元年春之祭 の商品レビュー
前漢時代,地方に引っ込んだ元貴族の一家に起こる連続殺人! 2度犯人は誰だ?と読者への挑戦があり,残念ながらわからなかった. 主人と召使いの悲しいすれ違いが生んだ悲劇.動機が悲しすぎる.
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中国ミステリーということで若干の不安もあったものの そんなに違和感なくミステリーとして読めた点は良かった。 漢詩が多く出てくるのでそこで戸惑うこともあると思うけど 一番難しいのは舞台となっている前漢時代の ものの考え方・価値観を理解することかもしれない。 自分にはそこが一番き...
中国ミステリーということで若干の不安もあったものの そんなに違和感なくミステリーとして読めた点は良かった。 漢詩が多く出てくるのでそこで戸惑うこともあると思うけど 一番難しいのは舞台となっている前漢時代の ものの考え方・価値観を理解することかもしれない。 自分にはそこが一番きつかった。
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うーん、面白いのかなぁ。多分著者は自分が好きなジャンルのキャラクターを書き込んで、楽しめているんだろうけれど、そこに同調できるものが無い自分には今ひとつ響かず。
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中華ミステリ、というのは初めてだったんだけど、 わりと面白かった。 舞台は古の中国(前漢時代)、主な登場人物は10代の少女たち、といった風変りな設定。過去に起きた凄惨な殺人事件、および目の前で繰り広げられる連続殺人事件、これに主人公の葵(き)という17歳少女が立ち向かう。 中...
中華ミステリ、というのは初めてだったんだけど、 わりと面白かった。 舞台は古の中国(前漢時代)、主な登場人物は10代の少女たち、といった風変りな設定。過去に起きた凄惨な殺人事件、および目の前で繰り広げられる連続殺人事件、これに主人公の葵(き)という17歳少女が立ち向かう。 中国の古典の引用があり、それらの知識がない自分には多少の読みづらさを感じるところはあったが、およそのことがつかめればついていける。後半はことの真相が気になり、一気に読まずにはいられなかった。3分の2まで読めれば、あとは自然と読み進めてしまう。 著者の陸秋槎(りくしゅうさ)は中国出身の若手、現在は金沢市に住んでいるという。日本のミステリ作品に影響を受け、この作品も手がけたそうだ。時代を古代の中国に設定したあたり、なかなか斬新、おすすめの一冊。
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いい運動になった。 頭の。 そして読後感はといえば、心地よくもなかなかの疲労感である。 舞台は前漢、紀元前100年の、雲夢である。 まず登場するのは、於陵葵。 そして、観露申。 うむ。読み方がわからない。そして男か女かもわからない。 「翻訳ものは人物名に馴染みがなくてややこし...
いい運動になった。 頭の。 そして読後感はといえば、心地よくもなかなかの疲労感である。 舞台は前漢、紀元前100年の、雲夢である。 まず登場するのは、於陵葵。 そして、観露申。 うむ。読み方がわからない。そして男か女かもわからない。 「翻訳ものは人物名に馴染みがなくてややこしい」という声はままあるが、 久しぶりに実感することになってしまった。 人物表は冒頭にある。読みはふりがながふってある。家系図まである。 しかし、家系図の順と人物表の順がそろっていないので、ややこしい。 これまた久しぶりにメモを書いて整理する。 やたら漢籍の引用が出てくるが、そこは3割くらい読めれば十分だ。 理解しよう、ましてや納得しようなどとは思うなかれ。 そういう世界感のファンタジーでも読んでいるつもりでいい。 そんなところに頭をつかっている余力はない。 これはミステリーだからだ。 聞けば著者は日本の本格推理小説や、サブカルチャーに触れて、作家になったという。 なるほど、展開は、読者への挑戦まであるゴリゴリの本格仕様だ。 2000年以上も前の人間が、こんなに合理的で理性的な思考を持つかなあとか、 やたら少女達のじゃれ合いが暴力的だなあとか、 読む間に浮かんだそんな疑問は、サブカルチャーからの影響だろう。 アニメーションの画面でイメージすれば、腑にも落ちる。 いわば、 『後宮小説』(酒見賢一)や、『十二国記』(小野不由美)のアニメーションで、 本格推理小説。 繰り返す。 漢籍の引用におののくなかれ。 そこでひるんではもったいない。 久しぶりに頭を酷使する、よい読書だった。
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初めて中国人作家のミステリーを読んだ。漢字が多すぎてついていけないところもあったり、主人公が侍女を虐待する場面もあってなかなか共感できなかったが物語の最後で主人公の思いがあかされるところでほっとした。ほろ苦い以上の結末で、陸氏の次の作品が読みたいと思った。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
