滅びの園 の商品レビュー
★2018年7月30日読了『滅びの国』恒川光太郎著 評価B+ スタープレーヤー、ヘブンメーカーに続く、時代不明の無国籍未来SF作品。 我々の世代で言えば、無国籍、時代性のない物語のテイストは、星新一に近い。 鈴上誠一という30代のサラリーマンが朝の通勤時に気がついたら異界へ飛...
★2018年7月30日読了『滅びの国』恒川光太郎著 評価B+ スタープレーヤー、ヘブンメーカーに続く、時代不明の無国籍未来SF作品。 我々の世代で言えば、無国籍、時代性のない物語のテイストは、星新一に近い。 鈴上誠一という30代のサラリーマンが朝の通勤時に気がついたら異界へ飛び出していたところから物語が始まる。 宇宙からの未知なるもの、プーニーにとりつかれた地球、人類は、次々に感染症のようにして死んでいく。 人類の中で特別にこのプーニーへの抵抗力が優れたメンバーを募って、 鈴木誠一が捕らわれる未知なるもの、異界へ攻撃を仕掛け、ついには異界を破壊、プーニーを消滅させる。 異界は、鈴上誠一の希望、願いだったのか?何だったのかも分からず物語は終わり、読者それぞれの想像に任される。
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ある日突然空にあらわれた「未知なるもの」によって世界は粛々と破滅へと導かれていくばかりとなったが、世界にはまだ希望が一つだけ残っていた。それは「未知なるもの」に取り込まれた一人の男性の存在だった… 「プーニー」なるどこかゆるキャラのような名前の侵略者の存在、これを排除する「プニ...
ある日突然空にあらわれた「未知なるもの」によって世界は粛々と破滅へと導かれていくばかりとなったが、世界にはまだ希望が一つだけ残っていた。それは「未知なるもの」に取り込まれた一人の男性の存在だった… 「プーニー」なるどこかゆるキャラのような名前の侵略者の存在、これを排除する「プニ対」の人々、そして「未知なるもの」に取り込まれた異界へ侵入せんとする「突入者」…。 ややこしい説明をほぼ省き、淡々とけれどこれらの独特の単語の語感の印象を強く残しながら描かれる物語は、きわめて絶望に彩られ、圧倒的なディストピアな世界。 されど、あくまで飄々と己を保って生きる人間たち、絵本のようなうつくしく平和な異界、ファンタジーのような魔獣、それらが恐ろしさを緩和して、まるで読む側も不定形の「未知なるもの」に浮かされているかのような、不可思議な世界にたゆたう感覚に囚われていく。 文章で描かれているのは膨大な数の死であり、暴力であり、絶望であるのに、その重さがどこか「抜けている」。その絶妙なバランスの味わいが、なんともいえず作者らしいと思うのです。怒りを怒りと、悲しみを悲しみと、不幸を不幸と声高に描かずに、それらをひっくるめた「世界と個人」を描けてしまっている。と、思う。 主人公(異界に囚われた男性)は考えてみれば最初から最後まで現実的には不幸といえる存在でしかなかったけれど、彼にとってはたしかに「幸福」が「現実」にあった。その酷さは、…受け入れられるものじゃあないよなあと、最後、思ったのでした。
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現実世界から大きく乖離した話だから、普通だったら中盤まで入っていけないはず。なのに、説明が上手いからか序盤からスルスルと話が入ってきて面白かった。
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奇妙な雰囲気のSFと言おうかファンタジーと言おうか。突如地球上に現れた「未知なるもの」と、地上を席巻する地球外生物・プーニーを巡る戦いの物語。地上で増殖し人間を滅ぼしていくプーニーは、どこかしら滑稽に思えるけれどやはり恐ろしいなあ。その対処にも決定的なものがないという絶望的な状況...
奇妙な雰囲気のSFと言おうかファンタジーと言おうか。突如地球上に現れた「未知なるもの」と、地上を席巻する地球外生物・プーニーを巡る戦いの物語。地上で増殖し人間を滅ぼしていくプーニーは、どこかしら滑稽に思えるけれどやはり恐ろしいなあ。その対処にも決定的なものがないという絶望的な状況が重いのだけれど、作品としてはそれほど暗くなく、少しわくわくするような読み心地です。 そして「未知なるもの」に取り込まれて生活する一人の男。逆に理想郷のようなこの世界とそこに現れる魔物の意味、そして世界の核がいったいどこにあるのか。こちらは穏やかな印象のように思えつつ不穏な要素をはらみ、これまたどきどきさせられる展開。 あまりSFやファンタジーには馴染みがないのだけれど。幻想やホラー好きなら好みに合う要素がいっぱいありました。
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とんでもなく面白かった。 プーニーがなんともおっとり系でパンデミック的じゃないので冷静に達観できたのだが、事実、どの立場での視線にも囚われない。 想念の世界で望んだように生きるのか、迫り来る終焉を前に一筋の希望に懸けるのか。 わたしはどうするのか。
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基本的な物語の方向性は一貫していながら、常に新しい楽しみを提供してくれる点で、とても評価している作家。だからこそ、単行本が出る度に即買いしてる訳だけど。今回もファンタジー+SF+ミステリ(ホラー)って感じで、それぞれの美味しいとこを上手くブレンドして楽しませてくれます。最初の章だ...
基本的な物語の方向性は一貫していながら、常に新しい楽しみを提供してくれる点で、とても評価している作家。だからこそ、単行本が出る度に即買いしてる訳だけど。今回もファンタジー+SF+ミステリ(ホラー)って感じで、それぞれの美味しいとこを上手くブレンドして楽しませてくれます。最初の章だけだと”ん?この程度の世界観?”って思いそうになったけど、マルチ主人公の形式を取って語られる2章目以降、どんどん物語の深みが加わって、どんどん惹き込まれる。突然地球を覆う奇妙な白い物体の造形も見事でした。
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恒川先生の新作.ジャパネスクホラーの第一人者.そしてスタープレイヤーで磨いたファンタジー冒険ものも入り込み,ちょっと幻想的でありながら,異世界と現実のパラレルワールドがシンクロしたとき,物語は一気に加速する.
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童話の続きのようなやさしいファンタジー世界。 どこか懐かしい幻想風景の異界…と思ったらSFだー!めちゃくちゃSFだー!! 恒川光太郎のSFファンタジーですよー!! おもしろかった。 そりゃあそうでしょうと思うだろうけども、野夏旋が好き。
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