復活の日 改版 の商品レビュー
実は映画化されたとき観てるし、その頃に本の方も読んでいる。でも、ほとんど忘れていたので30年ぶりに。 SFとしての迫力空想が売りなのに、コロナパンデミックの今や切実になってしまってる。ウイルスや細菌などの化学的なことも詳しく描かれてあるのは、前ならちんぷんかんぷんで飛ばし読みし...
実は映画化されたとき観てるし、その頃に本の方も読んでいる。でも、ほとんど忘れていたので30年ぶりに。 SFとしての迫力空想が売りなのに、コロナパンデミックの今や切実になってしまってる。ウイルスや細菌などの化学的なことも詳しく描かれてあるのは、前ならちんぷんかんぷんで飛ばし読みしていたと思うが、今、違和感なくよくわかるのがちょっと怖い。当時それだけしっかりし調べあげて書かれたのもすごいと思う。 小説のおもしろさはもちろんだが、作者の述べたかった思索、哲学的な部分も奥深く、メッセージも厚みのある力作。1964年(半世紀以上前だ!)に書かれたとは思えないというか、空想予言力に満ちみちていて、読み継がれているわけだ。
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現状と重ねてみると、30年以上も前に書かれたものだとは思えないリアルさだった。 命に関わる異常事態に陥っても、国家とか軍事とか、訳わからないものに支配されてしまう人間は、やっぱり何よりも怖いものだと思った。 タイトルで、きっと大円団なのだろうとは予想できたけど、最後の最後まで二転...
現状と重ねてみると、30年以上も前に書かれたものだとは思えないリアルさだった。 命に関わる異常事態に陥っても、国家とか軍事とか、訳わからないものに支配されてしまう人間は、やっぱり何よりも怖いものだと思った。 タイトルで、きっと大円団なのだろうとは予想できたけど、最後の最後まで二転三転して非常に楽しめた。
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※このレビューにはネタバレを含みます
昭和39年の作品とは思えない。令和の新刊だとしても通用するほどの圧倒的な情報量とプロット。 イギリスで密かに開発していたウィルスが瞬く間に全世界へ拡散。人類の全滅まで1年と待たなかった。まさにバイオハザード。 唯一、南極の各国基地の人員だけが無事に生存していたものの、今度は人類亡き後の米ソの自動報復合戦により南極がターゲットになることに。 最後に残った人類を救うべく決死の覚悟で2人の勇姿がワシントンに乗り込むものの、最悪の事態は避けられない。アラスカで発生した地震をソ連の攻撃と見なし、無人の米ソ報復合戦。 しかし、皮肉なことに、宇宙から持ち込まれ、改造されたウィルスを無害化したのは、無人戦争で無数に放たれた中性子爆弾だった。 愚かな人類が迎えた結末、戦争に次ぐ戦争を迎えていたのにも避けられなかったこの結末。人類は復活の日に向かって、これを教訓としていくことができるのか。 ぜひ映画も見たみたい。
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もはやSF小説ではない。間違いなく。これが50年近く前に書かれたとは到底信じられない。現在の世界への示唆に富んでいる。ひとまず読了直後の興奮を刻んでおきたい。 どんなことにも…終わりはあるさ…ただ…どんな終わり方をするかが、問題だ
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ちらっと読み始めたら止まらなくて1日で一気に読んだ。某国が開発したウィルス兵器が盗み出され、偶然の事故から世界に拡散してしまう。人々はただの風邪だと思い込んでいるが、感染はあっという間に拡大し、死亡率も急速に高まって、医療は崩壊、行政・防衛・産業機能も破綻し、ライフラインは途切れ...
