王とサーカス の商品レビュー
最初の方は少し長いなと思った。誰かの悲しみをサーカスにすることから逃れられると言うセリフが印象的だった。ジャーナリズムの在り方を考えさせられると感じた。
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ネパールの情景を事細かに描くことで、物語に臨場感を出すとともに、推理の糸口となる伏線を見事に隠していると感じました。 そして最後の謎が明らかになって行く中で、二転三転と答えが揺れ、顕になって行く結末には、驚きと感動を感じました。 主人公が記者の在り方について苦悩しながらも結論を出し、自身の信念を持って行動することで、最後の結末に辿り着けた様に思います。 単純なトリックやミステリーだけではない素晴らしい作品でした。
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一人の人間が、信念をみつけるお話。 異国の土地へ単身おもむき、国籍の違う、価値観が違う様々な年齢の人達と対峙したことで、自分の軸に気づく。 見た目で人を決めつけるな。 職業、国籍、年齢で人は人を判断しようとする。 しかし、目に見えるものが全てでは無い。 自分が許せないものはなにか。 自分の軸とは、なにか。 軸に気づけた時、それが信念となる。 個人的に、主人公よりも犯人との接点が多く、 自己を客観的に分析ができた。 自分に憎しみを向けてくる相手に対し、自分は主人公のように、はたして考えられるのか。 米澤先生は人の心をえぐる悲しいお話を作ることができるプロだけれど、作品を通して人を成長させることもできる、人類を導く指導者のような人なのかもしれないと、思った。
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思い返せば、米澤穂信先生の著書で学園ミステリもの以外を読み切ったのは初めてかもしれない。 米澤先生の学園ミステリのほろ苦さが大好きなので、避けていたわけではないけど読む機会がなかった。 でも面白かった〜! 最近読んできたミステリは話の構成が似ていたので、この一文が謎を解く鍵になるな、とか感覚でわかるけど、この作品はそうではなかった。 実際に起きたネパール王宮殺人事件を題材にしているし、この本の「人はその人が持っている一面と正反対の面も併せ持つ」というテーマで描かれた登場人物たちが事件の核となっており、その人間の描き方に説得力というか現実味があった。 なので、小説というよりはルポルタージュに近いような不思議な感覚で読んだ。 あと興味深く読んだのは、主人公の報道に対する姿勢の揺らぎと決意の過程。 昔マスコミへの就職を目指していたことがあったけど、当時の自分は主人公と同じ迷いを持っていたことを思い出した。 誰かの悲劇を消費するものとして世に伝えること、それに何の意味があるのか答えを出せず、結局マスコミではない業界に就職した。 けど主人公が出した答えは「知りたい」というシンプルなもので、その知への欲求はとても共感できるものだった。 これでいいんだ、と思えた。 この後の八津田の話は、あんまり吟味できていない。 あらゆる視点の情報があって、一つの出来事は形成されていく。 言っていることはわかるけど、それを自分の役割として真っ当していくことはどんな感覚だろう。 そして世の中の報道に携わる人たちが、自分たちが情報を伝える意味をどこまで考えているのだろう。 ミステリ要素よりは、ネパールの風景や登場人物たちの心の動きが印象に残る小説だった。
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報道の倫理がテーマになっていて、前作の「さよなら妖精」同様にミステリー要素は控えめ。 あらすじ 旅行記事を書くためにネパールを訪れた主人公は、国王殺害による国の混乱に巻き込まれる。 ここぞとばかりに事件の記事を書こうとするが、取材対象に自分が報道する意義を問われ、報道とエンタメの区別を強いられる。 序盤は国王殺害に巻き込まれるパートで、国の状況ばかりが描かれるが、ここが謎解きの対象にはならない。時間をかけて読んだのに何も無いという肩透かしを喰らう。 しかし読み終わってみれば、この序章にサガルの心情に関する伏線があり、自分がいかに人の心を考えずに読んでいるかが分かる。 結局、他人の悲劇なんてエンタメで、当人の立場に立って考えていないことを痛感させるための構成なら、皮肉がきいてる。 ただし、つまらないんだから軽く読んでしまうのも仕方無しとも思う。 ラジェスワルの取材から、やっと主人公が絡んだ物語が動き出す。 ラジェスワルの死がミステリー要素だけど、この推理には無理があると思う。 「チーフ」「最悪、空路でも」という言葉からロブの銃に気付くのは難しすぎて、自分は置いてけぼり感があった。 最後にサガルの関与が明らかになり、彼の思惑を察するべきだったと気付かされる部分が作品の主題に沿った終わり方だった。 序盤の退屈さ、内容の薄さが自分の心を作品から離してしまった。 テーマは良かったが、引き込まれなかった。
