不在 の商品レビュー
「家族」とか「愛」は、正しいこと、綺麗なことの象徴のよう。 だけど、こうあるべき、と自分の中の幸せイメージに囚われてしまうと、そこからずれた時に、「違う!」ってなる。 これが私の愛なのに!と思って押し付ける時って、それは自己満足で、相手に干渉したいだけ。それは愛じゃない。
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家族ってなんだろうな、と考えさせられる作品だった。 愛に飢え、愛されることを求め、でも愛することがわからず… 家族って? 愛って? タイトルの不在って何の不在?と思って読んでいたのだけれど、これって愛の不在だったんだなぁ… 愛の不在を感じたことのない私には少しばかり難解な物語。
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彩瀬まるさんの書くお話が大好きで色々と読んでいるけど「不在」はかなり好き。親子の関係が成人して自立してからも否応なしにつきまとってくる。親から望むように愛されなかった主人公とその親と同じことを恋人にしてしまう。 愛は人を満たし癒やすものでもあり、人を縛り苦しめるものでもある。こう...
彩瀬まるさんの書くお話が大好きで色々と読んでいるけど「不在」はかなり好き。親子の関係が成人して自立してからも否応なしにつきまとってくる。親から望むように愛されなかった主人公とその親と同じことを恋人にしてしまう。 愛は人を満たし癒やすものでもあり、人を縛り苦しめるものでもある。こういうある事柄や関係性の二面的な部分と最終的に主人公や登場人物がそれらを手放すのか執着するのかを書いている話が好きで、本当にすごくよかった。 また私も趣味ではあるけれど小説を書くことがあり、それが漫画家である主人公の明日香の創作に対するスタンスに共感する部分があり、とても深くおもしろく読めた。大好きな話になった
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家族だからこそ抱く憎しみがある。家族なのになぜという苛立ち。 家族というだけで何故か分かり合えるのが当たり前と思ってしまうけれど、実はそれぞれ1人の人間で。ましてや親はもともとは他人同士なわけで。ああはなりたくないと思いながらも、ふと自分の中に似ているところを見つけて絶望する。 ...
家族だからこそ抱く憎しみがある。家族なのになぜという苛立ち。 家族というだけで何故か分かり合えるのが当たり前と思ってしまうけれど、実はそれぞれ1人の人間で。ましてや親はもともとは他人同士なわけで。ああはなりたくないと思いながらも、ふと自分の中に似ているところを見つけて絶望する。 家族は支えであり、重荷であるとつくづく思いました。だからといって、顔も見たくないくらい嫌いなのかと言われるとそうでもないし…。 適度な距離感と、相手に対する寛容さをお互いがもつていれば幸せなのかなと思いました。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
最近お気に入りの彩瀬まるさん作品。 主人公がどうしても好きになれなかった。 自分より立場が下だと見なした恋人や編集の緑川に対する、「教えてやればいい」「教えていかなければならない」等の言葉が鼻について仕方がない。 なんでも家族や生い立ちの所為にしている姿も酷く傲慢に見えてもやもや。 でも主人公の「私はこんなに恵まれていないのに!」と地団駄を踏んでいる様が私自身と重なる部分も多く、痛い所を突かれているような気持ちになった。 暗くて重いままお話は締め括られるのかな?と思っていたけど、気付きを得た主人公が前を向いて生きていけそうで、良い読了感。 主人公は好きになれなかったけど、お話はとても好き。 主人公が漫画家で、心境と作品の傾向がリンクしている所も好きだった! 最近、「家族」をテーマにした小説を読む機会が多い。 「父」であっても、「母」であっても、個々の人間なんだよな。と、そんな当たり前の事を最近になって理解したように思う。
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彩瀬 まるさんの長編小説 主人公は斑木(まだらぎ)アスカのペンネームを持つ漫画家 本当の名は錦野明日香、31歳 仕事も成功し、5歳年下の俳優、冬馬と同棲し、一見なんの不自由もない生活を送っている様に見える。 だが長らく疎遠だった父が亡くなり、遺産として大きな洋館が残され、そ...