ちらっと読み始めたら止まらなくて1日で一気に読んだ。某国が開発したウィルス兵器が盗み出され、偶然の事故から世界に拡散してしまう。人々はただの風邪だと思い込んでいるが、感染はあっという間に拡大し、死亡率も急速に高まって、医療は崩壊、行政・防衛・産業機能も破綻し、ライフラインは途切れ、人々は街中や職場、自宅で次々と死んでいく。最終的に南極にいた科学者や調査員など約1万人(このうち女性は12人!)を残し、人類はほぼ死滅する。南極に残された人々は、人間の愚かさを悟り、ようやく一致団結して復活の日を待つのだが、そこにも「人類の愚かさの極み」が襲いかかろうとする、、、。本来人を救うべき医療技術が人類を破滅に追いやり、兵器が奇跡を起こすという皮肉。生物兵器に関する科学的知識、国や責任者の隠蔽体質、他国を出し抜こうという欺瞞など、空想小説とは言えないほどのリアルさ。まさに「今」読むにふさわしい一冊。
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- ネタバレ
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今だからこそ、終わりに近づく人々の気持ちがわかるような気になるなと、読んでいて思った。 人のエゴと思い込みが招く終末、そこに向かっていく過程はさすがの一言。 復活は意外とあっさりではあるが、偶然起きた終末が偶然復活するというのは、まさに人間がどうこうできる問題ではなく、あくまで結果的に人間が助かっただけなのだと思える内容だった。
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コロナ禍の今読むと、現実世界と混同してしまうよで怖くなる。 でも結局一番恐るべきなのは私たち人間。同じ人類というちっぽけな存在ということを忘れて、もっとちっぽけな集団に分かれて争っている人間。是非各国首脳に読んでいただきたいけど、読んだところで一朝一夕には解決できないほど問題が山...
コロナ禍の今読むと、現実世界と混同してしまうよで怖くなる。 でも結局一番恐るべきなのは私たち人間。同じ人類というちっぽけな存在ということを忘れて、もっとちっぽけな集団に分かれて争っている人間。是非各国首脳に読んでいただきたいけど、読んだところで一朝一夕には解決できないほど問題が山積みなんだろうな。 哲学が科学の道筋を示すべきだって言う部分は引き込まれた。映画でどんな熱演がされてるんだろうと楽しみに観たのに全く省かれていたので残念。
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人間は結局、人間の愚かさに振り回されるんだな、としみじみ感じた。 読んでいくうちに一気に引き込まれていった。面白い。 エンターテイメントとして、楽しんで読める濃厚な作品だと思う。
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理系的要素が含まれた文学について扱う授業を受講したことをきっかけに読みました。 COVID-19という今の状況に通ずる点からも面白そうだなと思いました。 読了後に感じたことは細部まで作り込まれた作品であるということ。 物理学、生物学、化学、地学等、幅広い学問領域に明るくないと書...
理系的要素が含まれた文学について扱う授業を受講したことをきっかけに読みました。 COVID-19という今の状況に通ずる点からも面白そうだなと思いました。 読了後に感じたことは細部まで作り込まれた作品であるということ。 物理学、生物学、化学、地学等、幅広い学問領域に明るくないと書き上げることはできなかったはずです。 小松実盛さんの解説には、著者は図書館で資料を読み込んで情報を集めたとありました。 海外渡航経験もほぼなかったようです。 インターネットが普及していない時代にここまでのものを書き上げたことには頭が上がりません。 これは1975年出版ですから、舞台はその当時を想定しているはずです。 冷戦の真っ只中であり、風刺的な意味が込められているのではないかと感じました。 しかし、現代にも通じるところがあります。 2020年はCOVID-19だけではなく、環境問題や貧困問題等、各国が足並みを揃えて協力すべき問題が数多くあります。 その中で内紛や国同士の争いをしている場合でしょうか。 考えさせられるきっかけになりました。
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読書会課題本。本書自体は病原菌をテーマにした傑作SFなのは間違いない。しかし、本書を現代の新型コロナの状況と重ね合わせて読むのが流行っているようだが、全く比較にもならないと思う。現代のコロナ禍の場合は、少なくとも日本では、マスコミや地方議会が起こした「インフォデミック」と言うべき...
読書会課題本。本書自体は病原菌をテーマにした傑作SFなのは間違いない。しかし、本書を現代の新型コロナの状況と重ね合わせて読むのが流行っているようだが、全く比較にもならないと思う。現代のコロナ禍の場合は、少なくとも日本では、マスコミや地方議会が起こした「インフォデミック」と言うべき代物で、一部の地方自治体の首長などによる馬鹿げた政治パフォーマンスやテレビ番組などによる過剰な煽り報道に振り回されて、必要以上に滑稽なほど「死なない病気」に対して人々が恐れている状況と言うべきである。
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