1,800円以上の注文で送料無料

王とサーカス の商品レビュー

4

217件のお客様レビュー

  1. 5つ

    64

  2. 4つ

    88

  3. 3つ

    46

  4. 2つ

    6

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2024/03/17

この男は、わたしのために殺されたのか?王族殺害事件の取材を開始した大刀洗万智(たちあらいまち)を嘲笑うかのように、彼女の前に転がったひとつの死体-。 『満願』以来の米澤穂信san。 南アジアのネパールで2001年に実際に起きた王宮事件を背景した壮大なフィクション。祈りで始まり...

この男は、わたしのために殺されたのか?王族殺害事件の取材を開始した大刀洗万智(たちあらいまち)を嘲笑うかのように、彼女の前に転がったひとつの死体-。 『満願』以来の米澤穂信san。 南アジアのネパールで2001年に実際に起きた王宮事件を背景した壮大なフィクション。祈りで始まり、祈りで終わりました。ネパールでの食事の習慣(10時、19時の2回)や、バイティカと呼ばれる額に粉を付ける儀式など、首都カトマンズでの生活が綿密に描かれていて、とても臨場感がありました。 宿泊しているトーキョーロッジ、日本の元僧侶の八津田源信、アメリカの大学生のロブ、インド商人のシュクマル、軍人のラジェスワル准尉など、登場人物も多国籍。 万智の「何を書くか決めることは、何を書かないのかを決めることでもある。」というジャーナリストとしての姿勢に感動しました。最後のサガル少年の悲痛な叫びは切なかったです。 誰かのかなしみがサーカスにならないことを信じて。 【2015年週刊文春ミステリーベスト10・1位、2016年版このミステリーがすごい!・1位、2016年版ミステリが読みたい!・1位】

Posted byブクログ

2024/03/17

満願と黒牢城を読んだ後、読了 2つの短編が素晴らしかったので、期待値が大きかった。 個人的には短編の米澤穂信が好き。 ネパールの王室殺害事件に絡んだ、殺害事件の話で、これを報じるべきかどうか、揺れるライターの話。 ネパールの王室事件がデカすぎて、そっちをもっと知りたくなってしま...

満願と黒牢城を読んだ後、読了 2つの短編が素晴らしかったので、期待値が大きかった。 個人的には短編の米澤穂信が好き。 ネパールの王室殺害事件に絡んだ、殺害事件の話で、これを報じるべきかどうか、揺れるライターの話。 ネパールの王室事件がデカすぎて、そっちをもっと知りたくなってしまった。 それがあるゆえに、揺れるライターの話なんだが、純粋にサスペンスを楽しむというより、ライター心理を読む小説だった。 それはそれでいいのだけど、思ってたのと違う感はあった。 満願のようなハードボイルドサスペンスを期待してしまった。 2000年初期の話でなおかつ、海外の話なんだけど、すんなり頭に入ってくる。 この辺は黒牢城の時代感といい、スムーズに読み進めれるところは流石。文章が上手なんだろうなと感じた

Posted byブクログ

2024/03/08

「王とサーカス」(米澤穂信)を読んだ。 
なるほど、これが世に言う『米澤穂信ツイスト』なのか!(って嘘です。今わたしが勝手に名付けました) 
いやー面白かったな。 
先に太刀洗万智を知っといて良かったと思う。 
印象的な文章を引く。 
『自分に降りかかることのない惨劇は、この上も...

「王とサーカス」(米澤穂信)を読んだ。 
なるほど、これが世に言う『米澤穂信ツイスト』なのか!(って嘘です。今わたしが勝手に名付けました) 
いやー面白かったな。 
先に太刀洗万智を知っといて良かったと思う。 
印象的な文章を引く。 
『自分に降りかかることのない惨劇は、この上もなく刺激的な娯楽だ。意表を衝くようなものであれば、なお申し分ない。』(本文より) 
今の世の荒んだ人心への警鐘でもあろう。

Posted byブクログ

2024/02/24

主人公のタチアライさんが冷めた感じで最初はどうも感情移入できなかった。でも事件をきっかけに記者としての在り方、ジャーナリズムとは何かを考え行動していくタチアライさに好感を持てた。伝える側メディアの倫理観はもちろんだが、受け取る側の私も深く考えさせられる物語だった。 ネパールの雰囲...

