好きなこどもでいたいという想いを感じてしまい切なくなりました。 小川洋子さんは私の知らない感情を引き出して満たしてくれます。とても大好きな作家さんです。

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2024/10/10

静かな環境でないとなかなかこの本の世界観に入り込めず読むのに時間がかかってしまった。 壁の中で外の世界から閉ざされて、閉塞的な場所で身を寄せ合い、それでも楽しみを生み出し密やかに暮らしていたこの姉弟は幸せだったのだろうか… 壁から出だ後のそれぞれの人生はどんなものだったのだろう...

静かな環境でないとなかなかこの本の世界観に入り込めず読むのに時間がかかってしまった。 壁の中で外の世界から閉ざされて、閉塞的な場所で身を寄せ合い、それでも楽しみを生み出し密やかに暮らしていたこの姉弟は幸せだったのだろうか… 壁から出だ後のそれぞれの人生はどんなものだったのだろう… 母は何を守りたかったのだろうか…

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2024/09/24

この母親を毒と見倣すかどうか、これはなかなか難しい。我が子を失う事の辛さは、それを経験した人でなければ分からないし。でもやはり世間の目は冷ややかで。 そんな中でも子供の発想力というのはやっぱり凄い。あんな閉塞的な場所でもあらゆる遊びを考え、実行する。オリンピックごっこ、楽しそう...

この母親を毒と見倣すかどうか、これはなかなか難しい。我が子を失う事の辛さは、それを経験した人でなければ分からないし。でもやはり世間の目は冷ややかで。 そんな中でも子供の発想力というのはやっぱり凄い。あんな閉塞的な場所でもあらゆる遊びを考え、実行する。オリンピックごっこ、楽しそう。 とは言え、子供らしく、無邪気に、自由に遊ぶ。そんな環境に身を置けなかった彼等がどうしても不憫でならない。

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2024/07/25

ハラハラドキドキ胸が掻き回される。かと思えばふわふわとなぜか包まれている気分になる。  母の言いつけを守り、3人寄り添い必死に生きる姉弟。ロバのボイラー、よろずやジョーそして嘘を抱えるようになる。 琥珀の図鑑の中で生きる末の妹が家族をささえ、 夢の中で生きる日々 不思議なお伽話の...

ハラハラドキドキ胸が掻き回される。かと思えばふわふわとなぜか包まれている気分になる。  母の言いつけを守り、3人寄り添い必死に生きる姉弟。ロバのボイラー、よろずやジョーそして嘘を抱えるようになる。 琥珀の図鑑の中で生きる末の妹が家族をささえ、 夢の中で生きる日々 不思議なお伽話のような話の中に、現実的な琥珀の今が語られる。 琥珀は姉は、弟はいつが幸せだったのだろうか?

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2024/02/04

こういう世界と地続きになっていなさそうなファンタジック??みが強い長編って、意外と小川洋子らしくないよな…。 不思議なことに…。

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2024/01/12

現実世界で起これば母親は親としての在り方を非難されるに違いないが、小川洋子の世界の中では誰も糾弾されることはない。いろんな人にとっての真実がただそこに存在している。 他の作品でも登場人物や小川洋子の世界観が強く存在していることは多々あるが、この作品は他のどの作品よりも絶対に自分...

現実世界で起これば母親は親としての在り方を非難されるに違いないが、小川洋子の世界の中では誰も糾弾されることはない。いろんな人にとっての真実がただそこに存在している。 他の作品でも登場人物や小川洋子の世界観が強く存在していることは多々あるが、この作品は他のどの作品よりも絶対に自分は入り込めない、触れてはいけない世界だと感じた。 そして、その世界、家族の在り方は宗教に通ずるものを感じた。ムスリムの友人は宗教で自由になれると私に語った。ある視点から見れば戒律に縛られた自由のない世界。別の視点から見れば従うものがあるからこそ迷いなく守られながら自由でいられる世界。そんなものを彼らの壁の内にも感じた。 化石としての琥珀がそうであるように、彼の瞳は外部ではなくその内側に深く潜む彼らの記憶を見ている。では、オパールと瑪瑙は?考えてみたが、いまいち腑に落ちる解釈が浮かばなかったのでまたいつか再読してみたい。

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2024/01/01

著者ならではの閉ざされた空間の話。 不気味さと美しさが同居する不思議な世界。 壁の中で閉ざされたまま生きるか、未知の世界へ飛び出すのか。 兄弟とママの幸せの形って何だろうと考えながら読み進める。 散髪の場面、兄弟3人の容姿の描写に少し驚く。

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2023/12/20

目は口ほどに物を言うとはよく言ったものです。この本に書いてある文を読むと目で見た情報が思い起こされます。正解なんていらないし、至極シンプル。言語化レビューするのも憚られるくらい喰らっちゃったけど記憶のアウトプットに。小川洋子さんは何か特殊能力でも持ってるのかしら?

Posted byブクログ

2023/11/15

琥珀の現在も過去を織り交ぜて描かれるストーリー構成。 琥珀たち子ども三兄弟目線で話が進むので、おかしなこと(犯罪)が起こっていることに当人たちは気づかない。それが当たり前かのように起こる。 ただ読者の私はこれが犯罪であることがわかるのでなんかやばい…とずっと違和感を覚える。 ...

琥珀の現在も過去を織り交ぜて描かれるストーリー構成。 琥珀たち子ども三兄弟目線で話が進むので、おかしなこと(犯罪)が起こっていることに当人たちは気づかない。それが当たり前かのように起こる。 ただ読者の私はこれが犯罪であることがわかるのでなんかやばい…とずっと違和感を覚える。 母親の思考が結局ずっと謎だった。いくら末娘にトラウマを抱えていても監禁をするのはよくわからない。 でもだからこそずっと不気味で、穏やかな時間が流れているはずなのに緊張感が走っていてとても面白かった。 一番ママに従順だったオパールが最後ママに批判的なことを琥珀に言うのはきっと外の世界の住民であるジョーから色々話を聞いたんだろうな。 小川洋子流、ミステリー。

Posted byブクログ

2023/11/12

滑らかな言葉、誰にも侵せない世界。一歩踏み出せば、異質でしかないと気づくそこが、琥珀にとっての全てになる。荒々しい描写も怒涛の展開もないのに、じわじわと衝撃が染み入ってくる作品だった。

Posted byブクログ