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元年春之祭 の商品レビュー

3.1

60件のお客様レビュー

  1. 5つ

    8

  2. 4つ

    11

  3. 3つ

    16

  4. 2つ

    8

  5. 1つ

    6

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2021/06/30

推理小説ということで読み始めたが、どちらかというと中国古典の解釈や漢詩を楽しむ本であった。楚の雲夢が舞台ということで屈原に関しての記述が多く、その他古典からの引用もたくさんあり、中国の思想に関心があれば読んでいると楽しいと思う。ちょっと主人公の性格がキツくて、個人的には好きになれ...

推理小説ということで読み始めたが、どちらかというと中国古典の解釈や漢詩を楽しむ本であった。楚の雲夢が舞台ということで屈原に関しての記述が多く、その他古典からの引用もたくさんあり、中国の思想に関心があれば読んでいると楽しいと思う。ちょっと主人公の性格がキツくて、個人的には好きになれなかった。

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2021/04/11

最近話題の華文ミステリの一作。やはり人物名が覚えにくいのがつらいところ。更には推理小説ではよくある衒学要素として、膨大な漢文が引用されているのでもう大変。正直序盤は全く入り込めなかったが、後半になると少しは慣れてきて楽しめた。ミステリとしては意外性もあり、特にホワイダニットが見も...

最近話題の華文ミステリの一作。やはり人物名が覚えにくいのがつらいところ。更には推理小説ではよくある衒学要素として、膨大な漢文が引用されているのでもう大変。正直序盤は全く入り込めなかったが、後半になると少しは慣れてきて楽しめた。ミステリとしては意外性もあり、特にホワイダニットが見もの。なかなか読むのが難儀な本だが、華文ミステリに興味があるのならぜひ手にとって欲しい。

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2021/03/22

ミステリ史上に残る前代未聞の動機とは何か?この文章に惹かれて読む。中国古典が多用されていて、前半は些か辟易しながら読み進めるうちに、後半で待望の事件解明の段に入ってからは一気に読み終える。人里離れた山中で一族のみで閉鎖的に暮らす観一族、過去に凄惨な未解決事件を抱える。そこに豪族の...

ミステリ史上に残る前代未聞の動機とは何か?この文章に惹かれて読む。中国古典が多用されていて、前半は些か辟易しながら読み進めるうちに、後半で待望の事件解明の段に入ってからは一気に読み終える。人里離れた山中で一族のみで閉鎖的に暮らす観一族、過去に凄惨な未解決事件を抱える。そこに豪族の娘、於陵葵(おりょうき)が侍女(小休)を伴い訪れる。観一族の娘、観露申(かんろしん)と共に新たな連続殺人事件に関わっていく。中国古典の難解な文章が引用されながら、巫女という宿命を負う者達の生き様が事件の背景として暗く淀む。事件の真相が明らかになる過程は読み応えがあり。冒頭の動機へと繋がっていくが、一般人には理解が難しい。

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2021/02/21

残念な感じ。 紀元前2世紀頃の初期の漢では、まだ春秋戦国時代の名残りを残し、「楚」や「斉」の民の遺恨のドラマを匂わす物語かなと、勝手に思ってた。 漢詩や古典からの引用に違和感は無く、かえってこの時代の雰囲気を盛り立てるから、嫌いではない。 でも… 私は「読者への挑戦」のあ...

残念な感じ。 紀元前2世紀頃の初期の漢では、まだ春秋戦国時代の名残りを残し、「楚」や「斉」の民の遺恨のドラマを匂わす物語かなと、勝手に思ってた。 漢詩や古典からの引用に違和感は無く、かえってこの時代の雰囲気を盛り立てるから、嫌いではない。 でも… 私は「読者への挑戦」のある推理小説は、好みではない。物語への没入感がプツッと途切れてしまうから…。 また、何故、葵の性格をここまでひどく描く必要があったのか、犯人の動機を何故そうしたか……理解できない。 いったい作者は、なにを描きたかったのか…………。 あと…人が死にすぎ…

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2021/01/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ええーーー…ひたすらに露申がかわいそう…本当に葵と行って後悔しない?小休の自己犠牲は理屈の上ではわかるけどとても受け入れがたく、漫画とかならメリバになったかもしれないけど、あれだけの深い知識を冷静にちりばめながらこの頭のネジ外れた動機の落差に動揺したし、とにかく私は葵が嫌だったから引いてしまった。 わかんないよ…葵の良さを誰か教えてよ…絶対友達にいてほしくないんだけど 他人が辛いと言ってる話を遮って、世の中にはもっと不幸なことがあるの、つって自分の事言い出したところから既に嫌い

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2020/12/19

中国の歴史文化や漢文、漢詩に 明るい人だともっと楽しめたかな。 失礼して、そのあたりの文章は 結構すっとばして読みました。 残ったミステリ部分はおもしろかったけど こんな名探偵はワトソン役の露申じゃなくても 友達になりたくありません…。

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2020/12/10

いま大注目の華文ミステリ。その急先鋒である陸秋槎さんの話題作『元年春之祭』を読了。分量はさほどでもないのに、かなり手こずった。 舞台は前漢時代。2000年以上も前の中国。ここまで歴史を遡るミステリもめずらしい。そして、本書の探偵役は巫女の少女である。作者の陸さん自身、漢籍を専門...