主人公のタチアライさんが冷めた感じで最初はどうも感情移入できなかった。でも事件をきっかけに記者としての在り方、ジャーナリズムとは何かを考え行動していくタチアライさに好感を持てた。伝える側メディアの倫理観はもちろんだが、受け取る側の私も深く考えさせられる物語だった。 ネパールの雰囲気も、そこで暮らす人々の様子も丁寧に描かれている中に事件の伏線も紛れ込ませていて、すごい本を読んだなと、しばらく感慨に浸っていた。

Posted byブクログ

2024/02/23

最後の方、とても引きこまれた。 物語すべてで主題を語られた気持ち。 考えさせられるとかいう言葉さえ軽く感じられる。当事者にしか語るべきところではないところはある。サーカスに踊らされないように。自分を保ち続けること。

Posted byブクログ

2024/02/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

序盤はネパールの街並みや空気、人々の生活や祈りを静かに感じることが出来た。 中盤で王族殺害事件が起こる。そして、王族殺害事件当日、王宮にいた軍人ラジェスワルがフリーの記者太刀洗のインタビュー後に殺害される。 不可解な殺人事件の謎を通して、太刀洗の記者としての核が問われる。 記者に限らず、誰もが目の前に起こる事を情報として流せる時代だからこそ考えさせられる話だった。 『何を書くか決めることは、何を書かないか決めることでもある』 『自分は中立だと主張する時、記者は罠に落ちる。記者は常に取捨選択する。誰かの主張を書くことで、別の誰かの主張を無視する。その選択において記者自身の見識があらわになる。主観で選択しているのに、どうして中立などと言えるだろう』 心に刺さる言葉でした。 情報を消費する側も忘れてはいけないことだと思った。 ラストは切なかった。そうだ、彼は、確かに伝えていたのだから。

Posted byブクログ

2024/02/18

先が早く読みたくてページがどんどん進むというタイプの小説ではなかった。 舞台はネパール。話はゆっくり進み、国王殺害事件が起きるのは90ページ過ぎ。雑誌記者の主人公が巻き込まれる事件が起きるのはさらに後。 国王の事件は小説の背景でしかない。なので文庫本裏の「実際に起きた王宮事件を取...

先が早く読みたくてページがどんどん進むというタイプの小説ではなかった。 舞台はネパール。話はゆっくり進み、国王殺害事件が起きるのは90ページ過ぎ。雑誌記者の主人公が巻き込まれる事件が起きるのはさらに後。 国王の事件は小説の背景でしかない。なので文庫本裏の「実際に起きた王宮事件を取り込んで描いた壮大なフィクション」という紹介文は違和感がある。 2016年度このミス1位だが、期待しすぎないほうが良い。 トリック・謎解き偏重でもなく、社会派推理小説でもなく、異国を舞台にした普通のミステリ。悪くはない。 読み終えて、ジャーナリストの使命といったものに思いを馳せたりした。 あと、解説の末國善己という人の「虚無への供物」のトリックへの言及はやめてもらいたい。

Posted byブクログ

2024/02/16

最高の一冊でした! ネパールの事は何も知識がなく、主人公の言うところの「ネパールが王制だった事も知らない人」 にあたる私が読んでも、当時の状況がとても理解しやすい。それが細かな説明ではなく登場人物の会話などで想像出来るところが非常に良かった。 ガチガチのミステリーとは少しジャン...

最高の一冊でした! ネパールの事は何も知識がなく、主人公の言うところの「ネパールが王制だった事も知らない人」 にあたる私が読んでも、当時の状況がとても理解しやすい。それが細かな説明ではなく登場人物の会話などで想像出来るところが非常に良かった。 ガチガチのミステリーとは少しジャンルが異なり、メッセージ性のとても強い作品となっている。 考えさせられる部分が多く、ハッピーエンドとはいえない結末と思えるが、いつまでも作品の余韻に浸っていたいと感じる不思議。 万人に勧めたい一冊。

Posted byブクログ

2024/02/13

王室殺人事件が起きたネパールを舞台に、フリーの記者である太刀洗万智が国軍軍人の死の真相に迫る。 ミステリーメインではなく、万智の記者としての在り方を問う社会派作品だった。 なぜ真相を追うのか、なぜ伝えるのか。悲劇が消費されていく世の中に警鐘を鳴らす。 ミステリーとしてはスロースタ...

王室殺人事件が起きたネパールを舞台に、フリーの記者である太刀洗万智が国軍軍人の死の真相に迫る。 ミステリーメインではなく、万智の記者としての在り方を問う社会派作品だった。 なぜ真相を追うのか、なぜ伝えるのか。悲劇が消費されていく世の中に警鐘を鳴らす。 ミステリーとしてはスロースタートなので自分の中でエンジンがかかるのに時間がかかった。

Posted byブクログ

2024/02/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

正統派のミステリー推理小説。 フリー記者、大刀洗万智がネパールのカトマンズにて出逢った事件を解決していく物語。作中、王子が王族一家を大量殺人するがこれは実話だとかなんとか。そして、この殺人が事件に絡んでくるかと思いきや、そうでも無く、ただ無関係かと言えばそうでもなく? 構成も仕掛けもシンプルがゆえに面白い。 ラジェスワルの一言、自分に降りかかることのない惨劇はこの上なく刺激的な娯楽だというメッセージが心にくる。 この本は推理小説に見せかけて野次馬根性への警鐘があって響くものがある。 タイトルもなかなか秀逸。

Posted byブクログ