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2024年読了1冊目は大好きな米澤穂信さんにしました。ネパールで起きた国王殺害事件と、主人公の太刀洗万智が取材中に遭遇した殺人事件。報道のあり方とは、その情報の受け取り方とは。ミステリー要素よりも社会的なメッセージが強めで、かっこいい感じでした。
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ネパールの異国情緒が濃く漂うミステリー。 2001年、実際に起きた王宮事件や貧困問題にも絡めて描かれています。 海外旅行特集での訪問で遭遇した殺害事件。 王宮事件を取材する記者・太刀洗が新たに目にした事件との関連は? 「この男は、わたしのために殺されたのか?」 その考えが頭か...
ネパールの異国情緒が濃く漂うミステリー。 2001年、実際に起きた王宮事件や貧困問題にも絡めて描かれています。 海外旅行特集での訪問で遭遇した殺害事件。 王宮事件を取材する記者・太刀洗が新たに目にした事件との関連は? 「この男は、わたしのために殺されたのか?」 その考えが頭から離れずモヤモヤ。 取材中、太刀洗と軍人との問答でジャーナリズムの在り方について痛烈に突きつけられた気がした。 報道をする側・される側・眺める側。それぞれの立場によって見える景色も、抱く感情も全く違う。 「貧困」の報道の裏に隠れた現実の厳しさにハッとなった。 『自分に降りかかることのない惨劇は、この上なく刺激的な娯楽だ』 言葉のインパクトが強い! 表題の「王とサーカス」が、読む前と後で受ける印象が変わる。 壮大なスケールで何度も立ち止まり、じっくり考えながら読み込んでいくような読書体験。 ネパールの喧騒、路地裏の様子が目に浮かぶような情景描写にも引き込まれました。 ジャンルは「社会派ミステリー」でしょうか。 中山七里さん「護られなかった者たちへ」のようにメッセージ性の強い作品。 ミステリーにも本当にいろんなテイストの作品があるなぁ。 理不尽で衝撃的な事件や事故が多い世の中。 ジャーナリズムについて描かれたミステリーは、もっと広く読まれて欲しいなと思いました
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さよなら妖精の続編?同じ登場人物が出てくるというので読んでみた。前作読んでから間が空いてしまったからか、かなり成長してしまっているからか最初、誰の話だか分からなかった。(単に自分の記憶力の問題ですが…) ネパールを舞台にした話。前作が旧ユーゴだったから、当時の世相を書きつつミス...
さよなら妖精の続編?同じ登場人物が出てくるというので読んでみた。前作読んでから間が空いてしまったからか、かなり成長してしまっているからか最初、誰の話だか分からなかった。(単に自分の記憶力の問題ですが…) ネパールを舞台にした話。前作が旧ユーゴだったから、当時の世相を書きつつミステリーを書くスタイルなのかな? 本の紹介よんだときは国王殺しの犯人を探すのかとおもったが流石にそんなことはなかった。その混乱の中で起きた殺人事件の話。 報道とは…と考えさせられる話だった。報じる側の問題もあるとは思うが受けての私たち側の問題もあると思った。
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ジャーナリズムについて考えさせられる一冊。 題材もストーリーも面白く、米澤穂信作品らしい印象。 ただ自分には少し難しく、サクサク読み進められたとは言えない。
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先進国に住む人の余裕やどこか見下していた部分を見透かされ、それに気づくシーンの描きかたが良かった。ジャーナリズムとはエゴなのかを考えさせられるもの
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