アカガミ の商品レビュー
(2024年2月8日の感想。テスト期間真っ只中、駅の待合室にて。) 英語圏文学演習のレポートのために急遽買って読んだ本。 「性」から離れて「生」からも離れる若者。国が用意するお見合いシステム。「アカガミ」に「志願」する「勇気ある者」。使われる言葉は胡散臭いのにそれに全然気づけなか...
(2024年2月8日の感想。テスト期間真っ只中、駅の待合室にて。) 英語圏文学演習のレポートのために急遽買って読んだ本。 「性」から離れて「生」からも離れる若者。国が用意するお見合いシステム。「アカガミ」に「志願」する「勇気ある者」。使われる言葉は胡散臭いのにそれに全然気づけなかった。どこか他人事ではない気がして、たかがフィクションだと一蹴できなくて。 私は万年片思い女なので家族以外の人と手を繋いだことすらない、喪女予備軍。「性」からは確実に離れていると感じる。気持ち悪い。人間も動物なんだなって強制的に感じて、とにかく気持ち悪い。私だって親のそういう行為の末に生まれたわけだけど、時々ゾッとする。本当にとにかく気持ち悪い。経験がないから感じるのかもしれないけど、やっぱり気持ち悪い。 村田沙耶香も割と性行為がタブー視される世界描きがちだよね。だから好きなんだと思う。 面白いなって思ったのは、ミツキがサツキの存在を重しだと感じるところ。朝井リョウ『正欲』にも書いてあったの、相手の存在が私をこの世にとどめる重石のように感じるって。私もいつか誰かの存在を重石のように感じたい。じゃないと多分ふらっと死んじゃう気がする。もういっか〜とか言って。 ミツキとサツキが互いに寄り添っていく過程、個と個だったのが少しずつ混じりあっていくのはいいなぁと思った。私だって別に好きでひとりでいるわけじゃなくて、いやひとりでいるのが好きなんだけど、それでも好きだと思う人と付き合えたらと夢みたことはある。だけど毎回片思いのまま、実らない恋心をそっとしまうのです。いつか実るといいなと思いながら、捨てずに大事に抱える恋心、いつか、いつか、捨てなくてよかったと思えますように。
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近い将来、このような未来が待っているのかなと思いながら読んでいた。初期の頃の2人の様子が微笑ましい。そして、なんだったのだろうという読後感。どう帰結するのか気になり、一気に読んだ。
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読み進めるにつれて、これは何かとんでもないことが起きるのでは…とハラハラした! ラストの衝撃といったら… やっぱり窪美澄先生の作品は好きだ
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アカガミは国が少子化対策として打ち出した制度。利用者はアカガミが用意した団地で生活する間は生活が保障される。そして、アカガミを通して生まれた子供は国のものになる。初めから嫌な予感はしていたけど、国が子供を増やすための効率的な制度だった。今の時代はお節介おばさんやお見合いも無くなっているので、このような制度があることは子供を増やす上で効率的だと思う。しかし、それは国としてメリットがあるだけで、1個人としては自由恋愛から自分の意思で相手を選び結婚して子供を授かりたい。初めて読む小説テーマだったので、作品として面白いと感じた。
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惹き込まれた。ミステリーみたい。現代の若者の考え方や生き方、現代社会に警鐘を鳴らしているように読み取れる作品。 好きだ。ラストがあいまいだけれど、読者に委ねられる感じが好きだ。 不穏な空気が流れるあたりからがたまらない。
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第二次大戦下のナチス優生学に近い背景を連想しました。少し考えさせられる面はありましたが、救いがなく面白くはなかったです
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
窪先生ってホラーも描けるんだと思った。 伏線回収とエンドでの衝撃。 1人で生きることを選択できる時代が、選択せざるを得ない時代が、自分たちの年齢から多くなっているのは感じる。 だからこそ、結婚とか出産とか、なんかわかるなぁって事たくさんあった。
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終わり方があやふやだからこその この評価(2寄りの3)なんだけど、初めて読んだ時もだけどなんかずっと頭から離れないんだよ…。 理想郷と思いきや、暗黒世界。 多分ハッピーエンド。 初めて読んだのが5年前だから、 2030年はまだまだ先という気持ちだったけど、 あと7年経てばこんな日...
終わり方があやふやだからこその この評価(2寄りの3)なんだけど、初めて読んだ時もだけどなんかずっと頭から離れないんだよ…。 理想郷と思いきや、暗黒世界。 多分ハッピーエンド。 初めて読んだのが5年前だから、 2030年はまだまだ先という気持ちだったけど、 あと7年経てばこんな日本に世界になってるのかもしれない。 興味ってどんどんなくなるばかり。
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若者の多くが、恋愛や結婚、子育て等を望む事が希薄となっている、近未来、日本。 若者達は、一人で生きることを選択して、未来への閉塞感からか自殺が増加している。 国は、“アカガミ”という、ほぼ出産を目的としたお見合いシステムを政策として作り上げていた。 SF的なお話ではあるけれど、マ...
若者の多くが、恋愛や結婚、子育て等を望む事が希薄となっている、近未来、日本。 若者達は、一人で生きることを選択して、未来への閉塞感からか自殺が増加している。 国は、“アカガミ”という、ほぼ出産を目的としたお見合いシステムを政策として作り上げていた。 SF的なお話ではあるけれど、マッチングされてからの男女は、恋愛に不慣れな見慣れた構図のようだ。一緒に暮らす事から、情が生まれ家族の片鱗をうかがわせる。 「アカガミ」のシステムは、問題のない男女から問題のない子供の出産を目的としているところに異常さがある。そこから外れれば、潔く放出する。ラストはリドルストーリー的。そのシステムから逃れた方が、おそらく人として幸せを得そうだということ。まあ、現状日本を誇張しているようなところが怖いでしょうか。
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こんなにいい待遇でどんな結末が待っているのだろうと怖さを感じながら読んでいたら、驚愕のラストだった。 アカガミの子にならなくてよかったとサツキと同じように安心した。
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