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国宝(下) の商品レビュー

4.4

115件のお客様レビュー

  1. 5つ

    55

  2. 4つ

    40

  3. 3つ

    8

  4. 2つ

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2019/05/14

人間国宝になった歌舞伎役者の生涯を描く長編。随所に吉田修一らしい心理描写があったが、時系列をなぞっているだけ感が少しする。もっと長編にして、各エピソードを掘り下げても良かった。でも十分楽しめる。

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2019/05/12
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波乱万丈の喜久雄と俊介の人生にページをめくる手が止められなかった。新聞連載で読んでいたら、明日が待ち遠しくてもどかしかったに違いない。 万菊のような亡くなり方がかわいそうだとは思わない。誰にも看取られない亡くなり方は不憫かもしれないけれど、死ぬ間際に好きなように過ごせたのならそれは本望な気がする。周りに迷惑をかけていいわけではないけれど。

Posted byブクログ

2019/05/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

終わってみればやはり感動がさざ波のように押し寄せる(高波ではないところが残念だけど)。 任侠の世界に生まれながら、父を殺されたあとは歌舞伎役者に預けられ、類稀なる美貌と、天賦の才を見込まれ歌舞伎役者としての道を歩み始める立花喜久雄。 歌舞伎に取りつかれ歌舞伎そのものになっていく喜久雄の、波乱万丈というありきたりな言葉ではどうにも薄っぺらくて表現し得ないと思わせる人生。 残念なのは講談のような軽~い語り口。だからこそ目の前に情景が立ち上がってくるといえばそうなんだけど、なんだか大河ドラマというよりは朝ドラを見ているかのような軽妙さが私の気に入らない(←朝ドラ嫌い)。 最後まで読めば、この語り部こそがラストで歌舞伎座を上から俯瞰する「歌舞伎の神様」的な存在だと気づいて納得なのだけど。 喜久雄の人生を中学生から70代まで追いながら差し挟まれる歌舞伎の演目の情景描写。そちらを微に入り細に穿つためか、喜久雄の人生がカタログ的に上滑りして一行の余白で突然、数年飛ぶあたりが残念でならない。 上下2段の上下巻あたりで、喜久雄の内面の葛藤や苦悩を重厚に描いてくれれば、間違いなく今年一番の大河小説と呼べるのに~というのが正直なところ。 でも、そしたら読者は確実に減るんだろうね~

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2019/05/06

順番の所為で下巻から読むことになってしまったけど、それでもたいへん面白かった❗ この年齢になっても歌舞伎のカの字も知らない私ですけど、歌舞伎世界にのめり込みそうになります♪ よくもまあ こんな題材を提供してくれたものだ 笑。しかも終始 引き締まった展開で息をも付かせないので、ぐい...

順番の所為で下巻から読むことになってしまったけど、それでもたいへん面白かった❗ この年齢になっても歌舞伎のカの字も知らない私ですけど、歌舞伎世界にのめり込みそうになります♪ よくもまあ こんな題材を提供してくれたものだ 笑。しかも終始 引き締まった展開で息をも付かせないので、ぐいぐい引き込まれてしまいました。令和元年10連休の締めに相応しい素晴らしい本だった!大満足でした。

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2019/05/05

極道の家に生まれた男が、人生の荒波に揉まれながら、当代一の女形歌舞伎役者として極致に至る一代記。 吉田修一の多彩さが感じられる一方、極道の描き方などは『長崎乱楽坂』の原点に立ち戻ったかのような感慨も覚える。 活弁士調のわかりやすく解説的な文体が特徴的で、自分のような歌舞伎素人で...

極道の家に生まれた男が、人生の荒波に揉まれながら、当代一の女形歌舞伎役者として極致に至る一代記。 吉田修一の多彩さが感じられる一方、極道の描き方などは『長崎乱楽坂』の原点に立ち戻ったかのような感慨も覚える。 活弁士調のわかりやすく解説的な文体が特徴的で、自分のような歌舞伎素人でもストレスなく読み進めることができるが、歌舞伎に関する描写の良し悪しは判断が難しい。 ただ、少年時代の主人公が厳しく稽古をつけられる場面で、肩甲骨で身体の動きを憶えろと師匠から言われる件りは印象深い。 一方で、戦後日本社会の変遷を描く年代記的な一面も持つ小説であり、特に、歌舞伎界と裏社会の関係、或いはマスコミとの関係などはリアリティがあり、確固たるモデルがいるわけではないだろうが、今大御所となっている俳優やタレントも、かつてはこのような道を辿って芸能の世界を上り詰めていったのだろうな、などと想像を掻き立てられる。

Posted byブクログ

2021/09/20

「三代目」「半二郎」の掛け声が聞こえ、鳥屋揚幕の金輪がシャリンと鳴り、舞台に立つ花井半二郎の艶やかな姿も見えるようだ。 歌舞伎の華やかな舞台裏の、見えないところにいる人たちの思いも知りたくなった。興味は尽きない。

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2019/04/18

群を抜いて、ここ1番の本だった。この小説を読んでいられれば、食事しなくても他に何もしなくても幸せだと感じた。悲しみや、幸福感、美しい世界観。歌舞伎に興味が無かったのに、この日本の長きに渡る美しい芸術は、後世に残していかなければならない日本の宝なんだと思った。

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2019/04/11

もう下巻は読むのが止まらず一気読みとなってしまった。何故これが本屋大賞でないのだ、候補作10作のどれよりも素晴らしかった。多分女性本屋店員が多いせいで、封建の世の如し梨園の女性の扱いがお気に召さなかったのだろうか、しかし芸術の世界とはそういう理不尽が付き纏いそれとパトロン贔屓筋は...

もう下巻は読むのが止まらず一気読みとなってしまった。何故これが本屋大賞でないのだ、候補作10作のどれよりも素晴らしかった。多分女性本屋店員が多いせいで、封建の世の如し梨園の女性の扱いがお気に召さなかったのだろうか、しかし芸術の世界とはそういう理不尽が付き纏いそれとパトロン贔屓筋は欠かせないものなのだ。これは絶対映像化してもらいたい、映画では一本に収まり切れそうもないので「昭和元禄落語心中」のような形でNHKでお願いしたい。

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2019/04/05

とても素晴らしい作品だった。歌舞伎の喜久雄の世界に引き込まれた。最後生きて徳次に会えてたらいいな。何かを極める生き方は素敵だ。復讐はなかった。あの場でありがとうと思えるほど芸に打ち込んでいたのだろう。歌舞伎を少し勉強したいと思った

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2019/03/21

伝統芸能は代を繋ぐこと自体がとても大切である一方で最も難しく、厳しいことだと思う。まして、芸をさらに深く掘り下げ、極めていくその様は単にストイックという言葉では言い切れない。むしろ壮絶といった方がいいかもしれない。 人それぞれ出自があるが、それは自分の意志では決められない。しか...

伝統芸能は代を繋ぐこと自体がとても大切である一方で最も難しく、厳しいことだと思う。まして、芸をさらに深く掘り下げ、極めていくその様は単にストイックという言葉では言い切れない。むしろ壮絶といった方がいいかもしれない。 人それぞれ出自があるが、それは自分の意志では決められない。しかし、その後の生き方は自分で決める事ができる。 只々正直に自分の役目を全うしようとする三代目花井半次郎の生き様が美しい。

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