いま大注目の華文ミステリ。その急先鋒である陸秋槎さんの話題作『元年春之祭』を読了。分量はさほどでもないのに、かなり手こずった。 舞台は前漢時代。2000年以上も前の中国。ここまで歴史を遡るミステリもめずらしい。そして、本書の探偵役は巫女の少女である。作者の陸さん自身、漢籍を専門に学ばれただけあって、いにしえの漢籍の名文が随所に引用され、儒家や法家をはじめ、中国が誇る古典哲学が展開される。京極堂シリーズ等、日本のミステリにも見られる衒学的なミステリが好きな人にはたまらないだろう。 他の華文ミステリの作家と同じく、陸さんも日本の新本格ミステリからの影響を公言してはばからない。島田荘司、綾辻行人、有栖川有栖、法月倫太郎、麻耶雄嵩…。同じく彼らの作品に耽溺してきた者として嬉しい限り。極め付けは、エラリイ・クイーンよろしく、解答編の前に挟まれた「読者への挑戦状」である。これ、やりたかったんだろうなぁ。 陸さんによると本書は、かつての新本格と同じく、人間が描けていないとの批判を受けたそうだ(個人的には新本格派が人物を描けていないとは思わないけど)。ただ本書の場合、描けていないというよりも、登場人物の言動の触れ幅が大き過ぎて、首尾一貫せず、崩壊しているという印象。そもそも、キャラクタを描きたいのであって、人物を描くということにはさほど重きを置いていないのではないかという気はする。読者を選ぶ作品であることは確かで、私はやや苦手より。ただ、別の作品も読んでみたいと思わせられた。華文ミステリ要チェック!

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2020/10/20

古代中国が舞台のミステリ。 名家で殺人事件が起こり、滞在していた利発な娘が推理することに。 前漢時代の中国。 かっては楚という国の狩り場があった地方。 国の祭祀を担った名門の観一族は、今はあまり表には出ない。それでも春の祭儀の準備は怠りなかった。 ところが当主の妹が殺され、犯人...

古代中国が舞台のミステリ。 名家で殺人事件が起こり、滞在していた利発な娘が推理することに。 前漢時代の中国。 かっては楚という国の狩り場があった地方。 国の祭祀を担った名門の観一族は、今はあまり表には出ない。それでも春の祭儀の準備は怠りなかった。 ところが当主の妹が殺され、犯人が全くわからない、ありえない状況だったのです。 於陵葵(おりょうき)は、豪族の娘で、都から伝統ある祭祀の見学に来ていました。 才気あふれる勝気な娘で、観一族の少女とも何かと火花を散らすが、大人たちとも対等に渡り合って論じる。 じつは四年前にも、前当主一家が惨殺される事件があった… 読者への挑戦状も挟んだ構成の本格ミステリです。 作者は古典の専門家で、繰り出される漢籍や宗教論など、ついていけなくなりそうだが、本筋に影響がある部分には何とか食らいついて読みました。 中国歴史ドラマをいくつか見ているので、楚という国や屈原という人物は知っているし、漢の時代の衣装なども大体は思い浮かびます。 日本なら弥生時代という紀元前に、このような文化がすでにあるという。 一方で、ある意味ドラマで見る昔の中国の滅茶苦茶ささみたいなものも感じるけど~見ている人にしかわからないかなぁ?(笑) わかりやすくいうなら… 暗い部分もあるが濃くて、喜怒哀楽が激しくドラマチック? 古代中国となると、中国人にはある程度まで常識でも、日本人で理解の範囲が広い人は限られるかも。 ただ、モチーフはともかく、雰囲気や筋立ては、意外と日本人になじみのある世界。 新本格派を読み込んできた作家さんなのだろうと思わせるし、ラノベやアニメの影響もありそう。 この作品で受賞後は日本に住んでいるというのには驚きましたが、そういうことだったのかと。 気鋭の中国作家の変わった味わいを楽しませてもらいました。

Posted byブクログ

2020/09/22

陸秋槎『元年春之祭』読了。 前漢の時代に楚の地を舞台に、土地の名家の凡庸な少女と長安から来た天才少女が出会い友情を育み… から一転して畳みかける圧倒的に濃密な"関係性"の物語。 楚の祭礼を巡る謎(作者は復旦大学修士の漢籍の専門家)と連続殺人事件の謎解きがオーバ...

陸秋槎『元年春之祭』読了。 前漢の時代に楚の地を舞台に、土地の名家の凡庸な少女と長安から来た天才少女が出会い友情を育み… から一転して畳みかける圧倒的に濃密な"関係性"の物語。 楚の祭礼を巡る謎(作者は復旦大学修士の漢籍の専門家)と連続殺人事件の謎解きがオーバーラップする展開も見事なのだけれども、それとともに吹き荒れる巨大な感情の嵐の業の深さに畏敬の念を禁じ得ない。 もはや華文ミステリ、SFを代表する作家となった陸秋槎、他の作品も順次追いかけたい

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2020/07/07

一家殺害という過去の事件、そして現在で巻き起こる殺人事件を紐解いていく。 中国文学・歴史に疎いので、多種多様な書物からの引用や問答は正直理解が至らず… トリックや過去と現在の関係など、端々は本格ミステリーの匂いも感じさせるが、 何より少女たちの関係がかなりSMというか…過激過...

一家殺害という過去の事件、そして現在で巻き起こる殺人事件を紐解いていく。 中国文学・歴史に疎いので、多種多様な書物からの引用や問答は正直理解が至らず… トリックや過去と現在の関係など、端々は本格ミステリーの匂いも感じさせるが、 何より少女たちの関係がかなりSMというか…過激過ぎて、そちらの方が圧倒的に印象に残ってしまう。 あとがきで日本のライトノベル・ミステリーに感化された旨が記載されていたが、日本のものより過激に感じた。何より、中国にミステリーの文学賞等がないということに驚いた。

Posted byブクログ