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坂の途中の家 の商品レビュー

3.8

138件のお客様レビュー

  1. 5つ

    35

  2. 4つ

    55

  3. 3つ

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  4. 2つ

    7

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2023/02/27

読書メーターより。2019.2.21読了。 悪意に満ちたやさしい言葉は、心を深く抉りとって、生温くて、ヒリヒリした。善の言葉も受け取り方によっては悪になる。言葉は手軽でかんたんで、時に残酷。明るい言葉に含まれた妬み嫉み恨み嫌み。人間の、限りなく黒に近いグレーの部分をずっと見てい...

読書メーターより。2019.2.21読了。 悪意に満ちたやさしい言葉は、心を深く抉りとって、生温くて、ヒリヒリした。善の言葉も受け取り方によっては悪になる。言葉は手軽でかんたんで、時に残酷。明るい言葉に含まれた妬み嫉み恨み嫌み。人間の、限りなく黒に近いグレーの部分をずっと見ているような感覚。苦しいけどハマる。

Posted byブクログ

2023/01/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

角田光代が、夫婦、親子関係にメスを入れた作品。 少しのズレが価値観の違いが、生活、自我を人間関係を崩壊させていくのを、こんな表現で納得させられる作品を他に見たことがない。

Posted byブクログ

2023/01/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

裁判を通して夫の悪意に気付いてしまった主人公。 例えその悪意が夫なりの愛なんだとしても。もう日常を続けるのは難しいんじゃないか。それとも割切ってしまうのか。里沙子のように一見平和そうに見えてもどちらかが傷付いている事って沢山あると思う。我慢したり許したり気付かないふりをして生活を続けているのだろうか。世の中の夫婦は皆そうなのだろうか。独身の私には相当大変なことに思える。私が里沙子なら結婚式の引出物を選び直された時点で破断にしてしまうだろう。 生まれも育ちも人それぞれだから元々の価値観や感覚のずれはどうしてもあり、時には“その人がそのタイミングでその言い回しで言うことで意味が全く変わってしまう”から人間関係はとても難しいと思う。だからこそ、価値観の合う人は大事にしたい。

Posted byブクログ

2023/01/07

こうゆう現実でありそうな怖い話好きでよく読むしバットエンドや終わりがモヤモヤしている系ばっかり読んできたこの十何年間のうちこの本が1番苦しかった。途中息の仕方が分からなくなった。最初から最後までずっとつらいのはつらい。でもバットエンドだったり最後モヤモヤで終わる小説で苦しくなるの...

こうゆう現実でありそうな怖い話好きでよく読むしバットエンドや終わりがモヤモヤしている系ばっかり読んできたこの十何年間のうちこの本が1番苦しかった。途中息の仕方が分からなくなった。最初から最後までずっとつらいのはつらい。でもバットエンドだったり最後モヤモヤで終わる小説で苦しくなるのは最初も辛いけどどんどん後半に連れさらに辛くなってくる小説ばかりだった。それは小説の内容自体辛くなって言ってるから読み手がどんどん辛くなるのもわかる。でもこれはある主婦の日常を一部切り取ったもの。最初から最後にかけてつらくなっていくわけではない下に急降下していくわけでもない。同じような日常が繰り返されている。でも気づかなくてよかったことにどんどん気づいてしまう。気づかされる機会を裁判によって与えられてしまった。苦しめているつもりはなくても威圧的な態度に感じてしまうことあるよね。感覚って人それぞれ本当に違うから自分が伝えたい感情のまま言葉のまま伝わることって少なくてそれをするのにはすごく訓練も頭も使うからできる人少ないよね。自分は事情があって結婚も出産もしないほうがいい家庭で育ったけれど願望はやっぱりずっとある。でもこういう虐待系ばかり読むからする気も失せるけどこれは出産前結婚前に結婚後に読む本ではないかも。私みたいに息の仕方がわからなくなるかもだから。

Posted byブクログ

2022/12/12

全く知らない世界裁判員制度について垣間見ることが出来た。 主人公は2歳の女の子を持つ、妻であり母である専業主婦。 補欠裁判員に選出され、担当した事件の被告と自分を重ねてしまう。

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2022/12/01

2歳の娘を持つ専業主婦の主人公は、刑事事件の補欠裁判員に選ばれてしまう。補欠とは言え、毎日審理に出席するため義父母の家に娘を預け、帰りは迎えに行くこととなる。 赤ん坊を風呂に沈めて死なせた母親の裁判と関わるうちに自身を被告人に投影し、今までの結婚生活を見つめ返す。 読後感はあま...

2歳の娘を持つ専業主婦の主人公は、刑事事件の補欠裁判員に選ばれてしまう。補欠とは言え、毎日審理に出席するため義父母の家に娘を預け、帰りは迎えに行くこととなる。 赤ん坊を風呂に沈めて死なせた母親の裁判と関わるうちに自身を被告人に投影し、今までの結婚生活を見つめ返す。 読後感はあまり良くないし、主人公に共感もしづらい。が、こういう人もいるんだろうなと思う。 主人公や被告人の夫のように悪気の有り無しに関わらず人を傷つけることに無神経な人は大勢いて、そういう人に限って頭も硬いから自己肯定感が低い人は追い詰められていく。それはやはり減点法である日本の子育てでは自己肯定感なんか身につくものではない。そこを根本的に解決していかないと、虐待は増加する一方だと思うし、ましてやグローバルリーダーなんて出てくるわけもないと思う。

Posted byブクログ

2022/11/11

暗く重たい内容で読んでて苦しくなるけど、こういうリアルな人間関係とかその間の心理とかこんな細かく描けるひとなかなかいない やっぱり角田光代の本好きだなーって思いながら読んでた 幼児をお湯の張ってある風呂に落として殺した主婦の裁判員裁判官の補欠に選ばれて裁判に参加してるうちにその...