漢詩、漢籍の教養を試されるという意味では衒学的だ。このポイントで熱狂するひとは少なからずいるだろう。 だが私が最も評価するのは、 「その時代ならではの人間心理に基づいて展開された本格ミステリ」 という点である。文句なしに星5をつけたい。 本格ミステリと言って、アガサ・クリスティの作品を挙げれば、たいていの人の異議は無いだろう。 では彼女が描き愛したビクトリア朝の世界において、本当にものを考え、煩悶し、結果として殺人という罪にすら手を染めるのは、誰か? ほぼほぼ決まって支配階級の人間である。 執事や料理人、他の使用人階級は、現代人の我々が論理をもって考えるといかようにも怪しめるのに、犯人とはならないことが大半である。 挑発的な言い方をすれば、 「クリスティ的時代の価値観、人間観においては、使用人とは作中に人生の舞台を持たない生き物」 と定義づけることも可能であろう。 その一方、本作は前漢の時代。四書五経が当然の教養として引かれて論じられ、人々の精神的バックボーンのひとつは経。そしてもう一つは、信仰である。 この二つを損なっては、人は単にモノ言う獣も同然、形こそ人であれど、とみなされるような世界。 『この時代のひとに相応しい世界観、倫理観、そしてその年齢のひとに相応しい限界も備えた』 各キャラクターを造形し、物語を動かしていったら、チェスにおける詰みが現れてくるように、鮮やかに真相があらわれ得る。全ての論理を組み立てる素材は、まことに序盤のうちから読者に提供されており、また考えることが可能であった。 本格ミステリと言うにふさわしい、と評する理由はまさにこの点にある。 評者はエラリー・クイーンのよくやる『読者への挑戦』を、一考はしてみても、話の続きを読むこと優先で、決して正解したことがない。推理ファンとしてはまあ落第生なのだが、作者の手により明かされる真相を楽しむ、という点では、及第をもらえよう。 本作は、自身の生まれもった性別と才覚の齟齬に悩んだことのある女性には、心のささくれを撫でられる思いで読める。 実に味わい深い時代小説でもあるので、漢文は苦手と思っている人には、 「そこはすっとばして読んでも大丈夫」 とオススメしたい。 アニメ的な少女の描写について言及するレビューもある。「そういうのに慣れてる」ひとからすれば、特段の意を向けるレベルではない。 「こういう描写を多用する作者が見てたアニメ作品って……?」 そこは気になるといえば、なる。だが大陸におけるジャパニメーションの受容は、また別の文脈であろう。 『前漢時代の少女がどういう情動を覚え、どんな行動をとったと描写されるか』なんて、80-90年代のジャパニメーションのノリと同じくらい『現実感がない』。もう「そういうノリで生きてただろうキャラ」として納得するほうがいい。 『三国志演義』のたいへん豊かなバリエーション展開(注:表現を婉曲にしています)をもつ日本の漫画・アニメ・ゲーム文化を楽しめるひとが、アニメ的な少女の描写ごときで作品評価を左右するのも、理の通らない話ではないだろうか?
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びっくりするくらい面白いと思えない本だった。序盤に感じる「止めた方がよいかも」という勘には従った方が良いと改めて思った。 読むべき人が読めば面白い本だと思うので,私の問題なのだけど,こういう本だということを事前に知っておきたかった。
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初めて読んだ中国作家のミステリ作品。紀元前の漢の時代を舞台に殺人事件を解決する。漢詩が多用されており、詳しくない人はそこで読むのを諦めてしまうかもしれないが、それは勿体無い。漢詩の部分は中国文化を楽しむエッセンスと捉え、それほど気にしないで謎解きに集中すれば良い。 東洋的なミス...
初めて読んだ中国作家のミステリ作品。紀元前の漢の時代を舞台に殺人事件を解決する。漢詩が多用されており、詳しくない人はそこで読むのを諦めてしまうかもしれないが、それは勿体無い。漢詩の部分は中国文化を楽しむエッセンスと捉え、それほど気にしないで謎解きに集中すれば良い。 東洋的なミステリ作品であり、欧米諸国の方々には理解しにくい概念もありそうだ。これを日本語で読めて理解できる幸せがあった。読者への挑戦が2つ用意されており、絶対に犯人を指摘してやると思うものの、なんとなく犯人は想像つくが動機やトリックを看破するまではいかなかった。まあ、私の実力といってしまえばそれまでなのだけど。
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時代背景や引用される数々の漢籍…。そこから醸し出されるこの作品の世界観が目新しい。ただ…それだけかもしれない…。
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