これは水です の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
読み終わったのは1週間以上前なのだが、そして、1時間足らずで読み終わる本なのだが、なんとも心の深いところに届き、考えさせられ、もう1度読み、衝動的に原作の英語版も買ってしまった。2018年に出ていたものだけれど、この時期に読んだことにも意味があるなあ、と思いながら。 どのような本なのかは、帯を見ていただくとして。 なんというか、すべての、いや、すべてのは言い過ぎかもしれないけれど、生きる、ということの全てがここに集約されていていた。少なくとも本を読むことの意味はこういうとを、自分の中に取り入れていくことなんだなあ、とも。 リベラル・アーツとは「ものの考え方を教わる」ことだ、という話。 「ものの考え方」をわからないでいることは、「無意識」のうちに「初期設定」のままでいるという話。 引用したい部分は他にもあるし、でも引用するときりがないし、ここを引用すると、ちょっと誤解もあるのではないかと思うけれど、短く引用できるところ、ほんの、断片を。 **** あなたがたがカネとかモノとかを崇拝すると ーそれらが人生において ほんとうに意味があると思うのであればー けっして満ち足りる日は来ません。 **** **** ほんとうに大切な自由というものは よく目を光らせ、しっかり自意識を保ち 規律をまもり、努力を怠らず 真に他人を思いやることができて そのために一身を投げうち 飽かず積み重ね 無数のとるにたりない、ささやかな行いを 色気とはほど遠いところで、 毎日つづけることです。 **** デヴィッド・フォスター・ウォレスは、このスピーチをした3年後、自ら命を絶ってしまいます。
Posted by
学びの真の目的を伝える卒業式でのスピーチ。 このメッセージを受け取った人は、生涯の指針を得ただろう。
Posted by
何も考えなければ流れるままの自分軸の人生を過ごすことができて、ある意味幸せだろうなと著者の人生を顧みて思った。けれど、自分の生きる世の中には他者というものが存在していて、その人達にも自分軸の世界が存在している。そこへ視点を移してみたり、配慮をしたりと意識を凝らさなければ見ることす...
何も考えなければ流れるままの自分軸の人生を過ごすことができて、ある意味幸せだろうなと著者の人生を顧みて思った。けれど、自分の生きる世の中には他者というものが存在していて、その人達にも自分軸の世界が存在している。そこへ視点を移してみたり、配慮をしたりと意識を凝らさなければ見ることすらもできないこの広がりある世界を、自分に留めずどのようにみていくのかを選び考えていくことが自分の人生を創ることではないかなと感じた。 こういった本を読むことは自分の在り方について考えたり、視野が広がったりするので大切な栄養分だなと思う。 『こうして自殺する人の大半は、じつは引き金をひく前からとうに死んでいるのです。』 『これは水です』
Posted by
『これは水です』 . . 著者のウォレスは自ら命を絶った。その3年前。彼は生涯で一度だけスピーチの依頼を引き受けた。そのスピーチが。彼の人生最初で最後のスピーチが『これは水です』である。 これから社会へと旅立つ卒業生に向け、社会の生々しい現実を突きつけた。 . . 『30歳になる...
『これは水です』 . . 著者のウォレスは自ら命を絶った。その3年前。彼は生涯で一度だけスピーチの依頼を引き受けた。そのスピーチが。彼の人生最初で最後のスピーチが『これは水です』である。 これから社会へと旅立つ卒業生に向け、社会の生々しい現実を突きつけた。 . . 『30歳になるまで、いや、たぶん50歳になるまでには、どうにかそれを身につけて、銃でじぶんの頭を撃ち抜きたいと、思わないようにすることなのです。』 . . 「それ」とは、「リベラルアーツ」である。リベラルアーツは人を自由にする学問であり、「ものの考え方を学ぶ」こと。「なにをどう考えるかコントロールするすべを学ぶ」こと。「何に目を向けるかを選び、どういう意味を汲み取みかを選ぶ」ということ。 . . 『これは水です』 『魚の目に水は見えず、人の目に空(風)は見えず』 . . 世界は自分を中心に回っていると“感じてしまう”。それは仕方がないこと。生まれた時の『初期設定』であるから。 自分が経験する世界は、正面、背後、左右にある。 他人の考えや感情は、何らかのルートを介さなければ伝わらないが、自分の考えや感情は直にすぐ触れられる。だからこそリアルであり、その世界の中心は自分である。 . . 初期設定のまま選ぶことをしない生き方をするか、リベラルアーツを身につけ初期設定をリセットし、選ぶ生き方をするか。 . . どうぞ、ご自由にお選びください。
Posted by
社会に出て数年経ったいま出会えて本当に良かったと思える一冊。 慌ただしい日々に呑み込まれ流されそうになるとき、思考が凝り固まって上手く立ち行かないとき、ふと立ち止まって読み返せるようにずっとそばに置いておきたい。
Posted by
詩のような美しさとユーモアがある 一見ただのスピーチだが 途中で著者が自殺したことに気付いてから うっとなった。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
個々が何にも縛られず自由に生きるために。 人々は無意識に崇拝(デフォルト設定)をする。そして毎日、少しずつ、自分の判断基準を狭くしていく。人々はそれにすら気づかない。 この「デフォルト設定」という誰しもが生まれ持って得てしまっているものを、それぞれ個々が如何にして取り除くか、というのがこの本の最も重要なポイントである。 この人生における「自由」(リベラルアーツ)というものは、ある意味での他人に対する考え方の「優しさ」という風にも捉える事ができ、今後の自分自身の課題にもなると感じた。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
リベラルアーツ 自由になる為の学問 宗教や感じ方など生まれた時からの環境などで初期設定されてないか それに対して疑って多様な視点と寛容をって 自分に埋め込まれた初期設定を手直しできるか 何に目を向けるかを選び 経験からどういう意味を汲み取るかを選ぶ 最初のあたりすごくよかったのに 段々と鬱病の人の考えが濃くなって残念 で実際作者は自殺してるのでなんとも
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
デヴィット・フォスター・ウォレスが大学の卒業式に招かれて行ったスピーチの全文。 ”僕らの初期設定”という言葉にはっとさせられる。周りの事を意識して自らの本源できな部分を忘れてしまう。忘れるというよりも自意識を保とうとしないから。 真に大切なものは何かを気づかせてくれた。 なにを崇拝すべきか、を考えてみる。
Posted by
本書はいわゆるリベラルアーツカレッジの卒業式でのスピーチを書き起こしたものである。 著者は若いころから精神を病んでおり、この数年後に自殺をしてしまった。ある意味、遺言的な意味合いにも感じられるメッセージである。 タイトルの「水」とは魚にとって普段意識しなければ感じることがないもの...
本書はいわゆるリベラルアーツカレッジの卒業式でのスピーチを書き起こしたものである。 著者は若いころから精神を病んでおり、この数年後に自殺をしてしまった。ある意味、遺言的な意味合いにも感じられるメッセージである。 タイトルの「水」とは魚にとって普段意識しなければ感じることがないものであり、これは人が生きていくうえでも、当たり前であると思われるものに対して、常に意識していくことの重要性を説いている。そしてそのためには、リベラルアーツが重要であり、リベラルアーツとは「ものの考え方を教えること」であり、単なる知識を詰め込む学問ではないということ。日々流されて生きている自分も気づきを得ることのできる著書であった。
Posted by