暗く重たい内容で読んでて苦しくなるけど、こういうリアルな人間関係とかその間の心理とかこんな細かく描けるひとなかなかいない やっぱり角田光代の本好きだなーって思いながら読んでた 幼児をお湯の張ってある風呂に落として殺した主婦の裁判員裁判官の補欠に選ばれて裁判に参加してるうちにその主婦と自分を重ね合わせて今まで気がつかなかった夫への思いとかに気がついてしまう主婦のりさこの話 夫のチクチク嫌味も娘のイヤイヤ期も義親の対応も全部最悪とも思えるしりさこのただの被害妄想とも取れる また子供を産むのが怖いという思いが強くなった 角田光代の本はこういう親子がうまく行ってない話が多いから子供を産み育てることに夢を持ちにくくなる、笑

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2022/10/23

浴槽に落として子を殺してしまった母親の裁判に参加するうちに、その母親と自分を重ね合わせて行ってしまう主人公の話。 重たい。事件もだし、同じように子を持つ自分に重ね合わせていくその過程が。自分が気づかなかった違和感、日常に澱のように沈んでいた不安がだんだん明確になって行きます。その...

浴槽に落として子を殺してしまった母親の裁判に参加するうちに、その母親と自分を重ね合わせて行ってしまう主人公の話。 重たい。事件もだし、同じように子を持つ自分に重ね合わせていくその過程が。自分が気づかなかった違和感、日常に澱のように沈んでいた不安がだんだん明確になって行きます。その不安はもしかしたら子育てをする中、夫婦生活の中で感じたことがある人もいるかもしれない。リアルでした。 被告人の母親に自分を重ねて見てるだけなのか、自分はおかしくなってしまったのか。この裁判を通してこの主人公はどいうい選択をするのか、どう変わっていくのか、途中から気になり、でも先が読めず....。物語のラストの先も気になりました。なんとも言えず重厚な読後感でした。

Posted byブクログ

2022/09/13

毒親、モラハラ、ネグレクト、虐待、現代の嫌なところ少しずつ含んでて苦しかった。結婚して子供できてって世間一般に幸せといえるものの中に潜む、誰しも陥る日常のドロッとした部分良い。繊細な人というか、優しい人の内面の書き方すごく良い。

Posted byブクログ

2022/07/20

また凄い本を読んでしまいました。 「八日目の蝉」はずいぶんと前に読んでいますが、そこにも蝉がでてきました。 ここでも。 あまりのことが起こると、 フリーズしてしまう。 蝉の声だけが聞こえてくる。 強烈なイメージとして訴えかけてきます。 そもそも、なぜそのようなことを言うのか、...

また凄い本を読んでしまいました。 「八日目の蝉」はずいぶんと前に読んでいますが、そこにも蝉がでてきました。 ここでも。 あまりのことが起こると、 フリーズしてしまう。 蝉の声だけが聞こえてくる。 強烈なイメージとして訴えかけてきます。 そもそも、なぜそのようなことを言うのか、言われたのか。 改めて振り返れば理由はそのとおり。 言った本人も気づかない深層心理を読み解いていくと、判決とは異なる結果が導き出されます。違うのです。 そして、里沙子の分析は恐らく正しい。 現実社会と、それを明らかにできない、わかってもらえないもどかしさ。 なんて難しいのでしょう(この本が、ではないです。この本はわかりやすいです。とっても。)。 +++ 別の本で読んだ内容で: 人は目、耳、皮膚、。。。を持っていて、それがセンサーとなっている。センサーから渡ってくる情報をもとに、目の前の出来事を現実のように捉えているだけだ。 そう、センサーからの情報を分析して頭の中に投影しているだけ。 言い換えると、違うセンサーで見るなら(例えば蝙蝠の耳とか、蝶の舌とか)、私たちと違った世界が見えるはずである。もっと言うなら、隣の人が見ている世界は、実は違うものかもしれない。投影像が、ではなく実世界が、です。 目の前に机がある、というのもただの投影。世界だってあなたの頭の中に投影されたもの。隣の人の世界は別の投影だ。机は存在しないかもしれない。 世界は、頭の中にが投影されているだけだ。 もっというと、時間だって一つの軸にすぎない。 違う時空も捉え方ひとつで見えてくるし、そうして現れ、消えて見えたのが過去の文明であり、外から来た人たちである。 物のとらえ方、概念がとにかく違うのである。 といったような本でした・・・ ちょっと似ている、と思ったりして。 本書の内容も、実際に起きたことと違う結論(=判決)になっていて、途中で自分はどこか違う世界に飛んでしまう(それが蝉なのかもしれないな~)、だからありそう、と感じたのでした。蝉とつながった世界に、違う世界があってそこに飛びたかったのかもしれない。飛躍しすぎかな? 科学で説明できないことはまだまだありますよね。

Posted byブクログ