彩瀬 まるさんの長編小説 主人公は斑木(まだらぎ)アスカのペンネームを持つ漫画家 本当の名は錦野明日香、31歳 仕事も成功し、5歳年下の俳優、冬馬と同棲し、一見なんの不自由もない生活を送っている様に見える。 だが長らく疎遠だった父が亡くなり、遺産として大きな洋館が残され、その屋敷の整理をして行くうちに過去から現在までの様々な出来事に想いが巡り、今の生活が少しづつ崩れて行く様が不穏な空気感の中で描かれている。 父親に対して燻っていた感情が、屋敷の整理と言う行動を通して表面化した時、明日香の内に秘めていた思いが冬馬に対して爆発してしまう。 明日香の言う「愛」とは冬馬にとってはただの執着で忠誠でしかない。 明日香の発する言動からいかに愛情に餓えていたかが感じられヒリヒリする。 淡々と静謐な雰囲気で描かれているが、人と人の関わり方、人間のエゴイズムなどが表現されていて深みがあった。 ざらざらとしているけれど、ラストには気づきもあり読後感は良かった。
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すごく!面白かった。家族の話。 愛は花。すぐに枯れて腐ってなくなってしまう、だけど咲いていたことまで否定しなくたっていい。なくなったからって偽物だったわけではない。昔、きれいな花が咲いていた。それでいいんだ。 私も家族の関係について考えすぎて囚われているけど 枯れて腐ってしまった...
すごく!面白かった。家族の話。 愛は花。すぐに枯れて腐ってなくなってしまう、だけど咲いていたことまで否定しなくたっていい。なくなったからって偽物だったわけではない。昔、きれいな花が咲いていた。それでいいんだ。 私も家族の関係について考えすぎて囚われているけど 枯れて腐ってしまったこともそれでいいんだと全肯定されてるような感じで。 漫画家である主人公の創作についてアイデアが湧き上がるところとかもワクワクした。 読んで良かった。
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主人公があんまり好きではなくて…なんか、全て【家】や【家族】のせいにしてる感じがして最後までしっくり来なかった。 ゆっくりでも前を向いていけそうな終わりでそこは読んでてホッとした。
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大人になっても心理的に親に縛られ続ける女性。親ってどこかで絶対で、その考えは子どもに染み渡っている。例え、親がいなくなっていても。自分の育ち方や親を否定することは苦しい。しかし、自分が悪いんだと思っても苦しい。そのどちらでもなく、親と同じような生き方をしている自分を知りながらそこ...
大人になっても心理的に親に縛られ続ける女性。親ってどこかで絶対で、その考えは子どもに染み渡っている。例え、親がいなくなっていても。自分の育ち方や親を否定することは苦しい。しかし、自分が悪いんだと思っても苦しい。そのどちらでもなく、親と同じような生き方をしている自分を知りながらそこから一歩出ようとする主人公が結末にある。
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主人公が恋人とどうなるかはかなり早い段階からわかっていて それでもきちんとどうなるか読み進めなければならないと感じる本 家族について思うところのあったことがある人には何かしら刺さるだろう 今流行りの毒親問題周りにいる人なんかもいいかもしれない 最後の、カレンちゃんと主人公のセリ...
主人公が恋人とどうなるかはかなり早い段階からわかっていて それでもきちんとどうなるか読み進めなければならないと感じる本 家族について思うところのあったことがある人には何かしら刺さるだろう 今流行りの毒親問題周りにいる人なんかもいいかもしれない 最後の、カレンちゃんと主人公のセリフを 演劇のワークショップで教えてもらった通りに声に出してみながら読んでみた 勝手に涙が出てくるしびっくりした 本を読むっていうのは、私にとって箱庭を上から眺めるものだったけど こういうやり方を覚えると中に入っていけるんだな
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